1. 企業情報
事業内容
大阪瓦斯（Osaka Gas）は、主に都市ガスの製造・供給・販売を中心に、電力、LNG、LPG、産業ガスの販売、ガス機器の販売・設置、ガス配管工事、発電・電力販売など、幅広いエネルギー関連サービスを国内外で展開しています。加えて、不動産開発・賃貸、情報処理サービス、ファイン材料・炭素材製品の販売なども手掛けています。
設立は1897年と歴史が長く、従業員数は約2.1万人。京阪神エリアを中心とする都市ガス大手で、国内2位の規模を誇ります。
2. 業界のポジションと市場シェア
- 業界内ポジション: 都市ガス業界で東京ガスに次ぐ2位。電力自由化以降は総合エネルギー会社化を進め、電力事業にも注力しています。
- 競争優位性: 地域密着型の都市ガス供給網、長年の技術蓄積、コージェネ（熱電併給）、水素・アンモニアなど次世代エネルギー技術に強み。
- 課題: ガス自由化・電力自由化による競争激化、人口減少による需要減、原料価格変動リスク、脱炭素化への対応など。
3. 経営戦略と重点分野
- 経営ビジョン: 「総合エネルギー＆ソリューション企業」への進化を掲げ、エネルギー供給の安定と低炭素化、海外事業の拡大、非エネルギー分野の成長を目指しています。
- 重点分野・施策:
- 国内：都市ガス・電力の安定供給と効率化、コージェネ・燃料電池等の普及推進
- 海外：LNG・再エネ関連の投資・開発
- ライフ＆ビジネスソリューション：不動産・情報処理・新素材分野の拡大
- 脱炭素・水素・アンモニア等の次世代エネルギー技術開発
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: 安定した都市ガス・電力の定期収入に加え、海外エネルギー投資や非エネルギー事業で収益源を多様化。
- 市場ニーズ・適応力: 脱炭素化・再エネ需要拡大、電力・ガス自由化による競争対応に向けて、技術開発や新規事業展開を強化中。
5. 技術革新と主力製品
- 技術開発: コージェネレーション、燃料電池用触媒、水素・アンモニア活用技術などに強み。
- 主力製品・サービス:
- 都市ガス・電力供給
- LNG・LPG販売
- ガス機器・燃料電池（エネファーム等）
- 不動産・情報サービス・新素材
6. 株価の評価
- 株価: 3,613円（2025/5/21終値）
- EPS（会社予想）: 319.92円
- BPS（実績）: 4,254.13円
- PER（会社予想）: 11.29倍（業界平均7.0倍より高い）
- PBR（実績）: 0.85倍（業界平均0.7倍より高い）
評価:
PER・PBRともに業界平均より高め。安定収益・成長期待が一定程度株価に織り込まれている状況です。
7. テクニカル分析
- 株価推移: 直近10日間は3,600円台前半で推移し、年初来高値（3,780円）からはやや下落、年初来安値（2,946円）からは大きく上昇。
- 移動平均: 50日移動平均：3,487.76円
200日移動平均：3,343.11円
→ 現在値は両移動平均を上回り、中長期的には上昇トレンドが続いていると見られます。
– 位置づけ: 高値圏ではないが、安値圏からは脱し、やや調整局面。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益推移:
- 売上高（2025/3期）：2,069,019百万円（前年比微減）
- 営業利益：160,731百万円（前年比減）
- 当期純利益：134,414百万円（前年比増）
- 営業利益率：7.8%
- キャッシュフロー:
- 営業CF：283,681百万円（安定）
- フリーCF：-26,970百万円（投資活動によるマイナス）
- ROE/ROA:
- ROE：8.23%
- ROA：3.25%
- 自己資本比率:
- 52.8%（財務健全性は高い水準）
- 債務:
- 総負債：864,940百万円
- D/Eレシオ：49.73%（適正水準）
過去数年の傾向:
売上は横ばい～やや減、利益は原料価格の変動や事業環境の影響で変動あり。2024年度は利益回復傾向。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）: 2.91%（5年平均2.55%を上回る）
- 1株配当（予想）: 105円
- 配当性向: 28.5%（安定的な水準）
- 自社株買い: 2025年5月に自己株式取得・消却を決議
- 方針: 安定配当と機動的な自己株買いによる株主還元を重視
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価変動傾向: ここ1年で約3%の上昇、直近は3,600円台でやや調整気味。出来高は安定。
- 信用取引動向: 信用買残増加・売残減少で、やや買い優勢。
- 投資家層: 機関投資家・信託銀行の保有比率が高く、安定株主が多い。
11. 総評
大阪瓦斯は、国内都市ガス業界で2位の規模を持ち、電力・海外事業・非エネルギー分野へも積極的に展開する総合エネルギー企業です。安定した収益基盤と高い財務健全性、技術開発力を背景に、脱炭素や新エネルギー分野への対応も進めています。株価は業界平均よりやや高い水準で推移し、配当利回りも安定。今後の課題は、エネルギー自由化や原料価格変動、人口減少による需要減少への対応ですが、事業多角化や技術革新で持続的な成長を目指しています。
企業情報
| 銘柄コード | 9532 |
| 企業名 | 大阪瓦斯 |
| URL | http://www.osakagas.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 電力・ガス – 電気・ガス業 |
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