以下は百五銀行(証券コード: 8368)の企業分析レポートです。
1. 企業情報
- 事業内容などのわかりやすい説明
百五銀行は、三重県を地盤とする地方銀行であり、県内では圧倒的なシェアを持つ上位地銀です。個人顧客向けおよび法人・個人事業者向けに、預金、貸出金、為替、投資信託、保険販売など多岐にわたる金融サービスを提供しています。近年は愛知県での店舗展開も強化しています。 - 主力製品・サービスの特徴
中核は預金と貸出金であり、特に中小企業向け貸出金と住宅・消費者向け貸出金が主要な収益源となっています。また、有価証券運用による利息受取や配当金収入も事業の柱の一つです。金利上昇局面においては、貸出金利息や有価証券利息の増加が収益を押し上げる要因となります。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内での競争優位性や課題について
百五銀行は三重県において圧倒的な顧客基盤を持つ地元のリーディングバンクです。地域に根差したネットワークと信頼関係により、安定した預貸金ポートフォリオを構築しています。一方で、地方銀行業界全体としては、人口減少や低金利環境の継続(直近は変化あり)が課題となっていましたが、足元では金利上昇の恩恵を受けて資金利益が改善傾向にあります。 - 市場動向と企業の対応状況
国内経済の緩やかな回復基調の中で、金利の上昇が同行の資金運用収益にプラスに作用しています。競争が激化する金融市場において、百五銀行は愛知県への出店加速など、新たな市場の開拓にも力を入れています。与信環境は安定的に推移していますが、世界経済の動向、地政学リスク、金融資本市場の変動が今後のリスク要因として挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営陣が掲げるビジョンや戦略
個別のビジョンに関する詳細な情報は提供データにありませんが、中期経営計画において、コア業務純益の改善や国内基準自己資本比率の維持・改善を重要な目標として掲げていることが決算短信から示唆されています。地域経済の活性化への貢献と、収益基盤の強化を両立させる戦略を推進していると考えられます。 - 中期経営計画の具体的な施策や重点分野
— (提供データに具体的な施策の記載なし) - 新製品・新サービスの展開状況(決算短信参照)
決算短信には具体的な新製品・新サービスの展開状況の明記はありませんが、投資信託預かり残高の増加が見られ、グループ全体で手数料ビジネスの強化を図っていると推測されます。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデルや市場ニーズの変化への適応力
百五銀行の収益モデルは預貸金業務と有価証券運用が中心です。足元の金利上昇は資金利益を押し上げ、収益改善に寄与しています。また、投資信託など手数料ビジネスの強化も進めており、収益源の多角化を通じて市場ニーズの変化に適応しようとしています。ただし、金融市場の変動(有価証券評価損益等)が業績に与える影響は大きく、慎重なポートフォリオ管理が求められます。 - 売上計上時期の偏りとその影響
銀行業では一般的に四半期ごとの収益変動はあるものの、特定の時期に収益が集中する大きな偏りは見られません。しかし、有価証券の売却損益や評価損益がその期の利益に大きく影響を与えるため、金融市場の状況によっては利益が大きく変動する可能性があります。中間決算では有価証券評価差額の改善が、包括利益の大幅な改善に寄与しています。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向や独自性
— (提供データに技術開発に関する具体的な記載なし) - 収益を牽引している製品やサービス
現在の収益を牽引しているのは、貸出金利息の増加と有価証券利息配当金の増加に代表される資金運用収益です。特に、国内金利環境の変化に伴い利息収入が堅調に推移しており、業績の押し上げ要因となっています。
6. 株価の評価
- EPSやBPSに基づく計算等を用いて、現在の株価との比較
現在の株価は1,122.0円です。- 予想PER: 13.29倍 (株価1,122.0円 ÷ 予想EPS 84.43円)
- 実績PBR: 0.57倍 (株価1,122.0円 ÷ 実績BPS 1,978.38円)
現在の株価は会社予想のPER、実績PBRと整合性が取れています。
- 業界平均PER/PBRとの比較
- 業界平均PER: 10.7倍
- 業界平均PBR: 0.4倍
百五銀行のPER (13.29倍) は業界平均PER (10.7倍) を上回っています。PBR (0.57倍) も業界平均PBR (0.4倍) を上回っており、現在の株価は業界平均と比較して割高な水準にあると言えます。
7. テクニカル分析
- 直近の株価推移を参照して、現在の株価が高値圏か安値圏か
直近の株価は1,122.0円であり、年初来高値1,157円に近く、高値圏に位置しています。年初来安値550円と比較すると、大幅に上昇した水準です。 - 年初来高値・安値との位置関係
年初来高値: 1,157円
年初来安値: 550円
現在の株価 (1,122円) は年初来高値に約3%下、年初来安値からは約104%上回っています。 - 出来高・売買代金から見る市場関心度
直近3ヶ月の平均出来高は689.6千株、直近10日の平均出来高は725.96千株に対し、本日の出来高は387.4千株、売買代金は435,992千円でした。本日の出来高は平均と比較して低く、市場の関心はやや低下している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上、利益、ROE、ROAなどの指標を評価
- 売上(経常収益): 過去12ヶ月で112,318百万円、2025年3月期予想103,531百万円、2024年3月期実績104,638百万円と増加傾向にあります。
- 純利益(Net Income Common Stockholders): 過去12ヶ月で19,025百万円、2025年3月期予想18,042百万円、2024年3月期実績14,281百万円と、過去数年間で増加傾向です。
- ROE(実績): (連結) 3.87%
- ROA(実績): (連結) 0.25%
売上、利益ともに順調に成長していますが、ROE、ROAは同業他社比較(後述)で低水準にあります。
- 過去数年分の傾向を比較
損益計算書のデータを見ると、Total Revenue、Pretax Income、Net Incomeはいずれも過去数年間で増加傾向にあり、収益力が着実に向上していることが伺えます。 - 四半期決算の進捗状況(通期予想との比較)
2026年3月期第2四半期(中間期)の連結経常利益は14,085百万円(通期予想28,800百万円に対し進捗率48.9%)、親会社株主に帰属する中間純利益は10,175百万円(通期予想20,600百万円に対し進捗率49.4%)でした。通期業績予想は既に上方修正されており、中間期の進捗はほぼ50%と順調に推移しています。
9. 財務健全性分析
- 自己資本比率、流動比率、負債比率の評価
- 自己資本比率(実績、会計表示): (連結) 5.9% (注: 銀行特有の会計上の表示であり、自己資本比率告示の定める比率とは異なります。)
- 国内基準の自己資本比率(連結): 12.58% (2025年9月末)
銀行の財務健全性の指標として重要な国内基準の自己資本比率は12.58%であり、一般的に安定水準とされる10%を上回っており、財務基盤は堅固と判断されます。 - 流動比率、負債比率: 具体的な数値の記載はありません。
- Total Cash (直近四半期): 723.81B
- Total Debt (直近四半期): 630.66B
- 財務安全性と資金繰りの状況
国内基準自己資本比率が安定水準にあること、預金残高や貸出残高が堅調に推移していることから、財務安全性は確保されており、資金繰りも安定していると考えられます。 - 借入金の動向と金利負担
— (提供データに借入金の具体的な動向や金利負担に関する記載なし)
10. 収益性分析
- ROE、ROA、各種利益率の評価
- ROE(過去12か月): 4.05%
- ROA(過去12か月): 0.25%
- Profit Margin(過去12か月): 16.66%
- Operating Margin(過去12か月): 28.68%
ROEとROAは、一般企業向けベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%)と比較して低い水準にあります。ただし、銀行業はその事業特性から一般的にROEやROAが低めに出る傾向があります。Profit MarginとOperating Marginは比較的高い水準です。
- 一般的なベンチマーク(ROE 10%、ROA 5%等)との比較
ROE (4.05%) はベンチマークの10%を下回っており、ROA (0.25%) もベンチマークの5%を大きく下回っています。 - 収益性の推移と改善余地
損益計算書からは連結純利益が過去数年で着実に増加しており、収益性自体は改善傾向にあります。中間決算では資金運用収益の増加が大きな要因となっており、金利上昇局面での資金利益拡大が収益改善の余地として期待されます。
11. 市場リスク評価
- ベータ値による市場感応度の評価
ベータ値は0.13であり、市場全体の変動に対する株価の感応度が非常に低いことを示しています。これは、市場全体が大きく変動しても、百五銀行の株価はその影響を受けにくい、あるいは独立した値動きをする可能性が高いことを意味します。 - 52週高値・安値のレンジと現在位置
52週高値は1,157.00円、52週安値は550.00円です。現在の株価1,122.0円は、52週高値に近い水準にあり、レンジの上限に位置しています。 - 決算短信に記載のリスク要因(外部環境、為替、地政学等)
決算短信には以下のリスク要因が挙げられています。- 為替変動
- 国債・株式など有価証券市況の変動(評価損益の変動)
- 金利動向の急変
- 国内外景気下振れによる与信費用の計上リスク
- 手数料ビジネスの低迷などの外部環境変化
12. バリュエーション分析
- 業種平均PER/PBRとの比較
百五銀行のPER (13.29倍) は業種平均PER (10.7倍) を、PBR (0.57倍) も業種平均PBR (0.4倍) を上回っています。 - 目標株価レンジの算出(業界平均倍率適用)
- 業界平均PER基準の目標株価: 84.43円 (予想EPS) × 10.7倍 (業界平均PER) = 903.301円
- 業界平均PBR基準の目標株価: 1,978.38円 (実績BPS) × 0.4倍 (業界平均PBR) = 791.352円
提供データによる目標株価はPER基準で830円、PBR基準で791円となっています。
- 割安・割高の総合判断
現在の株価1,122.0円は、業界平均PERおよびPBR基準の目標株価と比較すると割高な水準にあります。ただし、PBRが1倍を下回る水準であることや、足元の金利上昇による業績改善期待が株価に織り込まれている可能性も考慮する必要があります。
13. 市場センチメント分析
- 信用取引の状況(信用買残、信用倍率、需給バランス)
信用買残は1,060,900株、信用売残は314,100株、信用倍率は3.38倍です。信用買残が多い状況であり、需給バランスはやや買い方に偏っていると言えます。 - 株主構成(経営陣持株比率、安定株主の状況)
筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で9.46%を保有しています。その他、明治安田生命保険、日本生命保険などの機関投資家が大株主に名を連ねており、安定株主が多い構造であると推測されます。自社(自己株口)も4.51%を保有しています。経営陣持株比率の具体的な記載はありません。 - 大株主の動向
提供データに大株主の具体的な動向に関する記載はありません。
14. 株主還元と配当方針
- 配当利回りや配当性向の分析
会社予想配当利回りは2.32%であり、1株配当は26.00円(年間)です。配当性向は32.22%と健全な水準です。 - 自社株買いなどの株主還元策
決算短信にて、2026年3月期第2四半期において自己株式取得を行った実績があり、期末の自己株式数が増加しています。今後も配当と自己株式取得を通じた株主還元を継続する方針であることが示されています。 - 株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策
— (提供データに株式報酬型ストックオプション等のインセンティブ施策に関する記載なし)
15. 最近のトピックスと材料
- 適時開示情報の分析(大型受注、新製品、拠点展開等)
2026年3月期第2四半期決算において、会社は通期業績予想を上方修正しました(連結経常利益:26,400→28,800百万円、親会社株主帰属当期純利益:18,500→20,600百万円)。 - これらが業績に与える影響の評価
この上方修正は、銀行単体での資金利益(貸出金利息、有価証券利息)の増加が主因であり、現在の金利環境下での収益改善が着実に進んでいることを示しています。また、有価証券評価差額の改善も包括利益の大幅な改善に寄与しており、これは業績にポジティブな影響を与えています。通期目標達成に向けて順調に進捗していると考えられます。
16. 総評
百五銀行は三重県内で強固な地盤を持つ地方銀行であり、足元の金利上昇を追い風に業績を拡大しています。貸出金利息や有価証券利息の増加が牽引し、売上および純利益は過去数年間で堅調に成長しています。2026年3月期第2四半期決算では通期業績予想を上方修正するなど、好調な状況が続いています。国内基準の自己資本比率は安定水準を維持しており、財務健全性も良好です。
一方で、ROEやROAは一般的なベンチマークと比較して低い水準にあり、収益効率のさらなる向上が課題となります。現在の株価は、業界平均PER・PBRと比較すると割高な水準にあり、年初来高値圏で推移しています。ただし、ベータ値が低く市場感応度が低い点は、市場全体の変動リスクを低減する要因となり得ます。株主還元には積極的で、配当増額や自己株式取得も実施しています。
- 強み
- 三重県における圧倒的な地域基盤と安定的な顧客基盤
- 金利上昇局面での資金利益の増加
- 堅実な財務基盤(国内基準自己資本比率12.58%)
- 増収増益基調と通期業績予想の上方修正
- ベータ値が低く、市場全体の変動リスクに対する耐性が高い
- 弱み
- 一般的なベンチマークと比較してROE、ROAが低い
- 有価証券の評価損益など、金融市場の変動に業績が左右されるリスクがある
- 機会
- 愛知県への出店加速による新たな収益機会の獲得
- 金融市場の金利動向が今後もプラスに作用する可能性
- 手数料ビジネスのさらなる強化による収益源の多様化
- 脅威
- 国内外景気の下振れによる与信費用増加リスク
- 金利の急激な変動や有価証券市況の悪化
- 競合他社との競争激化
17. 企業スコア
- 成長性: A
- 総収益、純利益ともに過去数年増加傾向にあり、四半期売上成長率も23.60%と高い。中間決算での通期業績予想上方修正も評価。
- 収益性: C
- ROE 4.05%、ROA 0.25%と、一般的なベンチマークと比較して低い水準にあります。銀行業としては中程度かもしれませんが、提示された基準に基づき評価。
- 財務健全性: B
- 国内基準の自己資本比率12.58%は銀行業として安定水準ですが、一般企業の自己資本比率40%以上という基準には達しません。財務面では安定しています。
- 株価バリュエーション: C
- PER 13.29倍、PBR 0.57倍ともに業界平均(PER 10.7倍、PBR 0.4倍)を上回っており、現在の株価は業界平均と比較して割高と判断されます。
企業情報
| 銘柄コード | 8368 |
| 企業名 | 百五銀行 |
| URL | http://www.hyakugo.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 1,122円 |
| EPS(1株利益) | 84.43円 |
| 年間配当 | 2.32円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8.5% | 15.3倍 | 1,945円 | 11.8% |
| 標準 | 6.6% | 13.3倍 | 1,543円 | 6.8% |
| 悲観 | 3.9% | 11.3倍 | 1,157円 | 0.8% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 1,122円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 774円 | △ 45%割高 |
| 10% | 967円 | △ 16%割高 |
| 5% | 1,220円 | ○ 8%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.5)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。