企業の一言説明
三菱電機は、電機・電子機器の製造・販売をグローバルに展開する総合電機大手の企業です。
投資判断のための3つのキーポイント
- 多角的な事業ポートフォリオと堅固な財務基盤: インフラ、FA (ファクトリーオートメーション)、ライフ製品、半導体・デバイス、防衛・宇宙など多岐にわたる事業を展開し、安定した収益源を確保。自己資本比率61.9%、Piotroski F-Score7/9点(S評価)と極めて健全な財務体質。
- デジタル・グリーン分野への積極投資と成長戦略: DX (デジタルトランスフォーメーション) 人材の育成強化、OTセキュリティ企業買収、独自技術を持つスタートアップへの出資など、成長分野への戦略的投資を推進。FAやインフラ分野での需要拡大を見込む。
- バリュエーションの割高感と「ネクストステージ支援制度」による営業利益への一時的影響: PER30.70倍、PBR2.64倍と業界平均と比較して割高感があり、投資判断には慎重な検討が必要。また、「ネクストステージ支援制度」に伴う特別措置費用約743億円が計上されており、一時的に連結営業利益が減少している点に注意が必要です。
企業スコア早見表
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 成長性 | B | 着実な増加 |
| 収益性 | B | 平均水準 |
| 財務健全性 | S | 極めて優良 |
| バリュエーション | D | 割高感強い |
※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 5,400.0円 | – |
| PER | 30.70倍 | 業界平均24.2倍 |
| PBR | 2.64倍 | 業界平均1.6倍 |
| 配当利回り | 1.02% | – |
| ROE | 9.51% | – |
1. 企業概要
三菱電機は、1921年設立の歴史ある総合電機メーカーです。インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、デジタルイノベーション、セミコンダクター・デバイスといった多岐にわたるセグメントで事業を展開しており、それぞれの分野で幅広い製品・サービスを提供しています。主力製品には、鉄道車両システム、電力システム、防衛・宇宙システム、FA機器、自動車機器、エレベーター・エスカレーター、空調・家電製品、情報通信システムなどがあります。特にFA機器、パワー半導体、防衛向け電子機器などは技術的独自性を持ち、高い参入障壁を築いています。収益モデルは多様な製品・システムの販売と関連するソリューション提供が中心であり、国内外の幅広い顧客基盤を有しています。
2. 業界ポジション
三菱電機は、日本の電機業界において、日立製作所や東芝(旧事業)、富士通などと並ぶ大手総合電機メーカーの一角を占めています。特にFA機器分野では世界的な競争力を持ち、高い市場シェアを有しています。また、防衛・宇宙関連技術でも先行しており、特定分野における高い技術力と実績が強みです。競合に対しては、幅広い事業ポートフォリオと長年の実績に基づく信頼性、技術力が優位性となります。一方で、事業領域が広範なため、特定の新興分野での専門特化型企業との機動性や成長スピードでの差別化が課題となることもあります。主要な財務指標を業界平均と比較すると、PER30.70倍は業界平均の24.2倍を上回り、PBR2.64倍も業界平均の1.6倍を大きく超えており、投資家からは高い成長期待やブランド価値が織り込まれていると解釈できる一方で、割高感も意識されます。
3. 経営戦略
三菱電機は、中期経営計画において、収益性・効率性の改善と成長投資の両立による経営体質強化を最重要課題と位置付けています。具体的には、価格体系の見直し、コスト削減、資産売却などによる収益構造の改善を図りつつ、FAやインフラ分野への積極的な投資を継続しています。FA事業では、製造業の設備投資需要を着実に取り込み、インフラ事業では公共・交通インフラ向け受注を強化、エネルギー分野では再生可能エネルギーやデータセンター向けソリューション提案に注力しています。
最近の重要な適時開示としては、AIやIoTを活用した高度な自動化技術を提供するOTセキュリティ企業であるNozomi Networksの買収(取得対価約1,308億円)や、独自ナノインク技術を有するエレファンテックへの出資を通じた事業提携など、戦略的なM&Aや技術提携を積極的に行い、デジタル分野および技術革新へのコミットメントを示しています。また、DX人材を2万人規模に育成するためのデジタル研修施設の開設なども進めており、組織全体のデジタル対応力強化に努めています。
決算説明資料からは、ネクストステージ支援制度にかかる特別措置影響を除けばインフラ・FAを中心に売上・利益が拡大しており、収益性改善施策や為替の円安効果が通期見通しの上方修正に寄与していることが確認できます。経営陣は、これらの施策を着実に推進し、経営体質の強化を継続していくことを表明しています。
今後のイベントとしては、2026年3月30日に配当落ち日が、2026年4月28日に決算発表日が予定されており、投資家にとって重要な指標となるでしょう。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 7/9 | S: 財務優良(収益性・健全性・効率性すべて良好) |
| 収益性 | 3/3 | 純利益、営業キャッシュフロー、ROAが全てプラスで、良好な利益創出能力を示唆します。 |
| 財務健全性 | 3/3 | 流動比率の安定性、低D/Eレシオ、株式希薄化なしによって、盤石な財務基盤が確認できます。 |
| 効率性 | 1/3 | 四半期売上成長率は確認できましたが、営業利益率とROEが改善目標値を上回っていないため、資本効率性と収益性の一層の向上が課題です。 |
Piotroski F-Scoreの総合スコアは7/9点と高い評価を得ており、これは三菱電機の財務体質が総合的に優良であることを示しています。特に、純利益がプラス、営業キャッシュフローがプラス、ROA(総資産利益率)がプラスという基本的な収益性指標が全て満たされている点は、企業が健全な事業活動を通じて利益を生み出している証拠です。また、流動比率(短期的な支払い能力)やD/Eレシオ(負債比率)の改善、株式希薄化がないことは、財務の健全性が高い水準で維持されていることを裏付けています。一方で、効率性のスコアが1/3点にとどまっており、特に「営業利益率が10%以上」「ROEが10%以上」という基準を満たしていない点が改善余地として指摘されます。この点は、今後の成長戦略と収益性改善施策の進展が期待されます。
【収益性】営業利益率、ROE、ROA
- 営業利益率: 過去12ヶ月で7.83%です。これは売上高に対する事業の収益性を示す指標であり、三菱電機が事業活動を通じて効率的に利益を上げていることを示します。F-Scoreの基準である10%以上には届いていませんが、大手総合電機メーカーとして安定した水準を維持しています。
- ROE(自己資本利益率): 過去12ヶ月で9.51%です。これは株主が出資した資金(自己資本)をどれだけ効率的に使って利益を上げているかを示す指標です。一般的に10%以上が望ましいとされますが、三菱電機はそれに近い水準であり、株主価値の向上に貢献しています。
- ROA(総資産利益率): 過去12ヶ月で3.57%です。これは企業の総資産をどれだけ効率的に利用して利益を上げているかを示す指標です。一般的に5%以上が望ましいとされますが、三菱電機はそれにやや届かない水準です。これは、事業の性質上、大規模な固定資産を保有しているため、ROAが相対的に低くなる傾向にあることが考えられます。
【財務健全性】自己資本比率、流動比率
- 自己資本比率: 61.9%です。これは総資産に占める自己資本の割合を示し、企業の安定性や返済不要な資金の構成比を示す重要な指標です。一般的に30%以上であれば安全圏とされますが、三菱電機は60%以上と極めて高い水準を誇っており、安定した財務基盤を有していることが明確です。
- 流動比率: 1.99倍です。これは流動資産を流動負債で割った比率で、企業の短期的な支払い能力を示す指標です。一般的に150%(1.5倍)以上が健全とされ、200%(2.0倍)以上であればより優良と評価されます。三菱電機は1.99倍と非常に良好な水準であり、短期的な債務返済能力に全く問題がないことを示しています。
【キャッシュフロー】営業CF、FCFの状況
- 営業キャッシュフロー(営業CF): 過去12ヶ月で4,906億7,000万円(約4,907億円)です。これは本業によって生み出された現金を示し、企業の事業活動が順調であることを示します。安定して潤沢な営業CFを創出していることは、事業の持続可能性と成長投資余力の高さを示唆します。
- フリーキャッシュフロー(FCF): 過去12ヶ月で2,523億9,000万円(約2,524億円)です。これは営業CFから投資CFを差し引いたもので、企業が自由に使える現金の余裕を示します。潤沢なFCFは、配当、自社株買い、新規投資、負債返済などに活用できるため、企業の成長戦略や株主還元政策の柔軟性を高めます。
【利益の質】営業CF/純利益比率
- 営業CF/純利益比率: 1.31倍です。この比率が1.0以上であれば、会計上の利益(純利益)が実際の現金流入(営業キャッシュフロー)によって裏付けられていることを意味し、「利益の質が健全」と評価されます。三菱電機は1.31倍と1.0を大きく上回っており、非常に高品質な利益を上げている優良な企業と言えます。
【四半期進捗】通期予想に対する進捗率
- 通期売上高予想に対する進捗率: 2026年3月期第3四半期累計(1-3Q)の売上高は4兆1,560億1,000万円であり、通期売上高予想5兆7,600億円に対し約72.2%の進捗です。
- 通期営業利益予想に対する進捗率: 2026年3月期第3四半期累計の営業利益は2,947億5,700万円であり、通期営業利益予想4,000億円に対し約73.7%の進捗です。
- 通期親会社株主に帰属する当期純利益予想に対する進捗率: 2026年3月期第3四半期累計の親会社株主に帰属する当期純利益は2,982億6,500万円であり、通期親会社株主に帰属する当期純利益予想3,600億円に対し約82.9%の進捗です。
直近の第3四半期決算は売上高で前年同期比+3.9%と増収を達成しましたが、営業利益は前年同期比△2.9%の減益となりました。これは「ネクストステージ支援制度」関連の特別措置費用約743億円を「その他の損益」に計上した影響が大きく、この影響を除くとインフラ・FAを中心に売上・利益は拡大し、収益性は改善しています。純利益に関しては前年同期比+20.2%と大幅な増益を達成しており、通期予想に対する進捗も概ね順調に進んでいると評価できます。
【バリュエーション】PER/PBR
- PER(株価収益率): 30.70倍です。これは株価が1株当たり純利益の何倍かを示す指標で、市場が企業の収益力をどう評価しているかを表します。業界平均の24.2倍と比較すると、三菱電機のPERは約1.27倍高くなっており、割高感があると判断できます。これは、市場が同社の将来の成長性や収益改善に期待を寄せていることの表れでもありますが、現時点での利益水準から見るとやや高水準です。
- PBR(株価純資産倍率): 2.64倍です。これは株価が1株当たり純資産の何倍かを示す指標で、企業の解散価値に対する評価を表します。業界平均の1.6倍と比較すると、三菱電機のPBRは約1.65倍高くなっており、こちらも割高感があると考えられます。PBRが1倍を下回る企業は、理論上、解散価値よりも株価が低い「割安」な状態とされますが、三菱電機は2倍を大きく超えており、その企業価値やブランド力が高く評価されていることを示唆しています。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: 43.1 / シグナルライン: 106.44 | MACD値がシグナルラインを下回っており、短期的な下降トレンドまたは調整局面にある可能性を示唆しており、現時点では明確なトレンド転換のシグナルは出ていません。 |
| RSI | 中立 | 48.9% | RSIは48.9%と50%付近で推移しており、買われすぎでも売られすぎでもない中立的な状態を示しています。 |
| 5日線乖離率 | – | -0.98% | 株価は5日移動平均線をわずかに下回っており、直近のモメンタムはやや弱含みです。 |
| 25日線乖離率 | – | -4.17% | 株価は25日移動平均線を比較的大きく下回っており、短期トレンドからの下方向への乖離が見られます。 |
| 75日線乖離率 | – | +7.63% | 株価は75日移動平均線を上回っており、中期トレンドは依然として上昇基調を維持しています。 |
| 200日線乖離率 | – | +31.98% | 株価は200日移動平均線を大幅に上回っており、長期トレンドは力強い上昇基調にあります。 |
【テクニカル】52週高値・安値との位置、移動平均線との関係
現在の株価5,400.0円は、52週高値6,060円に対して約10.9%安、52週安値2,267円に対して約138%高の水準にあり、52週レンジ内での位置は82.7%(安値から高値までの範囲でどこに位置するか)と、高値圏で推移しています。これは過去1年で株価が大きく上昇したことを示しており、強い上昇トレンドの中にあります。
移動平均線との関係を見ると、現在株価は5日移動平均線(5,459.40円)と25日移動平均線(5,642.04円)を下回っています。これは短期的には調整局面に入っていることを示唆しています。しかし、75日移動平均線(5,023.59円)と200日移動平均線(4,108.98円)を大きく上回っていることから、中期および長期的な上昇トレンドは維持されており、押し目買いの機会を探る投資家もいる可能性があります。
【市場比較】日経平均・TOPIXとの相対パフォーマンス
三菱電機の株価パフォーマンスは、過去1ヶ月では日経平均およびTOPIXをわずかに下回っていますが、3ヶ月、6ヶ月、1年といった中長期の期間では、両主要指数を大幅に上回る好パフォーマンスを示しています。
- 1ヶ月: 日経平均比0.55%ポイント下回る、TOPIX比1.33%ポイント下回る。
- 3ヶ月: 日経平均比11.21%ポイント上回る、TOPIX比10.38%ポイント上回る。
- 6ヶ月: 日経平均比27.17%ポイント上回る。
- 1年: 日経平均比91.72%ポイント上回る。
特に過去1年間の株価上昇率は+134.16%と、日経平均の+42.43%を大きく引き離して推移しており、市場全体を上回る強い上昇モメンタムを伴ってきたことがうかがえます。これは、三菱電機の事業構造改革や業績改善への期待、特定の成長分野での強みが投資家から高く評価されていることを示しています。
6. リスク評価
【注意事項】
⚠️ 信用倍率が16.20倍と高水準です。これは株価が今後下落した場合に、将来の売り圧力となる可能性がありますので注意が必要です。
【定量リスク】
- ベータ値: 0.52です。ベータ値は市場全体の動きに対する個別銘柄の感応度を示し、1.0より小さい場合は市場全体よりも株価変動が小さい(リスクが低い)傾向にあることを意味します。三菱電機は0.52と低いベータ値を示しており、比較的市場の変動に対して安定した銘柄であると言えます。
- 年間ボラティリティ: 40.08%です。これは1年間における株価の変動の激しさを示します。三菱電機の株価は比較的変動が大きいことを示しており、例えば100万円投資した場合、年間で±40万円程度の変動が想定される可能性があることを意味します。
- 最大ドローダウン: -68.21%です。これは過去のある時点から最も下落したときの損失率を示します。投資を継続する中で、過去にはこれと同様、あるいはこれ以上の下落幅を経験する可能性が常に存在することを示すため、投資家はそのリスクを理解しておく必要があります。
- シャープレシオ: -0.70です。この指標は、リスクに見合ったリターンが得られているかを示し、1.0以上が良好とされます。マイナス値は、リスクに対して十分なリターンが得られていない期間があったことを示唆しており、特に過去1年間の好パフォーマンスとは異なる長期的な観点からのリスク・リターン評価を示しています。
【事業リスク】
- 為替変動リスク: 三菱電機はグローバルに事業を展開しているため、為替レートの変動が業績に大きな影響を与えます。決算説明資料でもドル150円、ユーロ180円、人民元22.0円といった前提を置いていますが、これらの前提から大きく外れる場合、想定外の収益の変動が発生する可能性があります。
- 地政学リスク・サプライチェーンリスク: 世界情勢の不安定化や国際的な貿易摩擦、自然災害などは、部品調達の遅延や価格高騰、海外での生産・販売活動への影響など、サプライチェーン全体に混乱をもたらし、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に半導体製造やITインフラなど、精密部品や高技術製品を扱う同社にとって重要なリスク要因です。
- ネクストステージ支援制度の追加影響: 過去の不適切検査問題に端を発する「ネクストステージ支援制度」は、業績に一時的ながらも大きなインパクトを与えています。今後、さらなる追加費用や評価損が発生する可能性があり、その動向は引き続き監視が必要です。
- サイバーセキュリティリスク: デジタル化の進展に伴い、情報システムやOT(Operational Technology)のサイバー攻撃リスクが増大しています。顧客情報の漏洩やシステム障害が発生した場合、事業停止や損害賠償、ブランドイメージの低下に繋がりかねません。OTセキュリティ企業買収などで対策を強化していますが、完全な防御は困難です。
- 競争激化・技術革新のスピード: 電機業界は技術革新が激しく、国内外の競合他社との競争も熾烈です。新技術への対応遅れや、競合の画期的な製品・サービスの登場は、市場シェアや収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。
7. 市場センチメント
信用取引状況: 信用買残が3,305,100株、信用売残が204,000株で、信用倍率は16.20倍と非常に高い水準にあります。信用買残の増加は、将来的な株価上昇を期待する投資家が多いことを示唆する一方で、将来の売り圧力となる可能性も秘めており、株価の需給バランスには注意が必要です。
主要株主構成: 日本マスタートラスト信託銀行(信託口)が14.91%、日本カストディ銀行(信託口)が5.37%、ステート・ストリート・バンク&トラスト505001が4.57%を保有しており、信託銀行や海外機関投資家、生命保険会社などが大株主に名を連ねています。機関投資家の保有割合が高いことは、安定した株主構成を示し、長期的な視点での企業価値向上に期待が寄せられていると解釈できます。
8. 株主還元
配当利回り: 会社予想ベースで1.02%です。これは東証プライム市場全体の平均と比較すると中程度であり、安定的な配当を志向する投資家にとっては許容範囲内の水準と言えます。
配当性向: 会社予想ベースで32.1%です。これは純利益のうちどれだけを配当に回しているかを示す指標で、一般的に30~50%が健全な水準とされます。三菱電機は32.1%と安定的な水準を維持しており、今後の成長投資と株主還元のバランスを考慮した妥当な水準と考えられます。なお、年間配当は55.00円(中間25.00円、期末予想30.00円)を予定しています。
自社株買いの状況: 現時点では、提供されたデータからは自社株買いに関する具体的な情報はありません。
SWOT分析
強み
- 総合的な技術力と広範な事業ポートフォリオ: FA、インフラ、家電、半導体、防衛・宇宙といった多様な分野で培われた高度な技術力と、それらを統合するシステムインテグレーション能力は、競合に対する大きな差別化要因であり、景気変動に対する耐性も高めています。
- 極めて安定した財務基盤: 自己資本比率61.9%、流動比率1.99倍、Piotroski F-Score7/9点(S)など、財務健全性が非常に高く、積極的な成長投資や不測の事態にも対応できる強固な経営基盤を持っています。
弱み
- 収益性の改善余地: ROE9.51%、営業利益率7.83%は、市場や一部大手企業と比較して改善余地があり、効率性スコアが1/3点にとどまっている点からも、資本効率と収益性のさらなる向上が課題です。
- ブランドイメージへの影響と特別損失: 過去の不適切検査問題は、企業のブランドイメージに一時的ながらもダメージを与え、「ネクストステージ支援制度」による特別損失は短期的な利益を圧迫する要因となっています。
機会
- DX・グリーン社会への貢献と需要拡大: 世界的なDX推進、脱炭素化の流れは、同社のFA機器、エネルギー効率化ソリューション、EV関連機器、再エネシステム、OTセキュリティといった事業分野にとって大きな成長機会をもたらします。
- インフラ投資の活性化と防衛費増強: 世界各国でのインフラ老朽化対策への投資需要や、地政学リスクの高まりに伴う防衛費増強は、同社のインフラシステム事業や防衛・宇宙システム事業にとって追い風となります。
脅威
- 激化するグローバル競争と技術革新の加速: 特にアジア企業や新興テクノロジー企業による低価格攻勢や、AI・IoTなどの先端技術分野における技術革新のスピードは、同社の市場シェアや収益性を脅かす可能性があります。
- サプライチェーンの混乱と原材料価格の高騰: 半導体不足や地政学リスクの長期化によるサプライチェーンの不安定化、エネルギー・原材料価格の高騰は、生産コストの増加や供給能力の制約となり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
この銘柄が向いている投資家
- 安定した財務基盤と分散型事業を重視する長期投資家: 多角的な事業ポートフォリオと極めて健全な財務体質を持つため、景気変動や特定の事業リスクに強い企業に長期的に投資したいと考える投資家に向いています。市場のボラティリティ(変動性)に対する耐性も比較的高いベータ値を示しています。
- DX・グリーン分野の成長を中長期で捉えたい投資家: 工場の自動化(FA)、エネルギーソリューション、宇宙・防衛、IT・OTセキュリティなど、今後の社会インフラや産業の変革を支える分野での成長戦略に魅力を感じる投資家にとって、投資妙味があると言えます。
- ポートフォリオの安定性を重視する投資家: ベータ値が0.52と市場全体の変動に対して相対的に安定している特性を持つため、全体のポートフォリオのリスクを抑制しつつ、優良大型株への投資関心がある投資家にも適しています。
この銘柄を検討する際の注意点
- バリュエーションの割高感への許容度: 現在のPERおよびPBRは業界平均よりも高い水準にあり、将来の成長が既に株価に織り込まれている可能性があります。そのため、現在の株価水準が適正かを自身の投資基準で判断し、割高感に対するリスク許容度を考慮する必要があります。
- 「ネクストステージ支援制度」による財務・ブランドへの影響: 特別措置費用計上による一時的な利益圧迫や、長期的なブランドイメージへの影響、今後の追加費用発生の可能性は、投資判断において継続的に注意深く監視すべき要素です。
- 四半期ごとの収益性モニタリング: 第3四半期は進捗が順調であるものの、営業利益率がF-Scoreの基準や一部競合と比較して改善余地があるため、今後の決算発表において、収益性改善施策の効果がどの程度現れるかを詳細に確認することが重要です。
今後ウォッチすべき指標
- 営業利益率・ROEの改善状況: 収益性向上が課題とされているため、決算発表ごとに営業利益率が8%台半ば以上、ROEが10%以上に改善する傾向を示せるか注目です。
- デジタル・グリーン関連事業の成長寄与: Nozomi Networks買収やエレファンテック出資といった戦略的投資が、具体的な売上高や利益にどの程度貢献しているかを、セグメント別業績などから確認すべきです。
- 為替変動の影響: ドル円レートをはじめとする主要通貨の為替レートが、会社計画である1ドル150円などから大きく変動した場合、業績への影響を評価する必要があります。
- 信用倍率の動向: 現在16.20倍と高水準にある信用倍率が、株価形成に与える将来的な売り圧力のリスクを軽減するためにも、今後の推移を継続的にウォッチすることが重要です。
10. 企業スコア
- 成長性: B
- 過去数年間の売上高は着実に増加しており、2022年3月期の4兆4,767億円から2025年3月期予想の5兆5,217億円、さらに2026年3月期予想の5兆7,600億円へと年率平均6.64%程度の成長を継続しています。四半期の前年比成長率は4.9%ですが、中長期的な安定的な成長トレンドにあると評価できます。
- 収益性: B
- 過去12ヶ月のROEは9.51%と、一般的な目安である10%にわずかに届かない水準です。また、営業利益率は7.83%と、こちらも10%以上が望ましいとされる水準には及んでいません。大規模な総合電機メーカーとしては堅実な水準ですが、さらなる収益効率の改善が期待されます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は61.9%と非常に高く、流動比率も1.99倍と短期的な支払い能力に全く問題ありません。Piotroski F-Scoreも7/9点のS評価を得ており、財務基盤は極めて強固で優良であると評価できます。
- バリュエーション: D
- PER30.70倍は業界平均の24.2倍を大きく上回り、PBR2.64倍も業界平均の1.6倍に対して高水準です。これは市場が同社の将来性やブランド価値を高く評価していることの表れでもありますが、業界平均との比較では割高感があり、現時点では「割高」と判断されます。
企業情報
| 銘柄コード | 6503 |
| 企業名 | 三菱電機 |
| URL | http://www.mitsubishielectric.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 5,400円 |
| EPS(1株利益) | 174.83円 |
| 年間配当 | 1.02円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 19.1% | 33.1倍 | 13,831円 | 20.7% |
| 標準 | 14.7% | 28.8倍 | 9,964円 | 13.1% |
| 悲観 | 8.8% | 24.4倍 | 6,513円 | 3.8% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 5,400円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 4,958円 | △ 9%割高 |
| 10% | 6,191円 | ○ 13%割安 |
| 5% | 7,813円 | ○ 31%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日立製作所 | 6501 | 4,812 | 220,464 | 29.00 | 3.41 | 12.9 | 0.93 |
| ファナック | 6954 | 6,001 | 58,952 | 37.31 | 3.11 | 9.1 | 1.69 |
| 富士電機 | 6504 | 11,360 | 16,960 | 19.05 | 2.22 | 12.8 | 1.60 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.32)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。