SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ (9478) 企業分析レポート
東京証券取引所スタンダード市場に上場しているSEホールディングス・アンド・インキュベーションズ(証券コード:9478)について、企業情報、財務状況、株価動向などを多角的に分析し、分かりやすく整理しました。
1. 企業情報
SEホールディングス・アンド・インキュベーションズは、情報技術専門書の出版を主力事業とする企業です。かつては「翔泳社」として知られていました。現在では、出版事業に加え、スマートフォン向けコンテンツの作成、マーケティング支援、技術者派遣・研修、医療業界向け人材紹介、さらには投資運用や不動産賃貸など、多角的な事業を展開する持株会社体制を取っています。
連結事業の売上構成比(2025年3月期)は、出版事業が60%、教育・人材事業が13%、コーポレートサービス事業が12%、ソフトウェア・ネットワーク事業が11%、投資運用事業が5%となっています。
会社設立は1985年12月19日、本社は東京都新宿区に位置し、代表者は速水浩二氏です。従業員数は299人です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は特に情報技術専門書やビジネス・デザイン・カルチャー関連書籍の出版において一定の専門性を有しています。出版業界全体はデジタル化の進展や消費者のメディア利用形態の変化に直面しており、競争環境は変化しています。
同社は、出版事業で培ったIT分野の知見を活かし、コンテンツマーケティング支援、Webサービス開発、IT人材教育といった周辺領域へ事業を多角化することで、特定の市場の変動リスクを分散する事業ポートフォリオを構築しています。各事業領域における具体的な市場シェアに関するデータはありません。しかし、オンライン広告収入の減少や原価・販売コストの上昇など、事業環境の変化による影響を受けていることも決算短信から読み取れます。
3. 経営戦略と重点分野
同社の経営陣は、主要事業として「成長基盤の構築」「新規収益基盤の創出」「経営人材の拡充と育成」「収益基盤の質の多様性による長期成長基盤の充実」を重点課題と掲げています。
中期経営計画に関する具体的な内容は開示されていませんが、2026年3月期には売上高7,400百万円(前期比2.2%増)、営業利益950百万円(前期比16.2%増)、経常利益900百万円(前期比11.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益600百万円(前期比12.9%増)の連結業績を予想しており、増収増益の達成を目指す方針を示しています。
また、株主還元策として、自己株式の消却(1,000,000株、発行済株式総数の5.5%)を2025年6月6日に予定し、自己株式の取得(上限400,000株)を2025年5月9日~6月20日に実施する方針を発表しており、資本効率の改善と株主価値向上を意識した経営を行っていると考えられます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、出版事業を基盤としつつ、Webメディア運営、コンテンツマーケティング支援、Webサービス開発、IT人材教育、医療業界向け転職支援、投資運用といった多角的な事業ポートフォリオによって構成されています。この多角化は、リスク分散と市場ニーズの変化への適応力向上に寄与していると考えられます。
出版事業では、IT専門書に強みを持つ一方で、Webマガジン運営などのデジタル化も進めています。コーポレートサービス事業では、企業のマーケティング課題解決を支援し、ソフトウェア・ネットワーク事業ではWebサービスやアプリ開発を手掛けています。教育・人材事業ではIT人材不足や医療業界の人材ニーズに対応しています。投資運用事業も利益貢献しており、財務基盤の安定に寄与しています。
ただし、オンライン広告収入の減少やコスト増加といった内部要因、および、世界経済の景気後退リスク、物価上昇、賃上げによる消費者マインド停滞といった外部要因は、今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
同社の主力製品およびサービスは、情報技術専門書をはじめとする多様な出版物です。技術革新の動向としては、Webマガジン運営やWeb広告媒体提供、コンテンツマーケティング支援、Webサービス企画・開発・運営、スマートフォンアプリ開発といったデジタルトランスフォーメーション (DX) に関連する事業領域で、IT技術やデジタルコンテンツに関する知見を活用していると考えられます。
具体的な独自技術に関する詳細な情報はありませんが、長年の出版事業で培った企画力、編集力、そしてIT分野の専門家とのネットワークが、各事業における提供価値の源泉になっていると推測されます。
6. 株価の評価
現在の株価は347.0円です。
過去12か月の実績に基づくEPS(1株当たり純利益)は30.47円であり、これにより算出されるPER(株価収益率)は約11.39倍(347.0円 ÷ 30.47円)です。
直近四半期末のBPS(1株当たり純資産)は549.90円であり、これにより算出されるPBR(株価純資産倍率)は約0.63倍(347.0円 ÷ 549.90円)です。
業界平均PERが17.6倍、業界平均PBRが1.6倍であることと比較すると、同社のPERおよびPBRは業界平均を下回っており、これらの指標上は株価に割安感がある状態と見受けられます。
なお、2026年3月期予想EPSは38.35円であり、この予想に基づくPERは約9.05倍となります。
7. テクニカル分析
直近の株価推移を見ると、現在の株価347.0円は、52週高値365.00円に近づく水準に位置しています。50日移動平均線(306.08円)と200日移動平均線(287.22円)の両方を上回っており、短期および中期的に上昇トレンドにあることが示唆されます。
特に、直近10日間の株価履歴では、7月7日の311円から7月17日の354円まで上昇し、本日(7月18日)は一時365円の高値を付けた後、347円で終値となりました。これは、52週高値に到達していることからも、現在の株価が高値圏にあることを示しています。
直近10日間の出来高平均が172.81千株と、過去3か月の平均出来高74.41千株に比べて増加しており、投資家の関心が高まっている傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
売上高・利益の推移:
損益計算書のデータを見ると、総売上高は2022年3月期の7,090百万円から2023年3月期7,335百万円、2024年3月期7,318百万円と推移し、過去12か月(2025年3月期)は7,242百万円とほぼ横ばいから微減傾向にあります。
一方で、営業利益は2022年3月期の1,483百万円から、2023年3月期1,437百万円、2024年3月期1,216百万円、そして過去12か月(2025年3月期)は818百万円へと減少傾向が顕著です。同様に、親会社株主に帰属する当期純利益も、2023年3月期の965百万円から2024年3月期729百万円、過去12か月(2025年3月期)531百万円と減少しています。
粗利益率(Gross Profit Margin)も、2022年3月期の約54.2%から、過去12か月(2025年3月期)は約48.9%へと低下傾向にあります。
売上高営業利益率は、前期の16.6%から当期は11.3%に低下しており、収益性が悪化している状況が示されます。
収益性と安全性:
Return on Equity (ROE) は6.05%(過去12か月)、Return on Assets (ROA) は3.41%(過去12か月)と、収益性指標は高くない水準にあります。
貸借対照表を見ると、総資産は15,545百万円、自己資本比率は58.2%と、財務安全性は高い水準を維持しています。流動比率を示すCurrent Ratioも3.53と、短期的な支払い能力に余裕がある状態です。
キャッシュフロー:
営業活動によるキャッシュフローは、過去12か月(2025年3月期)で△261百万円とマイナスに転じています(前期は479百万円のプラス)。これは、営業面での資金創出力が低下していることを示唆しています。現金及び現金同等物の期末残高も、前期末の2,939百万円から当期の2,646百万円へと減少しています。
9. 株主還元と配当方針
同社は、2024年3月期、2025年3月期ともに年間配当を3.50円(期末配当のみ)としており、2026年3月期も同額の3.50円を予想しています。
現在の株価347.0円に基づくと、実績ベースのTrailing Annual Dividend Yieldは0.99%、予想ベースのForward Annual Dividend Yieldは2.01%(予想配当7円としたデータも存在しますが、決算短信には3.50円と記載されているため、そちらを使用)となります。
配当性向(Payout Ratio)は11.49%と非常に低い水準にあります。これは、利益に対する配当の割合が低いことを示します。
配当は安定しているものの、配当利回りは高水準ではありません。しかし、自己株式の消却(5.5%)と取得(上限400,000株)の方針を発表しており、これらは株主への還元意欲を示すものと考えられます。特に自己株式の消却は、発行済み株式数を減らすことで1株当たり利益(EPS)の向上につながる可能性があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、52週高値圏での推移を示しており、50日移動平均線および200日移動平均線を上回って推移していることから、良好な株価モメンタムにあると考えられます。
過去52週間の株価変化率(26.64%)は、S&P 500の同時期の変化率(13.16%)を上回っています。
平均出来高が直近活発化していることや、信用買残が微増している一方で信用売残がゼロであることから、市場からの投資家関心は高まっていると推測されます。
直近の自己株式の消却・取得の発表は、買い材料として株価に影響を与えている可能性が考えられます。
11. 総評
SEホールディングス・アンド・インキュベーションズは、情報技術専門書の出版を軸に、IT関連サービス、人材、投資運用など多角的な事業を展開する企業です。これにより、特定の事業への依存リスクを低減し、安定的な事業構造を目指しています。
財務面では、売上高は概ね横ばいで推移していますが、利益は過去数年間で減少傾向にあり、特に2025年3月期は大幅な減益となりました。営業活動によるキャッシュフローがマイナスに転じた点は、今後の改善が注目されます。一方で、自己資本比率が58.2%と財務基盤は高い安全性を保っています。
株価は、PERやPBRが業界平均と比較して低い水準にあり、指標上は割安感が見られます。テクニカル分析では、現在の株価は52週高値圏に位置し、短期・中期移動平均線を上回る上昇トレンドにあり、投資家の関心が高まっていることが出来高からも示唆されます。
株主還元については、配当額は安定していますが、配当性向は低いです。しかし、自己株式の消却・取得を決定しており、資本効率の改善や1株当たり持分の向上を通じた株主価値の向上への意欲がうかがえます。
今後の見通しとしては、2026年3月期には増益を予想していますが、グローバルな景気後退リスクや物価上昇など、外部環境の不透明感が事業に影響を及ぼす可能性も考慮する必要があります。
企業情報
銘柄コード | 9478 |
企業名 | SEホールディングス・アンド・インキュベーションズ |
URL | http://www.sehi.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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