1. 企業情報
概要
アルプスアルパイン株式会社は、電子部品の大手メーカーであり、車載・家電向けを中心に高いシェアを持つ企業です。主な事業は「コンポーネント」「センサー・コミュニケーション」「モジュール・システム」の3セグメントで構成され、TACTスイッチ、ポテンショメータ、HAPTICリアクタ、アクチュエータ、センサー、車載用ディスプレイや音響システムなど多岐にわたる製品を展開しています。精密加工技術に強みを持ち、2019年にアルプス電気とアルパインが再統合し、現在の体制となりました。
– 本社所在地：東京都大田区雪谷大塚町1-7
– 従業員数：27,875人
– 設立：1948年
– 代表者：泉 英男
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
アルプスアルパインは電子部品業界において、車載向け・家電向け部品で高いシェアを有しています。特にスイッチやセンサー、車載情報機器などで国内外の自動車メーカーや大手家電メーカーに納入実績があります。
競争優位性・課題
- 精密加工技術や生産効率の高さが競争優位性
- 為替変動や自動車市場の動向に業績が影響を受けやすい
- 中国市場の競争激化や米中貿易摩擦など外部リスクも存在
3. 経営戦略と重点分野
経営陣のビジョン・戦略
2025年3月期を「経営構造改革期間」と位置づけ、抜本的なコスト構造改革を断行。グローバル市場での競争力強化、収益性の改善を目指しています。
中期経営計画の施策・重点分野
- 主要市場（車載・モバイル・民生）でのシェア拡大
- 生産拠点の最適化とコスト削減
- 新規技術・製品の開発強化
- 非中核事業の整理（パワーインダクター事業譲渡など）
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
主力はBtoB型で、車載・家電・モバイル向けに部品やモジュールを供給。自動車の電装化やIoT化の進展により、今後も一定の市場ニーズが見込まれます。
市場ニーズ変化への適応力
- EV化、自動運転、コネクテッドカー向け製品の開発に注力
- モバイル/民生向けは需要変動リスクが高いが、多角化でリスク分散
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 精密金型加工技術を活かした高品質部品の量産
- HAPTICリアクタ、ミリ波センサーなど先端技術製品
- 車載ディスプレイや音響システムで独自の技術力
収益を牽引する製品・サービス
- 車載用スイッチ、センサー、ディスプレイ
- スマートフォン向けカメラ部品
- ゲーム機器向け電子部品
6. 株価の評価
バリュエーション指標
- 株価：1,358.5円
- 予想PER：62.09倍（業界平均24.2倍）
- 実績PBR：0.67倍（業界平均1.6倍）
- EPS（会社予想）：21.88円
- BPS（実績）：2,013.07円
評価
- PERは業界平均を大きく上回り、利益水準が低いことが示唆される
- PBRは業界平均を大きく下回り、資産価値に対して割安感がある
7. テクニカル分析
株価推移
- 年初来高値：1,716円
- 年初来安値：1,195円
- 直近株価：1,358.5円
- 50日移動平均：1,448.03円
- 200日移動平均：1,525.57円
現状分析
- 株価は年初来安値からは回復しているが、50日・200日移動平均を下回っており、安値圏に位置
- 出来高は安定しているものの、直近は下落基調
8. 財務諸表分析
売上・利益・キャッシュフロー
- 売上高：990,407百万円（前年比+2.7%）
- 営業利益：34,106百万円（前年比+73.0%）
- 純利益：37,837百万円（前期は損失から黒字転換）
- 営業CF：65,817百万円
- 自己資本比率：55.9%（財務健全性高い）
ROE・ROA
- ROE：9.40%
- ROA：2.75%
過去数年の傾向
- 2024年3月期は特別損失等で赤字だったが、2025年3月期は大幅に回復
- 営業利益率は3%台と低め
9. 株主還元と配当方針
配当・還元策
- 予想配当：60円（配当利回り4.42%）
- 配当性向：32.61%
- 自己株式取得・消却実施
- 5年平均配当利回り2.28%を上回る水準
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価の変動傾向
- 直近1年で高値から下落傾向（52週変動-6.31%）
- 信用買残増加、信用倍率8.14倍と買いが優勢
- 出来高は安定、機関投資家・信託銀行の保有比率が高い
影響要因
- 業績予想の下方修正や中国市場の不透明感
- 為替動向、米中関係、地政学リスク
11. 総評
アルプスアルパインは、車載・家電向け電子部品で高いシェアと技術力を持つ企業です。2025年3月期は構造改革の効果や円安の追い風もあり業績が大きく回復しましたが、2026年3月期は減収減益予想で、外部環境リスクも顕在化しています。株価は資産価値に対して割安感がある一方、利益水準が低く、PERは高い水準です。配当利回りは高めで株主還元も意識されていますが、今後の業績動向や市場環境の変化には注意が必要です。
企業情報
| 銘柄コード | 6770 |
| 企業名 | アルプスアルパイン |
| URL | https://www.alpsalpine.com/j/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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