以下は、QPS研究所(証券コード:5595)の企業分析レポートです。
1. 企業情報
QPS研究所は、福岡に本社を置く九州大学発の宇宙ベンチャー企業です。主に小型のSAR(合成開口レーダー)衛星の開発・製造、および衛星から取得した画像データの販売を手掛けています。SAR衛星は天候や昼夜に関わらず地表を観測できる特徴があり、地球観測衛星データ事業を単一の事業セグメントとしています。
2. 業界のポジションと市場シェア
QPS研究所は、成長分野である宇宙産業に位置し、特に小型SAR衛星の開発・運用において独自の技術とビジネスモデルを構築しています。小型SAR衛星によるコンステレーション(多数の衛星で構成される群)を構築することで、リアルタイムに近い頻度での地球観測の実現を目指しており、これが同社の競争優位性となっています。世界的に宇宙産業への関心が高まり市場規模は拡大傾向にあるものの、同時に競争も激化しています。具体的な市場シェアのデータは提供されていませんが、この分野での技術的優位性を確立しようとしています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は、小型SAR衛星QPS-SARシリーズの打ち上げを加速させ、衛星コンステレーションの構築を最優先の経営戦略としています。中期経営計画では、2026年5月までに合計5機の小型SAR衛星を打ち上げることを目標としています。これにより、地球観測衛星データおよび画像の販売事業を本格化させる方針です。技術開発、インフラ構築、製造・販売体制の強化も重点分野として挙げられており、将来的な地球観測市場でのポジション確立を目指しています。また、2025年12月1日(予定)に持株会社体制へ移行し、新たな持株会社が東京証券取引所グロース市場に新規上場(テクニカル上場)する予定です。
4. 事業モデルの持続可能性
QPS研究所の事業モデルは、小型SAR衛星の開発・製造・運用から得られる地球観測データの販売を中心としています。このデータは、防災、農業、インフラ監視、地図作成など幅広い分野での活用が期待されており、市場ニーズは拡大傾向にあります。同社は衛星コンステレーションによる準リアルタイム観測の実現を目指しており、これにより市場の変化や新たなニーズに迅速に対応できるようになると考えられます。ただし、宇宙産業は技術開発に多額の先行投資が必要であり、衛星打ち上げの成功やデータの安定供給が事業の持続性における重要な要素となります。
5. 技術革新と主力製品
同社の主力製品は「小型SAR衛星QPS-SAR」とその観測データです。この衛星は、小型ながら高分解能の観測を可能にする独自の技術を特徴としています。複数機の衛星を連携させることで、特定地点を頻繁に観測できるコンステレーションを構築し、リアルタイムに近い地球観測「準リアルタイム地球観測データ提供サービス」の実現を目指しています。これは、従来の大型衛星では難しかった柔軟かつ高頻度なデータ取得を可能にする技術革新といえます。
6. 株価の評価
現在の株価は2,193.0円です。
各種指標によると、PER(会社予想)は208.66倍、PBR(実績)は7.01倍です。
業界平均PERが66.2倍、業界平均PBRが3.5倍であることと比較すると、同社のPERおよびPBRは業界平均よりも高い水準にあります。これは、同社が成長段階にある宇宙ベンチャーであり、将来の事業拡大や収益性向上への期待が株価に織り込まれている可能性を示唆していると考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価2,193.0円は、年初来高値2,419.0円に比較的近く、年初来安値806.0円からは大きく上昇しています。直近10日間の株価推移を見ると、概ね上昇傾向にあり、特に本日(2025年7月23日)は大きく上昇して引けています。50日移動平均線(2,041.48円)および200日移動平均線(1,405.15円)を現在の株価が上回っており、短期・長期ともに移動平均線と乖離があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 売上高は大きく増加傾向にあります。2022年5月期の18百万円から、2023年5月期は372百万円、2024年5月期は1,653百万円、そして最新の2025年5月期には2,681百万円(前事業年度比62.1%増)と急伸しています。これは、小型SAR衛星の打ち上げ成功と事業の拡大を反映しています。
- 営業利益・純利益: 営業利益は、2024年5月期に341百万円と黒字転換を果たしましたが、2025年5月期は85百万円と大幅に減少しました。これは、小型SAR衛星QPS-SAR5号機の通信系不具合に起因する減損損失1,636百万円を計上した影響によるものです。経常利益は2025年5月期に210百万円の損失を計上し、当期純損失も1,848百万円(前事業年度は427百万円の損失)と拡大しています。これは減損損失に加え、研究開発拠点への設備投資等、成長に向けた先行投資が続いているためと見られます。
- キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュ・フローは1,473百万円とプラスで増加しており、事業活動で資金を獲得できています。しかし、投資活動によるキャッシュ・フローは△7,040百万円と大規模な支出が続いており、新たな衛星開発や設備投資を積極的に行っている状況を反映しています。財務活動によるキャッシュ・フローは11,534百万円と大幅なプラスで、新規株式発行などによる大規模な資金調達が行われたことを示しています。
- 財務安全性・効率性: 自己資本比率は62.2%(2025年5月期末)と比較的高い水準を維持しており、財務基盤は安定していると考えられます。しかし、ROEは-15.85%と赤字のためマイナスであり、売上高営業利益率は3.2%(減損損失計上後)となっています。これは、成長フェーズにおける先行投資とそれに伴う一時的な損失が収益性に影響を与えている状況と評価できます。
9. 株主還元と配当方針
同社は、提供データおよび決算短信によると、2024年5月期および2025年5月期の実績、2026年5月期の予想ともに、1株配当は0円であり、配当利回りも0.00%です。ペイアウトレシオも0.00%であることから、現時点では株主への配当を行っておらず、収益を事業拡大のための再投資に充てる方針と考えられます。自社株買いなどの具体的な株主還元策に関する情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は上昇傾向にあり、特に本日(2025年7月23日)は活発な取引が行われ、出来高が1,100万株を超えました。信用取引状況を見ると、信用買残が6,327,000株と増加傾向にある一方、信用売残は1,337,300株と減少傾向にあり、信用倍率は4.73倍となっています。これは、投資家の間で株価の上昇に対する期待感が高まっている可能性を示唆していると考えられます。決算発表や持株会社体制への移行といった企業イベントも、株価の変動に影響を与えている可能性があります。
11. 総評
QPS研究所は、将来性が期待される宇宙産業、特に小型SAR衛星の分野で独自の技術とビジネスモデルを持つベンチャー企業です。売上高は急成長を続けていますが、現段階では衛星開発やコンステレーション構築のための大規模な先行投資が継続しており、減損損失の影響もあり、直近の直純利益は赤字となっています。しかし、新規株式発行などによる資金調達で財務基盤を固めながら、積極的な投資活動を継続している状況です。株価については、高いPERやPBRが示すように、将来の成長への期待が大きく織り込まれている水準にあります。現時点では株主還元としての配当は行われておらず、事業成長への再投資を優先する方針です。今後も、発表される中期経営計画の進捗状況、衛星打ち上げの成功、およびSARデータビジネスの具体的な収益化の動向が注目されます。
企業情報
銘柄コード | 5595 |
企業名 | QPS研究所 |
URL | https://i-qps.net/ |
市場区分 | グロース市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
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