1. 企業情報
- 事業内容: ユー・エム・シー・エレクトロニクス（UMC Electronics）は、主に電子機器の受託製造サービス（EMS）を展開しています。自動車関連機器（車載機器）が主力で、産業機器、OA機器なども手掛けています。トヨタ系企業との関係が深く、再建を経て事業基盤を強化しています。設立は1968年、本社は埼玉県上尾市。従業員数は6,171名。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: EMS（電子機器受託製造サービス）業界の中堅規模。車載分野に強みを持ち、トヨタ系サプライチェーンに組み込まれている点が特徴です。
- 競争優位性・課題: トヨタ系取引先の安定受注が強み。一方で、中国市場の需要減やグローバルな景気変動、低い自己資本比率などが課題となっています。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン・戦略: 事業再生ADRを経て財務体質の改善に注力。車載機器分野を中心に、産業機器・OA機器の拡大も図っています。
- 中期経営計画: 具体的な中期経営計画の進捗や数値目標の開示はありませんが、収益力強化と財務健全化が重点とみられます。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 受託製造型のため、顧客の生産動向や景気変動に左右されやすい構造。車載分野の安定需要が下支えとなる一方、新興市場や産業機器分野への多角化も進めています。
- 市場ニーズ適応力: EV化や自動運転など自動車業界の技術革新に対応する必要があります。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発の動向・独自性: 車載電子機器、産業機器向けの高信頼性・高品質な製造技術が強み。自動車用インバータ、モータードライバ、セキュリティ関連端末などが主力です。
- 収益牽引製品・サービス: 車載機器（売上構成比58%）、産業機器（19%）、OA機器（23%）が主力。
6. 株価の評価
- PER（予想）: 7.19倍（業界平均24.2倍）
- PBR（実績）: 0.39倍（業界平均1.6倍）
- EPS（予想）: 37.15円
- BPS（実績）: 686.50円
- 株価: 267円
- 評価: 業界平均と比較してPER・PBRともに大きく下回っています。株価はBPSの約0.39倍と低水準です。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 年初来高値319円、安値220円。直近は267円で推移し、50日移動平均（295.24円）、200日移動平均（336.77円）を下回っています。
- 現在の株価位置: 安値圏に位置しており、直近の下落傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2024年3月期 1,312億円（前年1,617億円から減少）
- 営業利益: 20.4億円（前年22.2億円から減少）
- 当期純利益: 10.2億円（前年6.4億円から増加）
- ROE:
- 42%（実績）、過去12か月10.53%
- ROA:
- 80%（過去12か月）
- 自己資本比率: 24.9%（やや低水準）
- キャッシュフロー: 総現金13.7億円、総負債330.5億円、Debt/Equity 170.65%
- 傾向: 売上は減少傾向、利益率は改善傾向。財務レバレッジは高め。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り: 3.75%（予想）
- 1株配当: 10円（予想）
- 配当性向: 21.73%（実績）
- 株主還元策: 特別配当や自社株買いの記載はなし。安定配当を志向。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向: 直近10日間は260円台後半で推移。出来高はやや増加傾向。52週変動幅は220円～430円で、現在は安値圏。
- 信用取引状況: 信用買残が多く、信用倍率が高い（222.75倍）。需給面でやや買い方優勢。
- 投資家関心: インサイダー保有比率が高く（63.17%）、機関投資家の保有は限定的。
11. 総評
ユー・エム・シー・エレクトロニクスは、車載分野を中心とするEMS事業に強みを持ち、トヨタ系取引先の安定受注が特徴です。直近では中国市場の需要減少等の影響で売上が減少していますが、利益率は改善傾向にあります。財務レバレッジは高く、自己資本比率はやや低い水準です。株価は業界平均に比べて割安な水準で推移しており、配当利回りも一定水準を維持しています。今後は車載分野の成長性や財務体質の強化、グローバル需要の回復が注目点となります。
企業情報
| 銘柄コード | 6615 |
| 企業名 | ユー・エム・シー・エレクトロニクス |
| URL | http://www.umc.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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