1. 企業情報
鳥取銀行は、鳥取県鳥取市に本店を置く地域密着型の銀行です。1921年に設立され、鳥取県内を主要な営業基盤としています。事業内容は、預金業務（定期預金、普通預金など）、貸出業務（住宅ローン、事業者向けローンなど）、有価証券運用業務が中心となっています。加えて、インターネットバンキングサービス、各種保険商品（年金、医療、がん保険など）、そして経営コンサルティング、ビジネスマッチング、M&A支援、脱炭素経営支援といった多岐にわたる法人向けソリューションも提供しています。クラウド会計ソフト「freee」やビジネス改善プラットフォーム「kintone」の導入支援など、DX関連サービスにも注力しています。従業員数は639名で、平均年齢は38.9歳です。
2. 業界のポジションと市場シェア
鳥取銀行は鳥取県内唯一の地方銀行であり、地盤を固めています。しかし、預貸シェアにおいては山陰合同銀行に次ぐポジションにあり、山陰地方全体の中では中下位クラスの地銀と位置付けられます。強みとしては、地域への深い根ざしと、経営支援やDXソリューションといったコンサルティング機能の強化に注力している点が挙げられます。これにより、単なる金融機関にとどまらず、地域企業の課題解決を支援する役割を担おうとしています。一方で、地域の人口減少や経済の停滞（物価高、人手不足、ゼロゼロ融資返済本格化による倒産件数増加など）は、預貸金残高や収益性に対する課題となる可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
鳥取銀行は「地域社会の発展を力強くリードするコンサルティングバンク」をビジョンとして掲げています。中期経営計画「for the FUTURE ～未来に向けて～」では、「収益性」「健全性」「効率性」「専門性」の4つの視点から計数目標を設定し、実行しています。
具体的な重点テーマとして、以下の4点を挙げています。
* 新たな地域価値の創造: 地域課題解決や活性化への貢献。スマートエネルギーとっとりの設立による脱炭素化支援もその一環です。
* コンサルティング深化: 顧客の経営課題に対し、より専門的で踏み込んだソリューションを提供。
* 経営基盤の強化: 厳しい金融環境に対応するための強固な経営体制構築。
* 人的資本経営の実践: 人材育成や働きがい向上を通じた組織力強化。ダイバーシティ＆インクルージョンを推進し、「D&I AWARD2024」で大賞を受賞するなど、積極的に取り組んでいます。
2026年度の連結計数目標として、経常利益20億円、自己資本比率8%程度、コアOHR（経費率）80%台前半、プロフェッショナル人財150人を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
鳥取銀行の主要な収益源は、預金業務で集めた資金を貸出業務や有価証券投資業務で運用する利ザヤと、各種手数料収益（役務取引等収益）です。
市場ニーズの変化への適応に関しては、日銀のマイナス金利解除や追加利上げによる「金利のある世界」の本格化に対応し、預金金利や短期プライムレートの引き上げを実施しています。これにより、金利収入の改善が期待されます。また、地域経済の足踏みや企業の倒産増加といった課題に対し、経営コンサルティング、DX支援、M&A支援サービスなどを強化することで、顧客の事業継続や成長をサポートし、収益機会の多様化を図っています。預金残高はやや減少傾向にあるものの、貸出金（特に個人・公共向け）は増加しており、地域ニーズに合わせた資金供給を継続しています。
5. 技術革新と主力製品
鳥取銀行は、預金・貸出といった伝統的な銀行業務に加え、技術を活用したサービス提供にも力を入れています。具体的には、クラウド会計ソフト「freee」、ビジネス改善プラットフォーム「kintone」、POSシステム「Smaregi」、勤怠管理システム「KING OF TIME」といったクラウドソリューションの導入支援を通じて、地域企業の業務効率化やDX推進をサポートしています。
収益を牽引しているのは、引き続き貸出業務（2025年3月期経常収益の約6割）と有価証券投資業務ですが、多様なサービスを提供することで、顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援し、新たな収益源の確立を目指しています。
6. 株価の評価
現在の株価は1,285.0円です。
* 会社予想EPS（1株当たり当期純利益）は133.55円であり、これに基づくとPER（株価収益率）は9.62倍です。
* 実績BPS（1株当たり純資産）は5,127.31円であり、これに基づくとPBR（株価純資産倍率）は0.25倍です。
業界平均PERが50.4倍、業界平均PBRが0.3倍と比較すると、鳥取銀行のPERおよびPBRはいずれも業界平均を大きく下回っています。特にPBRは0.25倍と、純資産に対して株価が低く評価されている状態です。配当利回りは会社予想で3.89%であり、安定した配当を提供しています。
7. テクニカル分析
株価は現在1,285.0円で、年初来高値1,362円、年初来安値1,061円のレンジで推移しています。直近10日間の株価は1,253円から1,299円の範囲で動いており、大きな変動は見られませんが、緩やかな上昇傾向がうかがえます。50日移動平均線が1,261.90円、200日移動平均線が1,258.73円であり、現在の株価は両移動平均線を上回っています。これは、短期および中期的には上昇トレンドにあることを示唆している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高（経常収益）: 過去数年間で堅調に増加しており、2025年3月期は16,324百万円と前期比+11.4%を達成しました。
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 2022年3月期の891百万円から、2025年3月期には1,313百万円まで増加しており、前期比+24.3%と着実な成長が見られます。
- ROE（実績）: 2.68%（過去12ヶ月は2.69%）であり、一般的な日本企業と比較すると低い水準ですが、銀行業特有の特性を考慮する必要があります。
- ROA（過去12ヶ月）: 0.12%と低水準です。これは総資産に対する純利益の割合を示し、銀行業では多くの資産を抱えるため一般的に低い傾向にあります。
- 自己資本比率（連結、銀行法）: 2025年3月末で8.60%であり、国内基準を満たしています。
- キャッシュフロー:
- 営業活動によるキャッシュ・フローは2025年3月期に△37,641百万円と大幅なマイナスとなりました。これは貸出金の増加や預金残高の減少などが影響した可能性があります。
- 投資活動によるキャッシュ・フローは6,612百万円のプラス、財務活動によるキャッシュ・フローは△466百万円のマイナスでした。
- 期末の現金及び現金同等物は93,268百万円です。
全体として、売上・利益は成長傾向にありますが、営業キャッシュフローの動向は今後の注視が必要です。
9. 株主還元と配当方針
鳥取銀行は、安定した株主還元策を実施しています。会社予想に基づく配当利回りは3.89%と比較的高い水準です。1株当たり配当金は年間50.00円（期末25.00円）を予想しており、配当性向は連結で45.96%です。これは利益に対して無理のない範囲で配当を行っていることを示唆しています。5年平均配当利回りは4.13%であり、過去からの安定した配当実績が見られます。自社株買いについては、株主情報に自己株口の記載はありますが、具体的な自社株買いの発表や方針に関する情報は今回の提供資料からは読み取れません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は緩やかな上昇傾向にあり、50日および200日移動平均線を上回って推移しています。これはポジティブなモメンタムを示している可能性があります。信用買残が微増している一方で、信用売残も微増しており、信用倍率は10.14倍です。出来高は平均で1万～3万株程度と、活発な取引量とは言えません。
株価への影響要因としては、今後発表される決算内容、日本銀行の金融政策の動向（金利上昇環境の継続）、地域経済の回復度合い、そしてコンサルティング事業など新たな取り組みの進捗が挙げられます。特に7月末に予定されている決算発表は、株価モメンタムに影響を与える可能性があります。
11. 総評
鳥取銀行は、鳥取県を地盤とする地域密着型銀行であり、伝統的な銀行業務に加え、コンサルティング機能やDX支援を強化し、「コンサルティングバンク」への変革を目指しています。
直近の業績は売上・利益ともに増加傾向にあり、特に2025年3月期は増収増益を達成しました。株価指標を見ると、PER、PBRともに業界平均と比較して低い水準にあり、帳簿価値に対して割安に評価されている可能性があります。配当利回りは約3.9%と安定しており、株主還元も継続的に行われています。
財務面では、銀行法に基づく自己資本比率は国内基準を満たし健全性は確保されていますが、営業キャッシュフローが大幅なマイナスを計上している点は今後の注視が必要です。
今後の成長戦略としては、地域経済の活性化への貢献や、金利環境の変化への適応、そしてデジタル技術を活用した新たなサービス提供の進展が、経営成績および株価に影響を与える要因となることが考えられます。
企業情報
| 銘柄コード | 8383 |
| 企業名 | 鳥取銀行 |
| URL | http://www.tottoribank.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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