1. 企業情報
日清オイリオグループ株式会社は、日本の食用油大手です。2002年に日清製油、リノール油脂、ニッコー製油の3社が経営統合して設立されました。主要な事業領域は「油脂(食用油、加工油脂)」、「加工食品・素材」、そして「ファインケミカル」の3つに分かれています。家庭用食用油で高い市場シェアを持つ他、マーガリンやショートニングなどの加工油脂、健康志向の高まりに対応したMCT(中鎖脂肪酸油)などの機能性素材、さらに化粧品原料などのファインケミカル製品も展開しています。日本国内だけでなく、マレーシア、中国、欧州、米国などグローバルに事業を展開し、海外売上高比率は全体の約26%を占めています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、食用油分野で特に家庭用市場において高いシェア(首位)を保持しており、強力なブランド力と広範な販売チャネルが競争優位性となっています。東南アジアなど海外市場での展開も積極的に進めています。しかし、食用油業界は原材料価格の変動リスクを常に抱えており、直近の決算では原材料コストの上昇や価格改定の難航、国内消費者の節約志向の高まりが収益に影響を与えている課題が見られます。特に、パーム油などの国際相場の影響を受けやすい事業構造です。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「ビジョン2030」を掲げ、CSV(共通価値の創造)を成長のドライバーとして持続的な成長を目指しています。新中期経営計画「Value UpX」に基づき、財務目標としてROE8.0%以上、ROIC6.0%以上の達成を目標としています。
各事業セグメントにおいては、以下の戦略推進が見られます。
* グローバル油脂・加工油脂事業: 原材料相場の変動に対応しつつ、安定した供給と収益確保を目指す。
* 油脂・油糧および加工食品・素材事業: 家庭用食用油における安定した地位を維持しつつ、ウェルネス食品や機能性素材(MCT、レシチン、トコフェロール、大豆たん白など)の提供を強化し、収益性向上を図る。
* ファインケミカル事業: 化粧品向けの高付加価値製品の開発・上市を通じて、新たな収益源の確立を目指す。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、生活必需品である食用油を基盤としており、安定した需要が見込めます。また、高齢化や健康志向といった社会の変化に対応し、MCTやウェルネス食品といった高付加価値製品の開発・提供を行うことで、市場ニーズの変化への適応を図っています。ファインケミカル事業による事業ポートフォリオの多角化は、特定市場のリスク分散に寄与しています。
一方で、原材料価格の変動、為替変動、消費者の節約志向、地政学リスクは、事業収益に影響を与える外部要因として認識されており、これらのリスクに対する継続的な対応が事業の持続可能性において重要です。
5. 技術革新と主力製品
具体的な技術開発の独自性に関する詳細な記載は多くありませんが、「ファインケミカル事業」において化粧品・トイレタリー原料や工業油などを手掛けており、この分野での研究開発が行われていることが示唆されます。
収益を牽引する主力製品としては、日清ブランドの家庭用食用油や業務用食用油が中核です。また、MCT(中鎖脂肪酸油)やレシチン、トコフェロール、大豆たん白など、健康・機能性を付加した食品素材、さらには化粧品・トイレタリー用途のファインケミカル製品も重要な収益貢献分野となっています。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 5,090.0円
- EPS(会社予想): 851.17円
- BPS(実績): 6,234.68円
- PER(会社予想): 5.97倍
- PBR(実績): 0.81倍
- 業界平均PER: 19.5倍
- 業界平均PBR: 1.3倍
PERに基づく理論株価は、EPS(会社予想)851.17円 × 業界平均PER 19.5倍 = 16,597.82円となります。
PBRに基づく理論株価は、BPS(実績)6,234.68円 × 業界平均PBR 1.3倍 = 8,105.08円となります。
現在の株価5,090.0円は、これらの理論株価と比較して低い水準にあります。ただし、直近の四半期純利益には一時的な固定資産売却益が含まれており、これが会社予想EPSに影響を与えている可能性も考慮が必要です。
7. テクニカル分析
現在の株価5,090.0円は、年初来安値4,305円、年初来高値5,270円の間に位置しており、年初来高値に近い水準で推移しています。直近の50日移動平均線(4,925.10円)および200日移動平均線(4,941.95円)を共に上回っており、短期および中長期的な上昇トレンドを示唆する位置にあります。直近10日間の株価推移では、高値圏でのもみ合いが見られ、2025年8月7日には一時的に年初来高値を更新する動きもありました。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間は変動がありますが、2023年3月期に大幅に増加し、2024年3月期はやや減少したものの、2025年3月期(予想、過去12か月)は回復傾向にあります。直近の2026年3月期第1四半期売上高は前年同期比で増加しています。
- 利益: 営業利益と経常利益は過去数年間で増加傾向にありましたが、直近の2026年3月期第1四半期では前年同期比でそれぞれ34.4%減、39.5%減と大幅な減益となりました。これは原材料価格の高騰やコスト増、価格改定の難航などが主な要因とみられます。一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益は、固定資産売却益(23,162百万円)の計上により、前年同期比で224.6%増と大幅に増加しています。この増加は一時的な特別利益によるものであり、事業活動による実質的な利益増ではない点に注意が必要です。
- 収益性・効率性: 過去12か月の実績では、売上高利益率2.42%、営業利益率1.84%となっています。ROE(実績)は6.95%(過去12か月では7.24%)で、中期経営計画の目標8.0%を下回っています。
- キャッシュフロー: 2026年3月期第1四半期は、営業活動によるキャッシュフローがマイナスとなっています。これは利益の内訳に特別利益が含まれることや、原材料支払いなどが影響したと考えられます。投資活動によるCFはプラス、財務活動によるCFもプラスでした。
- 財務安全性: 自己資本比率は直近四半期で48.6%、流動比率は2.15と、比較的健全な財務状態を維持しており、短期・中長期の安全性は良好と評価できます。総負債/純資産比率は49.62%で、有利子負債はありますが、過度な水準ではありません。
9. 株主還元と配当方針
同社は、安定的な株主還元を目指しています。会社予想に基づく配当利回りは3.54%であり、直近の1株配当(会社予想)は年間180.00円です。配当性向は過去12か月で45.41%と中程度であり、利益水準に応じた配当が行われています。
また、株主還元策の一環として自社株買いも実施しており、2025年6月17日には自己株式を取得しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は年初来高値圏で推移しており、移動平均線も上回る状況です。しかし、出来高は過去の平均と比較して低水準であり、大きなトレンドを形成するほどの活発な取引は見られません。
信用取引においては、信用買残が減少し、信用売残が増加したことで信用倍率が若干低下していますが、それでも買い残が売残を大きく上回る状況にあります。
株価に影響を与える要因としては、直近の第1四半期決算発表が挙げられます。営業利益の減益といった本業の課題が示されたものの、非経常的な固定資産売却益による純利益の大幅な増加が、市場の注目を集めた可能性があります。今後は、原材料価格の動向、為替変動、消費動向、そして同社が掲げる中期経営計画の進捗が、株価に影響を与える主な要因となるでしょう。
11. 総評
日清オイリオグループは、国内の食用油市場で確固たる地位を築く安定企業であり、多角化戦略と高付加価値製品への注力によって持続的成長を目指しています。財務基盤は健全性を維持しており、安定した株主還元策も実施しています。
しかし、直近の決算では原材料コスト増による本業の収益性悪化が課題として浮上しており、高水準の純利益も一時的な特別利益に大きく依存している状況です。株価は年初来高値圏にありつつも、業界平均PER・PBRと比較すると割安に見えますが、これは上記のような収益性の課題や、成長性に対する市場の評価が反映されている可能性も考えられます。
今後の投資家関心は、中期経営計画「Value UpX」の進捗状況、特に固定資産売却益に頼らない本業での収益改善、そしてグローバル展開や高付加価値製品の成長がカギとなるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 2602 |
企業名 | 日清オイリオグループ |
URL | http://www.nisshin-oillio.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 食品 – 食料品 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。