企業の一言説明
鈴与シンワートは、鈴与グループのIT中堅企業であり、システムインテグレーションからクラウドサービス、物流ITコンサルティングまで幅広い情報サービス事業を展開する企業です。
総合判定
高い収益性と成長性を併せ持つ割安な成長過渡期の銘柄
投資判断のための3つのキーポイント
- 高い収益性と成長性: ROEは20%台後半と非常に高く、売上高も堅調に成長を継続しています。
- 割安なバリュエーション: PERは業界平均と比較して大幅に割安であり、株価の調整余地を示唆しています。
- 財務健全性と株主還元の積極性: Piotroski F-Scoreは「良好」、自己資本比率も堅調で、安定した配当を継続・増額しています。
企業スコア
| 観点 | スコア | 判定理由 |
|---|---|---|
| 成長性 | B | 売上高は堅調に成長を継続しているため |
| 収益性 | A | ROEが非常に高く効率的な収益確保を示す |
| 財務健全性 | B | F-Scoreが良好だが流動比率に改善余地がある |
| バリュエーション | A | PERが業界平均に比して大幅に割安であるため |
注目指標サマリー
| 指標 | 値 | 業界平均比 |
|---|---|---|
| 株価 | 2974.0円 | – |
| PER | 7.49倍 | 業界平均17.6倍 |
| PBR | 1.80倍 | 業界平均1.6倍 |
| 配当利回り | 3.70% | – |
| ROE | 27.34% | – |
1. 企業概要
鈴与シンワートは、鈴与グループに属する情報サービス企業です。システム開発、ITインフラ、パッケージソリューションを主力事業とし、物流ITコンサルティングや人事・給与パッケージ「S-PAYCIAL」などで強みを発揮しています。NTTデータとの協業を通じ、電子化やSaaS型サービス提供に注力し、高付加価値ITサービスを大手・中堅企業向けに展開しています。
2. 業界ポジション
国内情報サービス業界において中堅の地位を確立しています。親会社である鈴与グループからの安定した受注基盤と、NTTデータとの協力関係を強みに、システム開発やクラウドサービス分野で競争力を保持しています。IT人材の確保や技術革新への対応が、今後の競争優位性を維持する鍵となります。
3. 経営戦略
中期経営計画に関する具体的な言及はないものの、足元の業績動向からは堅実に成長を追求する姿勢が見受けられます。特に、情報サービス事業での売上高増加は、システム開発やクラウドサービス需要の取り込みが奏功していると推測されます。通期見通しに対する直近Q3の営業利益進捗率が41.2%とやや低いことから、期末に向けて利益改善が課題となる可能性があります。
【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score
提供データに基づき、Piotroski F-Scoreの結果は以下の通りです。
| 項目 | スコア | 判定 |
|---|---|---|
| 総合スコア | 6/9 | A: 良好 |
| 収益性 | 2/3 | 純利益がプラス、ROAもプラスである |
| 財務健全性 | 2/3 | 流動比率に改善余地があるが、D/Eレシオは良好で株式希薄化もない |
| 効率性 | 2/3 | ROEは高い水準だが、営業利益率は改善の余地がある |
Piotroski F-Scoreは6/9点と「良好」な水準にあり、企業がおおむね健全な財務基盤を持つことを示しています。収益性と財務健全性において一部改善の余地があるものの、全体としては安定していると言えます。
【収益性】
過去12か月の営業利益率は4.75%であり、一般的な目安とされる10%には届いていません。一方で、ROE(株主資本利益率)は過去12か月で22.22%、実績では27.34%と、一般的な目安(10%)を大きく上回る非常に高い水準を維持しており、株主資本を効率的に活用して利益を生み出す能力は優れています。ROA(総資産利益率)も過去12か月で6.83%と、一般的な目安(5%)を上回っており、総資産に対する利益効率も良好です。
【財務健全性】
自己資本比率は実績で37.1%、直近四半期で38.6%と、堅実な水準を維持しています。流動比率は直近四半期で1.45倍であり、短期的債務返済能力は一般的目安の2倍には届いていないものの、健全性の範囲内です。Total Debt/Equity(負債資本比率)も47.13%と低く、負債依存度が低い安定した財務構造を示しています。
【キャッシュフロー】
過去3年間のキャッシュフローは以下の通りです。
| 決算期 | 営業CF | 投資CF | フリーCF | 現金等残高 |
|---|---|---|---|---|
| 連2023.03 | 806百万円 | -280百万円 | 526百万円 | 1,252百万円 |
| 連2024.03 | 1,775百万円 | -378百万円 | 1,397百万円 | 1,387百万円 |
| 連2025.03 | 1,756百万円 | -169百万円 | 1,587百万円 | 1,985百万円 |
営業キャッシュフローは堅調に推移しており、事業で着実に現金を創出できています。フリーキャッシュフローもプラスを維持しており、健全な事業運営と成長投資を自己資金で賄える基盤があります。直近では現金及び預金が減少傾向にありますが、短期借入金増加とのバランスに注意が必要です。
【利益の質】
2025年3月期の営業キャッシュフロー/純利益比率は約1.58倍(1,756百万円 ÷ 1,106百万円)となり、1.0倍を大きく上回っています。これは、会計上の利益が現金としてしっかりと裏付けられていることを示しており、利益の質は非常に健全であると言えます。
【四半期進捗】
2026年3月期第3四半期までの連結業績は、売上高が14,195百万円(前年同期比+6.8%)と堅調に増加している一方で、営業利益は642百万円(前年同期比△14.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は455百万円(前年同期比△23.3%)と減益となっています。通期予想に対する進捗率は、売上高が67.6%、営業利益が41.2%、純利益が40.3%と、利益面での進捗が遅れており、第4四半期での巻き返しが期待されます。
【バリュエーション】
鈴与シンワートのPER(会社予想)は7.49倍と、情報・通信業の業界平均PER17.6倍と比較して大幅に割安な水準にあります。PBR(実績)は1.80倍と、業界平均PBR1.6倍をやや上回っていますが、PERの割安感が目立っています。これは、企業の収益成長に比して市場評価が追いついていない可能性を示唆しています。
【テクニカルシグナル】
| 指標 | 状態 | 数値 | 解釈 |
|---|---|---|---|
| MACD | 中立 | MACD値: 6.26 / シグナル値: -4.15 | 短期トレンド方向を示す |
| RSI | 中立 | 55.5% | 70以上=過熱、30以下=売られすぎ |
| 5日線乖離率 | – | +0.36% | 直近のモメンタム |
| 25日線乖離率 | – | +1.88% | 短期トレンドからの乖離 |
| 75日線乖離率 | – | -1.15% | 中期トレンドからの乖離 |
| 200日線乖離率 | – | -1.67% | 長期トレンドからの乖離 |
現在のMACDシグナルは中立で、RSIも過熱感のない中立的な水準を示しています。
【テクニカル】
現在の株価は2,974.0円で、52週高値3,300.00円から約10%低い水準にある一方、52週安値2,540.00円からは約17%高い位置にあり、52週レンジの62.3%に位置しています。株価は5日移動平均線、25日移動平均線は上回っていますが、75日移動平均線、200日移動平均線は下回っており、短期的なモメンタムは回復しつつあるものの、中期から長期のトレンドラインは下向きとなっています。
【市場比較】
日経平均との相対パフォーマンスは以下の通りです。
| 期間 | 当銘柄 | 日経平均 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1ヶ月 | +2.55% | +16.10% | -13.55%pt |
| 3ヶ月 | -4.68% | +11.16% | -15.84%pt |
| 6ヶ月 | -1.36% | +20.23% | -21.59%pt |
| 1年 | +18.49% | +72.45% | -53.97%pt |
鈴与シンワートの株価は過去1年のリターンこそプラスを維持しているものの、日経平均と比べて下回るパフォーマンスとなっています。特に中長期では市場全体の勢いに乗り切れていない状況です。
基本リスク指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 年間ボラティリティ | 40.12% | △やや注意 | 1年間でどれくらい価格がブレるか |
| 最大ドローダウン | -46.03% | ▲注意 | 過去最悪の下落率。この程度は今後も起こりうる |
| シャープレシオ | -0.31 | ▲注意 | リスクを取った分だけリターンが得られているか |
リスク効率指標
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| ソルティノレシオ | 0.80 | ○普通 | 下落リスクだけで見たリターン効率 |
| カルマーレシオ | 0.59 | ○普通 | 最大下落からの回復力 |
市場連動性
| 指標 | 値 | 判定 | ひとことメモ |
|---|---|---|---|
| 市場相関 | 0.32 | ◎良好 | 日経平均とどれだけ連動するか |
| R² | 0.11 | – | 値動きのうち市場要因で説明できる割合 |
【ポイント解説】
鈴与シンワートはベータ値が0.16と低く、市場全体の変動には比較的影響されにくい銘柄と言えます。現在の年間ボラティリティは40.12%と「やや注意」水準であり、比較的値動きが大きい傾向があります。過去の最大ドローダウンは-46.03%と「注意」水準に達しており、今後も同様の大きな下落が発生する可能性を考慮する必要があります。平均リターンがマイナスである上にシャープレシオもマイナスとなっており、リスクに対して十分なリターンが得られていない状況です。ただし、市場との相関は低く、独自要因で動く傾向があります。
> 仮に100万円投資した場合: 年間で±38万円程度の変動が想定されます。
> 分散投資の目安: ポートフォリオの3%程度が目安です。
> ※これらは過去データに基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資助言ではありません。
【事業リスク】
- 競争激化: ITサービス業界は競争が激しく、価格競争や技術革新への対応が収益を圧迫する可能性があります。
- IT人材の確保: 慢性的なIT人材不足は、システム開発やサービスの提供体制に影響を与える可能性があります。
- 経済状況の影響: 企業のIT投資は景気変動に左右されやすく、景気後退は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
7. 市場センチメント
信用買残は52,600株、信用売残は0株で、信用倍率は0.00倍となっています。信用売残がゼロであるため、将来の買い戻しによる株価上昇圧力は期待できませんが、信用買残の水準は今後の需給バランスに影響を与える可能性があります。
主要株主は、鈴与システムテクノロジー、鈴与興産、鈴与ホールディングスといった鈴与グループ企業が上位を占めており、持ち株比率の合計が比較的高いことから、経営の安定性は確保されています。
8. 株主還元
会社予想配当利回りは3.70%と魅力的であり、配当性向は23.30%と健全な水準です。利益の範囲内で十分に配当を支払う体力があり、今後の持続的な配当が期待されます。直近の配当予想は年間110.00円であり、前期の90.00円から増配基調にあります。現時点での配当性向は健全な範囲内(30-50%)を下回っており、安定配当を維持しやすい財務体質を示しています。
SWOT分析
| 分類 | 項目 | 投資への示唆 |
|---|---|---|
| 💪 強み | 高いROEと堅実な売上高成長 鈴与グループの安定した経営基盤 |
投資家の信頼を高め株価の安定要因となる |
| ⚠️ 弱み | 営業利益率が業界平均より低い 一部財務指標に改善余地あり |
利益体質改善への取り組みが株価を左右する |
| 🌱 機会 | DX推進とクラウドサービス需要の拡大 NTTデータとの協業による事業強化 |
新規事業や市場拡大が成長を加速させる |
| ⛔ 脅威 | IT業界の激しい競争と人材不足 経済変動によるIT投資の抑制リスク |
収益性や成長戦略に悪影響を及ぼす可能性がある |
この銘柄が向いている投資家
| 投資家タイプ | 相性が良い理由 |
|---|---|
| 安定配当を求める長期投資家 | 健全な財務と増配実績があり、インカムゲインが期待できるため |
| 割安成長株を探す投資家 | 業界平均と比較してPERが割安で、事業成長も期待できるため |
この銘柄を検討する際の注意点
- 低めの営業利益率: 高いROEと裏腹に営業利益率は業界平均を下回っており、収益性の改善が課題です。
- 市場との相対パフォーマンス: 過去1年間は日経平均を下回るパフォーマンスであり、市場全体の潮流には乗り切れていません。
- 直近四半期の減益: 第3四半期は売上増ながら減益となっており、業績の推移に注意が必要です。
今後ウォッチすべき指標
| 指標 | 現状 | トリガー条件 | 注目理由 |
|---|---|---|---|
| 営業利益率 | 4.75% | 7%以上への改善 | 収益体質改善の進捗を示す |
| 四半期営業利益成長率 | -14.1% | プラスへの転換 | 利益の回復と成長を示す |
| フリーキャッシュフロー | 1,587百万円 | 増加傾向の維持 | 事業の資金創出力を示す |
企業情報
| 銘柄コード | 9360 |
| 企業名 | 鈴与シンワート |
| URL | http://www.shinwart.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)
将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。
現在の指標
| 株価 | 2,974円 |
| EPS(1株利益) | 397.20円 |
| 年間配当 | 3.70円 |
シナリオ別5年後予測
各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。
| シナリオ | 成長率 | 将来PER | 5年後株価 | 期待CAGR |
|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 18.6% | 8.6倍 | 8,025円 | 22.1% |
| 標準 | 14.3% | 7.5倍 | 5,804円 | 14.4% |
| 悲観 | 8.6% | 6.4倍 | 3,816円 | 5.2% |
目標年率別の理論株価(標準シナリオ)
標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。
現在株価: 2,974円
| 目標年率 | 理論株価 | 判定 |
|---|---|---|
| 15% | 2,900円 | △ 3%割高 |
| 10% | 3,621円 | ○ 18%割安 |
| 5% | 4,570円 | ○ 35%割安 |
【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い
競合他社
| 企業名 | コード | 現在値(円) | 時価総額(億円) | PER(倍) | PBR(倍) | ROE(%) | 配当利回り(%) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| CIJ | 4826 | 489 | 316 | 19.79 | 1.85 | 11.0 | 3.68 |
| クロスキャット | 2307 | 941 | 160 | 11.03 | 2.05 | 24.7 | 3.93 |
| シイエヌエス | 4076 | 1,724 | 50 | 9.45 | 1.20 | 13.3 | 3.19 |
関連情報
証券会社
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本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
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