以下は、池上通信機(証券コード: 6771)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

池上通信機は、業務用カメラを中心とした情報通信機器を提供する企業です。主要な事業領域として、放送用機器、医療用カメラ、検査装置、およびセキュリティカメラシステムの開発・製造・販売を手掛けています。特に産業用TVカメラでは高いシェアを持ち、放送機器・システムの中堅企業として位置づけられています。2025年3月期時点では、連結事業セグメントは情報通信機器の単一となっています。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社は放送用機器市場において大手の一角を占め、産業用TVカメラ分野では世界的に高いシェアを持つとされています。国内の放送機器・システム市場では中堅企業として事業を展開しています。監視カメラや医療用カメラも手掛けており、多角的な事業展開を行っています。現在の市場環境としては、世界経済の不透明感や中国経済の停滞、米国の通商政策などが影響を与えており、国内経済も物価上昇による個人消費への影響や景気の下振れリスクなどが注視されています。

3. 経営戦略と重点分野

池上通信機は、今後の成長戦略として以下の分野に注力しています。
* 放送システム事業: 次世代新技術(IPを含む)の獲得と活用を進め、高度なトータルシステムソリューションの提案力強化を目指しています。具体的には、4Kカメラシステムや新製品(IPエクステンションユニット「IPX-100」、4K/HDマルチパーパスカメラ「UHL-X40」)の販売促進を図り、市場シェアの拡大を目指しています。
* 産業システム事業:
* セキュリティ事業: 防衛省、官公庁、鉄道、プラント市場といった公共性の高い分野を最重点領域とし、売上規模の拡大を図る方針です。
* メディカル事業: 海外市場での内視鏡および顕微鏡用カメラの新規OEM顧客獲得に注力し、新規事業領域への参入も推進しています。中国市場においては、現地医療機器メーカーとの商談を継続する計画です。
* 検査装置事業: 医薬市場における錠剤検査装置や錠剤印刷装置といった主力製品のシェア拡大を目指すとともに、労働人口減少に伴う検査自動化ニーズに対応し、医薬市場以外の分野への事業拡大も視野に入れています。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の収益モデルは、放送機器、医療用カメラ、検査装置、セキュリティカメラシステムといった多岐にわたる情報通信機器の開発・製造・販売を主軸としています。市場ニーズの変化に対しては、IP化や4K技術といった次世代技術への対応、医療用カメラの海外展開、検査装置の自動化ニーズへの対応など、継続的な技術革新と新規市場開拓を通じて適応を図る戦略が見られます。一方で、世界経済の不透明感や中国経済の停滞といった外部環境要因が事業に影響を与えるリスクとして認識されています。

5. 技術革新と主力製品

同社は、次世代新技術の獲得と活用に注力しており、IP技術を含むトータルシステムソリューションの提案力を強化しています。
主力製品としては、以下のものが挙げられます。
* 放送用機器: カメラシステム、デジタルカメラ、HDTVカメラシステム、中継車システム、映像制作機器など。特に4Kカメラシステムや、IPエクステンションユニット「IPX-100」、4K/HDマルチパーパスカメラ「UHL-X40」などが挙げられます。
* 医療用機器: 内視鏡・顕微鏡用カメラ、医療用グレードモニターなど。
* 検査装置: 錠剤検査装置、錠剤印刷装置、平面・単一シート目視検査装置など。
* セキュリティカメラシステム: プラント、鉄道、官公庁向けの監視カメラシステムなど。

これらの製品は、同社の主要な収益源を構成しています。

6. 株価の評価

現在の株価は600.0円です。
* PER(株価収益率): 会社予想EPS 31.20円に基づくと、PERは19.23倍です。これは業界平均PER12.9倍と比較して高い水準にあります。
* PBR(株価純資産倍率): 実績BPS 2,130.75円に基づくと、PBRは0.28倍です。これは業界平均PBR0.8倍と比較して低い水準にあります。

会社予想PERに基づく現在の株価は、PERの理論値とほぼ一致する水準にあります。また、実績PBRに基づく現在の株価も、PBRの理論値とほぼ一致する水準にあります。

7. テクニカル分析

現在の株価は600.0円です。
* 株価の推移: 直近10日間の株価は600円から621円の範囲で推移しており、本日(2025年7月18日)は安値圏の600円で取引を終えました。
* 移動平均線: 現在株価600円は、50日移動平均線(608.40円)および200日移動平均線(633.94円)を下回っています。
* 高値・安値: 年初来高値698円、年初来安値510円に対して、現在の株価は年初来安値に近い水準にあります。また、52週高値805円からは大きく下落しており、52週安値510円に近い水準で推移しています。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:

    • 2022年3月期 18,470百万円
    • 2023年3月期 22,146百万円
    • 2024年3月期 21,603百万円
    • 2025年3月期 20,734百万円(前年同期比4.0%減)

    売上高は、2023年3月期をピークに減少傾向にあります。
    * 利益:
    * 2022年3月期 営業利益255百万円、当期純利益178百万円
    * 2023年3月期 営業利益-998百万円(赤字)、当期純利益-1,074百万円(赤字)
    * 2024年3月期 営業利益795百万円、当期純利益679百万円
    * 2025年3月期 営業利益254百万円(前年同期比68.0%減)、当期純利益235百万円(前年同期比65.3%減)

    営業利益は、2023年3月期に赤字を計上しましたが、2024年3月期には大幅に回復しました。しかし、2025年3月期は中継車システムや映像制作機器の販売低調、海外市場の減収などにより、売上高の減少に伴い大幅な減益となりました。
    * キャッシュフロー:
    * 2025年3月期の営業活動によるキャッシュフローは、税金等調整前当期純利益を計上したものの、売上債権・仕入債務の変動などにより35億25百万円の支出となりました。
    * 投資活動によるキャッシュフローは5億27百万円の支出、財務活動によるキャッシュフローは11億5百万円の収入となりました。
    * 期末現金及び現金同等物残高は減少傾向にあります。
    * 収益性・効率性:
    * ROE(自己資本利益率)は1.72%(過去12か月)と比較的に低い水準にあります。
    * ROA(総資産利益率)は0.54%(過去12か月)と比較的に低い水準にあります。
    * 売上高営業利益率は、2025年3月期で約1.2%まで低下しています。
    * 安全性:
    * 自己資本比率は47.4%(2025年3月期)と比較的高い水準を維持しており、財務の安全性は確保されていると見られます。
    * 流動比率は2.15(直近四半期)と、短期的な支払い能力も比較的高い水準です。
    * 総負債対自己資本比率(Total Debt/Equity)は71.00%(直近四半期)です。

9. 株主還元と配当方針

池上通信機の配当方針については、2025年3月期の年間配当実績は12円00銭、2026年3月期の年間配当予想は15円00銭とされています。現在の株価600.0円と会社予想1株配当15.00円に基づくと、配当利回りは2.50%となります。株主還元策としての自社株買いに関する明確な記載は確認できませんが、株主名簿には自社(自己株口)が12.02%の保有割合で上位株主として記載されています。会社予想EPS31.20円と会社予想配当15.00円を基とする単年度配当性向は約48.1%です。

10. 株価モメンタムと投資家関心

足元の株価は、ここ10日間で比較的狭いレンジでの値動きに留まっており、50日移動平均線、200日移動平均線を下回る水準で推移しています。現在の株価は52週高値から大きく下落した水準にあり、52週安値に近い位置です。出来高は直近10日間で数千株から2万株程度と、活発な取引量とは言えない状況です。信用取引においては、信用買残が128,000株に対し信用売残が6,100株と、信用買い残が売り残を大きく上回る信用倍率20.98倍となっています。

11. 総評

池上通信機は、業務用カメラを中心とした情報通信機器分野で実績を持つ企業であり、特に産業用TVカメラでは世界的に高いシェアを有しています。放送システム、医療、セキュリティ、検査装置と多角的な事業展開をしており、IP化や4K技術といった次世代技術への対応、海外市場の開拓を進めています。
財務面では、2025年3月期は売上高及び利益が減少しましたが、自己資本比率は引き続き高水準を維持しており、財務基盤の安定性は見られます。一方で、営業キャッシュフローは支出超過となっており、その動向は今後も注視される可能性があります。
株価は年初来や52週の高値からは大きく下落した水準で推移しており、テクニカル分析上は移動平均線を下回っています。配当利回りは会社予想で2.50%ですが、前期からの減配予想となっています。PERは業界平均より高く、PBRは業界平均より低いという状況にあります。
同社の事業モデルは市場ニーズの変化への適応を図る戦略が示されている一方で、世界経済の状況や中国市場の動向が業績に影響を与える可能性が指摘されています。


企業情報

銘柄コード 6771
企業名 池上通信機
URL http://www.ikegami.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。

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