1. 企業情報
概要
スター精密株式会社は、静岡県静岡市に本社を置く精密機械メーカーです。主力は精密加工向けのCNC自動旋盤（工作機械）で、時計部品や医療部品など高精度な加工を必要とする分野に強みを持ちます。また、POS用小型プリンタやレジ周辺機器などの特機事業も展開し、海外売上比率が高いことが特徴です。1947年創業、従業員数は1,642名（平均年齢42.2歳、平均年収793万円）。
事業構成（2024年12月期）
- 工作機械事業：売上比率79%、営業利益率10%
- 特機事業（小型プリンタ等）：売上比率21%、営業利益率7%
2. 業界のポジションと市場シェア
業界内ポジション
スター精密は、CNC自動旋盤分野で国内外に高い技術力を持ち、特に小型・高精度部品加工に強みがあります。競合にはシチズンマシナリー、ツガミなどがあり、海外市場（特に中国・米国）での需要回復が業績を左右します。
競争優位性・課題
- 優位性：高精度・高効率な自動旋盤技術、グローバル販売網、POSプリンタの多様なラインナップ
- 課題：工作機械の国内需要は低調、地政学リスク（米中摩擦、ウクライナ情勢）、為替変動の影響
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 工作機械事業での高付加価値製品の拡充と海外展開強化
- 特機事業（POSプリンタ等）の新市場開拓とIoT対応製品の開発
- 財務健全性の維持と株主還元の強化
中期経営計画の重点施策
- 医療・電子部品分野向け自動旋盤の開発
- 米国・中国・欧州市場での販売網拡充
- POS周辺機器の新規用途開拓（キャッシュレス化対応など）
4. 事業モデルの持続可能性
収益モデル
- 工作機械は一括販売型だが、消耗品・アフターサービスによる継続収益も
- 特機事業は小型プリンタ等のB2B販売が中心で、リピート需要や新規用途開拓も期待
市場ニーズ変化への適応力
- 医療・電子部品など成長分野へのシフト
- キャッシュレス化やIoT化など新しい市場動向に対応した製品開発
5. 技術革新と主力製品
技術開発の動向・独自性
- 高速・高精度加工技術、IoT対応自動旋盤
- POSプリンタでは多様な通信規格・クラウド連携に対応
主力製品
- CNC自動旋盤（主力製品、利益の柱）
- POS用小型プリンタ（特機事業の主力）
6. 株価の評価
バリュエーション指標
- 株価：1,707円
- 予想PER：13.54倍（業界平均16.6倍より割安）
- 実績PBR：0.76倍（業界平均1.4倍より割安）
- 予想EPS：126.07円
- 実績BPS：2,259.38円
評価
- 株価はBPS比で0.76倍と純資産に対して割安感あり
- PERも業界平均を下回る水準
7. テクニカル分析
- 年初来高値：2,142円、年初来安値：1,426円
- 直近株価（1,707円）は50日移動平均線（1,691.6円）付近、200日移動平均線（1,867.72円）を下回る
- 直近10日間は1,650～1,730円のレンジで推移し、やや底堅い動き
- 52週変動率は-19.86%と下落傾向だが、直近は下げ止まり感
8. 財務諸表分析
売上・利益の推移
- 2021年：売上643億円、純利益5.7億円
- 2022年：売上873億円、純利益10.3億円
- 2023年：売上782億円、純利益8.2億円
- 2024年（予想）：売上650億円、純利益1.9億円（前年割れ）
収益性指標
- ROE：2.41%（過去12か月）、業界平均より低い
- ROA：3.15%
- 営業利益率：9.64%
- 自己資本比率：79.8%（財務健全）
キャッシュフロー
- 現金保有：222億円、総負債50億円と財務余力大
- 現金比率・流動比率ともに高水準
9. 株主還元と配当方針
配当実績・予想
- 2024年：60円
- 2025年（予想）：70円（増配予定）
- 予想配当利回り：4.10%（高水準）
- 配当性向：81%（利益水準に対して高め）
株主還元策
- 自己株式保有比率23.1%と自社株買い積極的
- 特別配当なし
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価変動傾向
- 直近1年で-19.86%と調整局面
- 直近10日間は1,650～1,730円のレンジで安定
- 信用倍率2.65倍、信用残高に大きな変動なし
投資家関心
- 機関投資家保有比率30%、自己株式比率高い
- 配当利回りの高さや財務健全性が注目材料
11. 総評
スター精密は、CNC自動旋盤を中心とした工作機械事業と、POSプリンタ等の特機事業を展開する精密機械メーカーです。海外市場（特に中国・米国）での需要回復や新規分野への展開が成長の鍵となります。直近業績は工作機械事業の回復で増収増益となっており、財務基盤も極めて健全です。株価はPBR・PERともに業界平均を下回り割安感がある一方、ROE等の収益性指標はやや低調です。配当利回りは高く、株主還元姿勢も強いですが、業績の先行きには地政学リスクや為替動向などの外部要因が影響します。全体として、安定した財務と株主還元を重視しつつ、今後の成長分野への対応力が注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 7718 |
| 企業名 | スター精密 |
| URL | http://www.star-m.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 機械 – 機械 |
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