企業の一言説明

朝日印刷は印刷包装材大手で、医薬品・化粧品向けに強みを持つ、包装機械システム販売も展開する企業です。

総合判定

高配当で堅実な財務だが、利益成長に課題を持つバリュー株

投資判断のための3つのキーポイント

  • 高水準の配当利回り: 安定した配当金と4.41%という現在の利回りは、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的です。
  • 極めて低いPBR: 企業の純資産価値と比較して株価が大幅に割安であり、バリュエーション面での是正期待がある潜在的なバリュー株です。
  • 利益成長鈍化とコスト上昇: 直近の業績は増収減益であり、原材料高騰や海外受注減が利益を圧迫しているため、収益性改善が今後の株価を左右します。

企業スコア

観点 スコア 判定理由
成長性 C 売上成長は低位、利益は減益傾向
収益性 C ROEと営業利益率が共に低い水準
財務健全性 A 自己資本比率が高く流動性も良好
バリュエーション C PERは業界平均より割高、PBRは業界並み

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 861.0円
PER 10.11倍 業界平均8.0倍
PBR 0.52倍 業界平均0.5倍
配当利回り 4.41%
ROE 5.06%

1. 企業概要

朝日印刷は1872年創業の老舗印刷包装材メーカーであり、富山に本社を構えています。医薬品・化粧品業界向けに特化し、包装材、ラベル、説明書などの製造販売を主軸としています。独自の技術力と品質管理体制でPTP包装や液体充填などの包装機械システムも提供し、顧客にトータルソリューションを提供するビジネスモデルです。

2. 業界ポジション

包装材業界において、朝日印刷は特に医薬品・化粧品分野というニッチながらも高付加価値が求められる領域に強みを持っています。この分野は厳格な品質基準と安定供給能力が必須であり、同社は長年にわたる実績と技術力で強固な市場ポジションを確立しています。一般的な印刷業と比較して、高い参入障壁を持つ専門領域で差別化を図っています。

3. 経営戦略

2026年3月期第3四半期決算では、全体として増収減益となりましたが、包装システム販売事業が大型受注により売上・利益ともに大きく伸長し、新たな成長ドライバーとしての役割を果たしています。一方で、主力の印刷包材事業は中国市場の受注減と原材料高騰、賃上げなどのコスト増が利益を圧迫しています。今後の経営戦略では、コスト管理と高付加価値製品へのシフト、海外市場の回復が通期業績目標達成の鍵となります。直近では2026年3月30日に配当落ち日が予定されています。

4. 財務分析

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

項目 スコア 判定
総合スコア 5/9 A: 良好
収益性 2/3 ✅純利益が正、✅ROAが正、❌営業CF > 純利益
財務健全性 3/3 ✅流動比率良好、✅D/Eレシオ低い、✅株式希薄化なし
効率性 0/3 ❌営業利益率低い、❌ROE低い、❌四半期売上成長率マイナス

Piotroski F-Scoreの総合スコアは5/9点で「A: 良好」と評価されます。収益性に関しては、純利益とROAがプラスであることから安定した黒字体質ですが、営業キャッシュフローが純利益を上回る健全性のチェック項目は達成できていません(データが不明なため)。財務健全性は、流動比率、D/Eレシオ、株式希薄化の全ての項目で良好な判定を得ており、強固な財務体質を示しています。しかし、効率性については、営業利益率、ROE、四半期売上成長率のいずれもが基準を満たしておらず、資産活用効率や成長力に課題があることを示唆しています。
【収益性】
過去12か月の営業利益率は2.17%であり、これは一般的な企業の目安とされる水準よりもかなり低い値です。収益性の改善が喫緊の課題と言えます。ROE(実績)は5.06%、ROA(過去12か月)は1.48%で、これらもベンチマークとされるROE10%やROA5%を大きく下回っています。株主資本や総資産を効率的に活用して利益を生み出す能力に改善の余地が大きいことを示しています。
【財務健全性】
自己資本比率(実績)は48.6%であり、一般的に健全とされる40%を優に超え、非常に安定した財務基盤を築いています。流動比率(直近四半期)は2.07倍と、短期的な支払い能力も高く、倒産リスクは極めて低いと言えるでしょう。これは企業の安定性を重視する投資家にとって安心材料です。
【キャッシュフロー】

決算期 フリーCF 営業CF 投資CF 財務CF 現金等残高 現金比率
2023.03 21.99億円 45.75億円 -23.76億円 -60.54億円 108.54億円 16.66%
2024.03 -14.09億円 35.49億円 -49.58億円 -4.74億円 89.44億円 13.02%
2025.03 9.85億円 45.30億円 -35.45億円 -0.46億円 99.78億円 14.16%

営業キャッシュフローは毎年着実にプラスを維持しており、本業で安定して資金を創出する能力があります。2024年3月期には積極的な設備投資によりフリーキャッシュフローが一時的にマイナスとなりましたが、2025年3月期には再び回復し、堅実な事業運営がうかがえます。
【利益の質】
2025年3月期の営業CF/純利益比率は、2.66倍(営業CF45.30億円 ÷ 純利益17.04億円)と1.0倍を大きく上回っており、発生主義による会計上の利益以上に、実際の現金が企業に流入していることを示します。これは利益の質が非常に高いことを意味しており、信頼性の高い会計処理を行っている証拠です。
【四半期進捗】
2026年3月期第3四半期累計の通期予想に対する進捗率は、売上高は72.8%と順調な一方、営業利益は52.7%、親会社株主に帰属する当期純利益は53.2%に留まっています。売上は堅調ですが、利益の進捗が計画を下回っており、コスト増の影響や第4四半期での挽回が不可欠な状況です。

5. 株価分析

【バリュエーション】
朝日印刷のPER(会社予想)は10.11倍であり、業界平均の8.0倍と比較するとやや割高な水準にあります。一方、PBR(実績)は0.52倍で、業界平均の0.5倍とほぼ同水準ですが、企業の純資産価値である1倍を大きく下回っており、潜在的な割安感があると言えます。市場は同社の事業成長性に対して控えめな評価をしている可能性があります。
【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: -5.13 / シグナルライン: -5.31 短期トレンド方向を示す
RSI 中立 33.8% 70以上=過熱、30以下=売られすぎ
5日線乖離率 -0.39% 直近のモメンタム
25日線乖離率 -1.19% 短期トレンドからの乖離
75日線乖離率 -3.08% 中期トレンドからの乖離
200日線乖離率 -3.13% 長期トレンドからの乖離

RSIは33.8%と売られすぎ水準(30%以下)に近づいており、株価が一時的な下落局面にある可能性を示唆しています。MACDは中立状態ですが、移動平均線からの乖離率を見ると、株価は短期から長期全ての移動平均線を下回って推移しており、下降トレンドが継続していることがうかがえます。
【テクニカル】
現在の株価861.0円は、52週高値941.00円に対して下方に位置し、52週安値850.00円に非常に近い水準にあります。これは過去1年間の価格レンジの下限付近で推移していることを意味します。全ての主要な移動平均線(5日、25日、75日、200日)を下回っており、短期から中期の下降トレンドが現状で継続している状況です。
【市場比較】

期間 当銘柄 日経平均
1ヶ月 -1.49% +15.48% -16.97%pt
3ヶ月 -4.23% +13.30% -17.52%pt
6ヶ月 -2.49% +21.50% -23.99%pt
1年 +0.00% +76.64% -76.64%pt

朝日印刷の株価は、ここ1ヶ月から1年間にかけて、日経平均株価を大幅に下回るパフォーマンスとなっています。これは、市場全体の強い上昇トレンドから取り残されており、相対的な出遅れ感が顕著であることを示しています。

6. リスク評価

注意事項: ⚠️ 信用倍率28.27倍と高水準。将来の売り圧力に注意が必要です。
【リスク指標テーブル】

基本リスク指標

指標 判定 ひとことメモ
年間ボラティリティ 14.89% ◎良好 1年間でどれくらい価格がブレるか
最大ドローダウン -18.09% ○普通 過去最悪の下落率。この程度は今後も起こりうる
シャープレシオ 0.21 △やや注意 リスクを取った分だけリターンが得られているか

リスク効率指標

指標 判定 ひとことメモ
ソルティノレシオ -0.15 ▲注意 下落リスクだけで見たリターン効率
カルマーレシオ -0.08 ▲注意 最大下落からの回復力

市場連動性

指標 判定 ひとことメモ
市場相関 0.48 ◎良好 日経平均とどれだけ連動するか
0.23 値動きのうち市場要因で説明できる割合

【ポイント解説】
朝日印刷の年間ボラティリティは14.89%と低く、「◎良好」な評価であり、比較的穏やかな値動きが期待できる銘柄です。しかし、リスクに対するリターン効率を示すシャープレシオ(0.21)や、下落リスクのみを考慮するソルティノレシオ(-0.15)、最大下落からの回復力を測るカルマーレシオ(-0.08)はいずれも低い値であり、リスクに見合うリターンが十分に得られていない、または下落からの回復に課題があることを示唆しています。現在のボラティリティ水準は過去1年で「低」位置にあり、市場全体との連動性は中程度です。
【投資シミュレーション】
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±15万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの7%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。
【事業リスク】

  • 原材料価格の変動: 用紙やインクなど印刷に必要な原材料の価格高騰は、同社の利益率を直接的に圧迫し、収益悪化につながる可能性があります。
  • 中国市場の需要低迷: 主力事業である印刷包材事業において、特に中国市場の景気減速や規制変更が受注減少に繋がり、業績に影響を及ぼすリスクがあります。
  • 製品ライフサイクルの短縮と技術革新: 医薬品や化粧品の製品ライフサイクルが短縮化する中、常に変化する顧客ニーズへの迅速な対応と、新しい包装技術への投資が事業競争力維持に不可欠です。

7. 市場センチメント

信用買残が31,100株、信用売残が1,100株であり、信用倍率は28.27倍と非常に高い水準です。これは将来的な株価の上昇局面で、信用買いの決済に伴う売り圧力となる可能性があるため注意が必要です。主要株主は、サンワールド(9.20%)、自社(自己株口)(7.69%)、自社持株会(6.96%)など、安定株主が上位を占めています。

8. 株主還元

朝日印刷は、会社予想で4.41%という高水準の配当利回りを計画しており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。配当性向は47.4%と、利益の半分近くを配当に回しており、一般的な健全水準とされる30-50%の範囲内に収まっています。現在のところ、自社株買いに関する直近の具体的な開示データはありません。
【配当持続可能性】
配当性向が47.4%であり、企業が稼いだ利益の範囲内で配当を支払っているため、現時点での減配リスクは低いと判断できます。

SWOT分析

分類 項目 投資への示唆
💪 強み 医薬品・化粧品包装材のニッチ領域での専門性
安定した高配当利回り
安定収益基盤とインカムゲイン投資魅力の高さを示唆
⚠️ 弱み 低い収益性と成長鈍化
原材料価格高等のコスト上昇圧力
利益率改善が今後の株価上昇に必須となりうる
🌱 機会 包装システム販売事業の拡大
強固な財務体質を活かしたM&Aや設備投資
新規事業分野が新たな成長ドライバーになる可能性
⛔ 脅威 中国市場の需要低迷と海外競争激化
資材価格高騰とコスト転嫁の遅れ
海外市場動向と原価管理能力を継続的に監視すべき

この銘柄が向いている投資家

投資家タイプ 相性が良い理由
安定配当を求める長期投資家 4.41%の高配当と堅実な財務基盤が魅力のため
財務健全性を重視する投資家 自己資本比率が高く、安心して投資できるため

この銘柄を検討する際の注意点

  • 利益進捗の遅れ: 通期予想に対する利益進捗が芳しくなく、今後の業績に下振れリスクがある点は注視すべきです。
  • 信用倍率の高水準: 信用買残が多く、将来的に売り圧力として株価の上昇を抑制する可能性があるため注意が必要です。
  • 市場との相対的パフォーマンスの低さ: 市場全体に比べて株価が大きく出遅れており、成長期待が低い現状を認識しておく必要があります。

今後ウォッチすべき指標

指標 現状 トリガー条件 注目理由
営業利益率 2.17% 4%以上への回復 収益性改善の動向を確認
包装システム事業売上 好調 前年比10%以上の成長維持 成長ドライバーの持続性確認
信用倍率 28.27倍 10倍以下への改善 売り圧力の解除を確認
純利益 1,377百万円 1,500百万円以上へ増加 企業価値向上の根幹を測る

企業情報

銘柄コード 3951
企業名 朝日印刷
URL http://www.asahi-pp.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – パルプ・紙

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 861円
EPS(1株利益) 85.20円
年間配当 4.41円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 0.0% 11.6倍 991円 3.3%
標準 0.0% 10.1倍 861円 0.5%
悲観 1.0% 8.6倍 770円 -1.7%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 861円

目標年率 理論株価 判定
15% 439円 △ 96%割高
10% 549円 △ 57%割高
5% 692円 △ 24%割高

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
ザ・パック 3950 1,306 779 14.70 0.94 6.8 3.21
古林紙工 3944 2,355 41 16.73 0.26 2.5 2.12
トーイン 7923

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.63)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By ジニー

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