企業の一言説明

コクヨは、事務用品最大手として紙製品、オフィス家具、文具などを展開し、オフィスソリューション事業と通販事業を拡大する企業です。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 堅固な財務基盤と株主還元への積極姿勢: Piotroski F-Scoreが7/9点(優良)を示す高い財務健全性を持ち、自己資本比率70.9%、流動比率273%と極めて安定しています。また、オアシスマネジメントによる株式買い増しは、同社の株主還元策や経営戦略への期待の表れと解釈でき、安定配当を継続する姿勢も評価できます。
  • 海外展開と事業ポートフォリオ多様化による成長機会: ベトナムのThien Long Group子会社化や国内販売会社の統合といったM&A・組織再編を通じた事業強化を進めています。オフィス家具、ビジネスサプライ流通、ステーショナリー、インテリアリテールといった多角的な事業構成により、市場変化への対応力と持続的な成長期待が見込まれます。
  • バリュエーションの割高感と収益効率の改善課題: PER18.98倍、PBR1.53倍は業界平均(PER14.5倍、PBR1.3倍)と比較して割高感があります。また、ROE8.38%とROA4.58%はベンチマーク(ROE10%、ROA5%)を下回っており、収益効率の改善が今後の課題として挙げられます。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 B 普通
収益性 B 普通
財務健全性 S 優良
バリュエーション D 懸念

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 895.5円
PER 18.98倍 業界平均14.5倍(約131%)
PBR 1.53倍 業界平均1.3倍(約118%)
配当利回り 2.74%
ROE 8.38%

1. 企業概要

コクヨは、1905年創業の事務用品最大手企業です。オフィス家具、文具、紙製品等の製造・販売を主力とし、オフィスソリューション、ビジネスサプライの通販事業も展開しています。主要事業には、オフィス環境構築を支援するファニチャー事業、事務用品・文具を提供するステーショナリー事業、通販を核とするビジネスサプライ流通事業、そしてインテリアリテール事業があります。長年の歴史で培われたブランド力と幅広い製品群、オフィス環境に関する総合的な提案力が強みです。

2. 業界ポジション

コクヨは、日本の事務用品・オフィス家具業界において最大手の一角として、高いブランド認知度と市場シェアを確立しています。特に紙製品分野では高いシェアを誇り、オフィス家具でも大手としての地位を築いています。競合他社と比較して、製品の多様性と総合的なオフィスソリューション提供能力に強みがあります。一方で、PER18.98倍、PBR1.53倍はいずれも業界平均(PER14.5倍、PBR1.3倍)を上回っており、株価は業界平均と比較して割高圏に位置しています。

3. 経営戦略

コクヨは、国内外での事業拡大とポートフォリオ強化を中期経営戦略の柱としています。2025年12月期の決算では、売上高が前期比+6.2%増、営業利益が同+16.5%増と堅調な成長を示しました。特に、ベトナムのThien Long Group子会社化(取得原価概算27,600百万円)は、新興国市場への本格的な海外展開を加速させる重要な一手です。国内では、2027年1月を効力発生日として国内販売会社6社をコクヨマーケティングに統合し、営業体制の効率化と顧客接点の強化を図る予定です。2026年12月期は売上3,900億円(+8.4%)と増収を予想する一方、当期純利益は為替リスクや事業投資の影響から減益を見込んでおり、これらの戦略的投資が将来の収益にどう貢献するかが注目されます。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 7/9 S: 優良(収益性・健全性が良好)
収益性 3/3 3項目全てクリアし、収益基盤は堅固です。
財務健全性 3/3 3項目全てクリアし、非常に健全な財務体質です。
効率性 1/3 僅か1項目のみクリアとなり、資本効率の改善余地があります。

解説: コクヨのPiotroski F-Scoreは7/9点という高い総合スコアで「優良」と評価されます。これは、純利益がプラス、営業キャッシュフローがプラス、ROAがプラスといった「収益性」と、流動比率が1.5以上、負債資本比率が1.0未満、株式希薄化がないといった「財務健全性」の全項目をクリアしているためです。一方、「効率性」では四半期売上成長率がプラスであるものの、営業利益率10%未満、ROE10%未満の基準を満たしておらず、資本を効率的に活用して利益を生み出す面には改善の余地があることを示唆しています。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): 5.16%
    • 営業利益率5.16%は、高い水準とは言えず、製品・サービスの競争力やコストコントロールの観点から改善の余地があります。
  • ROE(実績): 8.38% (過去12か月: 8.36%)
    • ROE8.38%は、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す指標であり、一般的な目安とされる10%を下回っていますが、過去の推移を見ると改善傾向にあります。
  • ROA(過去12か月): 4.58%
    • ROA4.58%は、総資産に対する効率性を示す指標であり、一般的な目安の5%に僅かに届かない水準です。これは、総資産を有効活用して利益を創出する能力に、さらなる伸びしろがあることを示唆しています。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 70.9%
    • 自己資本比率70.9%は非常に高く、財務の安定性が極めて優れていることを示します。負債が少なく、外部環境の変化に強い堅固な経営基盤を持っています。
  • 流動比率(直近四半期): 2.73 (273%)
    • 流動比率273%は短期的な支払い能力を示す指標であり、一般的に良好とされる200%を大きく上回っています。短期債務に対する支払い能力に全く問題なく、資金繰りは非常に安定しています。

【キャッシュフロー】

  • 営業キャッシュフロー(過去12か月): 143億7,000万円
    • 本業で稼ぎ出す現金であり、安定的にプラスを維持しています。
  • フリーキャッシュフロー(過去12か月): 41億円
    • 営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたもので、企業の自由に使える現金を示します。安定してプラスを維持しており、健全な成長投資や株主還元が可能です。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率: 0.67倍
    • この比率が1.0未満の場合、計上された利益に対して、実際に手元に残る現金が少ない「利益の質」にやや懸念がある状態と判断されます。コクヨの場合、利益の一部に現金化されていない要因(例: 有価証券売却益などの特別利益)が含まれている可能性があります。

【四半期進捗】

四半期ごとの進捗率や売上高・営業利益の推移に関する具体的なデータは提供されていません。ただし、2025年12月期の通期実績は、売上高359,876百万円、営業利益26,247百万円、親会社株主に帰属する当期純利益21,473百万円でした。2026年12月期の通期予想は、売上高390,000百万円、営業利益27,000百万円、当期純利益20,300百万円と、増収増益を見込むものの、純利益は減益予想となっています。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 18.98倍
    • 株価が1株当たり利益の何年分かを示す指標。業界平均14.5倍と比較して約131%であり、割高と判断されます。
  • PBR(実績): 1.53倍
    • 株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標。業界平均1.3倍と比較して約118%であり、やや割高と判断されます。

総合的に見て、コクヨの株価は業界平均と比較して割高であり、今後、業績の成長が期待収益に見合うかどうかが重要になります。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -1.25 / シグナル値: 2.54 短期トレンドに明確な方向感は見られません。
RSI 中立 42.6% 買われすぎでも売られすぎでもない中立圏にあります。
5日線乖離率 -0.66% 株価は5日移動平均線をわずかに下回っており、直近のモメンタムはやや弱い傾向です。
25日線乖離率 -2.33% 株価は25日移動平均線を下回っており、短期トレンドは下降方向を示唆しています。
75日線乖離率 -1.71% 株価は75日移動平均線を下回っており、中期トレンドも下降方向を示唆しています。
200日線乖離率 +2.17% 株価は200日移動平均線を上回っており、長期トレンドは上昇方向を維持しています。

解説: MACDとRSIは中立的なシグナルを示しており、短期的な明確なトレンド転換は見られません。5日、25日、75日移動平均線に対しては株価が下回っており、直近から中期にかけては下落基調にあると言えます。しかし、200日移動平均線を上回っていることから、長期的な視点では上昇トレンドを維持している状況です。

【テクニカル】

現在の株価895.5円は、52週高値975.00円からは約8.15%低い位置にあり、52週安値612.25円からは約46.26%高い位置にあります。これは、過去1年間の価格レンジの上方78.1%に位置しており、比較的高値圏で推移していることを示します。移動平均線を見ると、5日、25日、75日移動平均線は株価を上回っており、短期・中期的にトレンドの転換点あるいは調整局面にある可能性があります。一方、200日移動平均線は株価を下回っており、長期的な上昇トレンドは継続していると解釈できます。

【市場比較】

コクヨの株価パフォーマンスは、市場全体(日経平均、TOPIX)と比較して、特に短期〜中期にかけてアンダーパフォームしています。

  • 日経平均比: 1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年いずれの期間でも日経平均を大きく下回るパフォーマンスとなっています。特に6ヶ月では37.19%ポイント、1年では8.37%ポイントもの差が開いています。
  • TOPIX比: 同様に、1ヶ月の期間でTOPIXを7.87%ポイント下回っており、市場全体の流れに乗れていない状況が伺えます。

これは、市場全体が強い上昇トレンドにある中で、コクヨに特有の要因や、市場が評価する成長期待と比較して見劣りしている可能性があることを示唆しています。

【定量リスク】

  • ベータ(5Y Monthly): -0.02
    • ベータ値が-0.02と極めて小さい負の値であるため、市場全体の動きとはほとんど相関しないか、わずかに逆の動きをする傾向があることを意味します。市場全体が上昇する局面では、他の多くの銘柄と異なる動きをする可能性があります。
  • 年間ボラティリティ: 222.19%
    • 株価の年間ボラティリティが222.19%と非常に高く、株価が大きく変動するリスクがあることを示します。
  • 最大ドローダウン: -36.41%
    • 過去に経験した最大の下落率が-36.41%であったことを示します。投資する際には、この程度の下落は今後も起こり得るものとして認識しておく必要があります。
  • 年間平均リターン: 148.61%
    • 過去データに基づく年間平均リターンは148.61%と非常に高い数値が示されています。これは、過去の特定の期間において高い収益性を実現できた時期があったことを示唆しますが、将来のリターンを保証するものではありません。

仮に100万円を投資した場合、市場全体の動きとは異なる傾向が見られ、年間で約±222万円程度の大きな変動が想定されると共に、過去データからは平均で年間約148万円のリターンがあったことになります。 シャープレシオ0.67は、リスクに見合うリターンが十分ではない可能性を示唆しており、高ボラティリティとベータ値の特殊性を考慮すると、投資する際には慎重な判断が求められます。

【事業リスク】

  • 市場の需要変動と競争激化: 国内のオフィス需要や働き方の多様化は、オフィス家具や事務用品の市場構造を変化させています。競合他社の参入や製品・サービスの差別化が困難になった場合、収益性が圧迫されるリスクがあります。
  • 海外事業展開に伴うリスク: ベトナムでのM&Aなど海外事業を拡大する中で、為替変動リスク、現地の政治・経済情勢の変化、法的規制、文化の違いによる事業運営の難しさなどが顕在化する可能性があります。
  • 原材料価格高騰: 紙製品やオフィス家具の製造には、木材パルプ、金属、プラスチックなどの原材料が必要です。これらの価格が高騰した場合、製造コスト増加が収益を圧迫するリスクがあります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引状況: 信用倍率は0.49倍です。これは信用売残が信用買残を上回っており、将来的な買い戻し圧力(株価を押し上げる要因)となる可能性があります。
  • 主要株主構成:
    • 日本マスタートラスト信託銀行(信託口): 11.67%
    • 自社共栄会: 8.48%
    • Kuroda&Sons: 3.82%
      主要株主には、安定株主とみられる信託銀行や自社関連団体が多く含まれており、経営の安定性に寄与していると考えられます。また、最近ではアクティビストファンドであるオアシスマネジメントが保有割合を6.04%から9.91%に買い増しており、株主還元強化や企業価値向上に向けた動きが活発化する可能性も考えられます。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 2.74%
    • 現在の株価に対する配当利回りは2.74%と、比較的安定した水準です。
  • 配当性向(過去12ヶ月): 50.47% (2025年12月期実績: 50.7%)
    • 利益の約半分を配当に回しており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。2026年12月期も年間24.50円/株の配当を予想しており、安定的な株主還元を継続する方針です。
  • 自社株買いの状況: データなし

SWOT分析

強み

  • 国内事務用品市場での最大手としての確立されたブランド力と広範な製品ポートフォリオ。
  • Piotroski F-Score「優良」に裏打ちされた極めて高い財務健全性(自己資本比率70.9%等)。

弱み

  • ROE8.38%とROA4.58%が一般的なベンチマークを下回り、資本効率に改善余地。
  • PER/PBRが業界平均と比較して割高であり、バリュエーションに慎重な見方が必要。

機会

  • ベトナムM&Aなど海外市場への積極的な事業展開による新たな成長機会の獲得。
  • ワークライフバランス、多様な働き方に対応するオフィスソリューション事業の需要拡大。

脅威

  • 2026年12月期に当期純利益の減益予想があり、業績の減速が投資家センチメントに影響を与える可能性。
  • 原材料価格の変動や、国内市場の縮小傾向、激化する競争環境。

この銘柄が向いている投資家

  • 安定した財務基盤と配当を重視する長期投資家: 高い自己資本比率と安定した配当実績は、リスクを抑えつつ持続的なリターンを求める投資家にとって魅力的です。
  • 企業の変革期に投資機会を見出す投資家: 海外展開や組織再編といった経営戦略が奏功し、将来的な企業価値向上を期待する投資家に向いています。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 現在の株価が業界平均と比較して割高感があるため、エントリーポイントを慎重に検討する必要があります。
  • 利益の質(営業CF/純利益比率0.67)にやや懸念があるため、今後のキャッシュフローの改善状況を注意深く見守る必要があります。

今後ウォッチすべき指標

  • 海外事業の収益貢献度: ベトナムM&Aの進捗と、M&A後の海外事業セグメントの売上高・利益の具体的な貢献度。
  • ROE・ROAの改善: 資本効率を改善するための具体的な施策とその効果、目標値(例: ROE10%達成に向けた道筋)。
  • 株主還元のさらなる強化: オアシスマネジメントの動向と、それを受けた経営陣の株主還元策(例: 自社株買いの実施など)。

10. 企業スコア

  • 成長性: B
    • 過去12ヶ月の四半期売上成長率が8.70%、2026年12月期の売上高予想が前期比+8.4%であり、5%~10%の成長性を維持しているため「B」と評価します。
  • 収益性: B
    • ROEが8.38%、営業利益率が5.16%であり、ROE8%~10%または営業利益率5%~10%の基準に該当するため「B」と評価します。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率70.9%(60%以上)、流動比率273%(200%以上)、Piotroski F-Scoreが7/9点(7点以上)と、全ての基準を満たしているため「S」と評価します。
  • バリュエーション: D
    • PER18.98倍は業界平均14.5倍の約131%であり、PBR1.53倍も業界平均1.3倍の約118%と、PERが業界平均の130%を大きく上回っているため「D」と評価します。

企業情報

銘柄コード 7984
企業名 コクヨ
URL http://www.kokuyo.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – その他製品

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 896円
EPS(1株利益) 47.18円
年間配当 2.74円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 4.5% 21.1倍 1,238円 7.0%
標準 3.5% 18.3倍 1,024円 3.0%
悲観 2.1% 15.6倍 814円 -1.5%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 896円

目標年率 理論株価 判定
15% 517円 △ 73%割高
10% 645円 △ 39%割高
5% 814円 △ 10%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
オカムラ 7994 2,590 2,606 11.84 1.28 11.8 4.01
イトーキ 7972 3,205 1,710 17.45 2.79 16.8 2.49
キングジム 7962 814 256 46.51 0.92 2.2 1.71

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.26)」によって自動生成されました。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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