ヌーラボ(5033)企業分析レポート
東京証券取引所グロース市場に上場するヌーラボ(5033)について、個人投資家向けに企業分析レポートを作成しました。
1. 企業情報
ヌーラボは、チームコラボレーションを促進するクラウドサービス(SaaS)を開発・提供している企業です。主要製品はプロジェクト管理ツール「Backlog」で、売上高の9割以上を占める事業の柱となっています。その他、オンライン作図ツール「Cacoo」や、組織のセキュリティ・ガバナンスを強化する「Nulab Pass」も展開しています。ビジネスチャットツール「Typetalk」については、経営資源の選択と集中のため、2025年12月1日をもってサービスを終了する予定です。本社は福岡市にあります。
連結事業におけるセグメント別売上構成(2025年3月期予想)は、Backlogが93%、Nulab Passが4%、Cacooが3%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ヌーラボが属するプロジェクト管理ツールの市場は、働き方の多様化やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を背景に、需要が継続して高いと想定されています。この市場は多数の国内外ベンダーが競合する環境にあります。
主力製品である「Backlog」は20周年を迎える実績を持つほか、近年では生成AI機能「Backlog AI アシスタント」のベータ提供を開始するなど、競争環境の中で製品の優位性を維持しようと努めています。提供された情報からは具体的な市場シェアの数値は不明ですが、長年の実績とユーザー基盤、そして継続的な機能強化によって一定のポジションを確立していると推測されます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、提供するクラウドサービスを通じてチームコラボレーションを促進し、顧客の生産性向上に貢献することを目指しています。直近の動向としては、「Typetalk」のサービス終了を決定し、経営資源を「Backlog」をはじめとする主力サービスに集中させる戦略が見られます。
「Backlog AI アシスタント」の導入は、サービスの付加価値を高め、顧客体験を向上させることで、競争優位性を確立する重点施策の一つと考えられます。これにより、SaaSビジネスにおいて重要な顧客満足度の向上と、それに伴う解約率の低減、新規顧客獲得を目指していると推察されます。
4. 事業モデルの持続可能性
ヌーラボの事業モデルは、サブスクリプション型のクラウドサービス(SaaS)が中心であり、月額または年額の利用料で継続的な収益を得るストック型ビジネスです。このモデルは、一度顧客を獲得すれば安定した収益が見込めるため、高い持続可能性を持つとされています。
働き方の多様化や企業のDX推進は、遠隔コミュニケーション、プロジェクト管理、セキュリティ対策ツールへの需要を喚起しており、市場ニーズは堅調に推移しています。主力製品の「Backlog」は、生成AI機能の導入など、市場の変化や顧客の新たな要望に適応しようとする姿勢が見られ、事業モデルの持続性向上に貢献する可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
ヌーラボの技術開発は、主力製品である「Backlog」の機能強化に特に注力されています。直近では、生成AIを活用した「Backlog AI アシスタント」のベータ提供を開始しました。これは、プロジェクト管理の効率化や情報整理の自動化など、顧客の生産性向上に貢献する先進的な技術導入であり、他社との差別化を図る独自性の追求と捉えられます。
その他、「Cacoo(オンライン作図ツール)」や「Nulab Pass(認証管理ツール)」も継続的に開発・提供され、顧客の多様なニーズに対応しています。特に「Backlog」は同社の収益を牽引する主力製品です。
6. 株価の評価
現在の株価817.0円と各種指標に基づき、株価の評価を行います。
* PER(会社予想): 23.76倍
* PBR(実績): 2.68倍
* EPS(会社予想): 34.39円
* BPS(実績): 317.24円
業界平均のPERが66.2倍、PBRが3.5倍であることと比較すると、ヌーラボのPER(23.76倍)およびPBR(2.68倍)は、業界平均を下回っています。この数値だけを見ると、現在の株価は業界平均と比較して割安な水準にあると言えます。ただし、PERは会社予想の減益も織り込まれている可能性があります。
7. テクニカル分析
直近の株価推移と移動平均線を参照します。
* 現在の株価: 817.0円
* 年初来高値: 1,252円
* 年初来安値: 740円
* 50日移動平均線: 826.40円
* 200日移動平均線: 910.20円
現在の株価は年初来安値(740円)に近い水準にありますが、直近10日間では740円台から817円まで上昇傾向にあります。
ただし、50日および200日移動平均線の両方を下回っており、中長期的な下降トレンドの途中にあり、短期的には反発している状況と見られます。
8. 財務諸表分析
過去数年の損益計算書及び直近の決算短信に基づいて財務状況を評価します。(単位:百万円)
| 指標 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 2Q累計 | 2026年3月期 通期予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,328 | 2,706 (+16%) | 3,662 (+35%) | 4,112 (+12%) | 2,153 (+7% YoY) | 4,603 (+12% YoY) |
| 売上総利益 | 1,416 | 1,733 | 2,637 | 2,963 | — | — |
| 営業利益 | 167 | 101 (△40%) | 332 (+229%) | 640 (+93%) | 229 (△39% YoY) | 300 (△53% YoY) |
| 純利益 | 197 | 88 (△55%) | 308 (+248%) | 552 (+79%) | 160 (△40% YoY) | 223 (△60% YoY) |
| ROE(実績) | 33.3% | 13.98% | 34.10% | 29.05% (LTM) | — | — |
| ROA(過去12か月) | — | — | — | 9.08% (LTM) | — | — |
| 自己資本比率 | — | — | 45.0% | 45.0% | 44.3% | — |
| 流動比率 | — | — | — | 1.59倍 | 1.55倍 | — |
| 営業CF | — | — | — | 435 (+ YoY) | — | — |
- 売上: 売上高は過去数年にわたり着実に成長しており、直近の2026年3月期第2四半期累計も前年同期比で増加しています。しかし、成長率は2024年3月期の+35%をピークに、2025年3月期は+12%、2Q累計予測は+7%、通期予想は+12%と、鈍化傾向が見られます。
- 利益: 営業利益および純利益は、2023年3月期に一時的に減少したものの、2024年3月期、2025年3月期と大きく回復しました。しかし、最新の2026年3月期第2四半期累計では、販売費及び一般管理費(特に人件費や開発投資)の増加により、営業利益・経常利益・純利益ともに前年同期比で約40%近くの大幅な減益となっています。通期予想も減益を見込んでおり、収益性の動向は今後の注視が必要です。
- キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは、直近の中間期で435百万円のプラスと安定的に黒字を確保しており、本業で現金を稼ぐ力があります。投資活動によるキャッシュフローは、無形固定資産(主にソフトウェア開発)への投資が行われています。財務活動によるキャッシュフローは、短期借入金により増加しています。
- 収益性指標: ROEは実績で34.10%(過去12か月で29.05%)と非常に高い水準を維持しており、株主資本を効率的に活用して収益を上げていることを示しています。ROAも良好です。
- 財務健全性: 自己資本比率は45.0%(中間期44.3%)と健全な水準を維持しています。流動比率も159%(中間期155%)と短期支払い能力は良好です。総負債に対する自己資本の比率を見ても、Total Debt/Equity比率は0.05%と非常に低く、ほぼ無借金経営に近い非常に健全な財務体質であることが示されています。現金及び預金も35億円以上と潤沢です。
9. 株主還元と配当方針
ヌーラボの会社予想配当利回りは0.00%であり、1株配当も0.00円とされています。現状、配当による株主還元は実施していません。自社株買いに関する情報も提供データにはありませんでした。
これは、成長段階にある企業として、得られた利益を事業の成長投資に再投入し、中長期的な企業価値向上を優先する方針であると推測されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は年初来安値圏で動き、50日移動平均線、200日移動平均線のいずれも下回っており、中長期的な下降トレンドにあると見られます。ただし、直近10日間では比較的低い水準から小幅な上昇が見られ、短期的な反発の兆候も存在します。
出来高は全体的に少ない傾向にあり、市場全体の投資家関心が非常に高い状態ではない可能性を示唆しています。
信用取引の状況を見ると、信用買残が信用売残の約22倍(22.06倍)と買い残高が多く、需給が偏っているため、短期的な株価上昇の重荷になる可能性があります。
大株主には創業者が名を連ね、インサイダー持ち株比率が高い構造です。
11. 総評
ヌーラボは、プロジェクト管理ツール「Backlog」を主力とするクラウドサービス企業であり、働き方の変化やDX推進を背景に、売上高は着実に成長を継続しています。経営資源の選択と集中を進め、「Typetalk」のサービス終了を決定する一方で、「Backlog AI アシスタント」の導入など、主力製品の技術革新に意欲的な姿勢を示しています。
財務基盤は自己資本比率が高く、流動性も良好、かつ実質無借金に近いなど、非常に健全です。しかし、直近の2026年3月期第2四半期中間決算では、人件費増や開発投資など販売費及び一般管理費の増加により、営業利益及び純利益が前年同期比で大幅な減益となりました。通期予想も減益を見込んでおり、売上成長が続く中で利益が減少している点については、今後の動向を注視する必要があるでしょう。
株価は年初来安値圏で推移し、テクニカル分析では下降トレンドにあると見られます。ただし、会社予想PER、PBRは業界平均と比較して割安な水準にあり、利益成長の回復があれば見直される可能性も秘めています。現状、配当は行っておらず、企業価値の向上を成長投資に重点を置く方針と考えられます。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率12.27%、3年CAGR約20.80%と、売上は継続的に伸びているため高評価としました。
- 収益性: B
- LTM営業利益率は11.16%ですが、直近の2026年3月期第2四半期累計で営業利益が前年同期比約40%減、通期予想も大幅減益となっており、利益率の低下が見られるため、中立評価としました。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率44.3%、流動比率155%、Total Debt/Equity 0.05%と、非常に優れた財務健全性を示しているためS評価としました。
- 株価バリュエーション: A
- 会社予想PER 23.76倍、PBR 2.68倍は、業界平均PER 66.2倍、PBR 3.5倍と比較して割安な水準にあるため高評価としました。
企業情報
| 銘柄コード | 5033 |
| 企業名 | ヌーラボ |
| URL | https://nulab.com/ja/ |
| 市場区分 | グロース市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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