企業の一言説明

東京汽船は、東京湾内を中心に曳船事業を展開する業界大手の企業です。旅客船や海事関連事業も手掛け、特に外国船サービスに強みを持っています。

投資判断のための3つのキーポイント

  • 極めて堅牢な財務基盤と高い配当利回り: 自己資本比率76.0%、流動比率2.49と財務健全性が非常に高く、会社予想配当利回りも3.86%と魅力的です。PBRは0.55倍と解散価値を下回る水準にあり、財務安全性を重視する投資家にとって魅力的な選択肢となり得ます。
  • 主力曳船事業の安定した収益基盤: 曳船事業は国内外の貿易や港湾利用に不可欠なサービスであり、東京汽船はその分野で高い競争力を持っています。直近の決算でも曳船事業は売上高・営業利益ともに堅調に推移しており、安定した本業収益の源泉となっています。
  • 特別利益に依存した見せかけの超低PER: 会社予想PERは2.32倍と極めて割安に見えますが、これは2026年3月期の通期純利益予想に多額の固定資産売却益などの特別利益が計上されることに起因しています。本業の収益性は依然として課題が多く、この超低PERを鵜呑みにせず、特別利益を除いた実質的な収益力を評価する必要があります。

企業スコア早見表

項目 スコア 判定
成長性 D 低迷
収益性 D 低水準
財務健全性 S 極めて良好
バリュエーション A やや割安

※スコア凡例: S=優良, A=良好, B=普通, C=やや不安, D=懸念

注目指標サマリー

指標 業界平均比
株価 1,295.0円
PER 2.32倍 業界平均11.8倍
PBR 0.55倍 業界平均0.5倍
配当利回り 3.86%
ROE 1.74%

1. 企業概要

東京汽船(証券コード:9193)は、1947年設立の老舗海運企業で、東京湾内を中心に「曳船」事業を展開する大手です。曳船は大型船舶の入出港補助や離着岸作業を支援する港湾インフラに不可欠なサービスであり、特に外国船への対応に強みを持っています。その他、旅客船の運航や海事関連事業(海上における物流支援、洋上風力発電アクセス船事業を含む)も手掛けています。

2. 業界ポジション

東京汽船は東京湾における曳船事業の主要プレイヤーであり、外国船サービスにおいては確固たる地位を築いています。運輸・物流セクターの倉庫・運輸関連業に分類され、業界内では安定した事業基盤を持つ老舗企業として認知されています。
同社のバリュエーション指標を業界平均と比較すると、PER(会社予想)は2.32倍と業界平均11.8倍を大きく下回り、一見すると極めて割安に見えます。一方、PBR(実績)は0.55倍と業界平均0.5倍と同水準です。PERの著しい割安感は、後述する特別利益による一時的な純利益の増加が主要因であり、本業の収益力を個別に評価する必要があります。

3. 経営戦略

中期経営計画に関する具体的なデータは提供されていませんが、決算短信によると、同社は主力である曳船事業の堅調な推進に加え、洋上風力発電アクセス船事業など海事関連事業の拡大に注力している姿勢が見受けられます。これは、再生可能エネルギー関連の需要取り込みを通じて、新たな成長機会を模索する戦略であると考えられます。一方で、旅客船事業は直近四半期で売上高・営業利益ともに減少しており、収益改善が課題です。
2026年3月30日に「Ex-Dividend Date」(配当落ち日)が予定されており、これに向けて株主還元への関心が高まる可能性があります。

【財務品質チェックリスト】Piotroski F-Score

当銘柄のPiotroski F-Scoreは以下の通りです。

項目 スコア 判定
総合スコア 4/9 B: 普通
収益性 1/3 純利益が正
財務健全性 3/3 極めて良好
効率性 0/3 改善余地大

収益性スコア(1/3): 過去12ヶ月の純利益は正(3億6,600万円)ですが、ROA(-0.72%)がマイナスであるため、収益性には課題があります。
財務健全性スコア(3/3): 流動比率が2.49と高く、負債比率も11.51%と低い水準を維持し、株式希薄化もないため、財務健全性は極めて良好です。
効率性スコア(0/3): 過去12ヶ月の営業利益率(-1.99%)、ROE(1.74%)、四半期売上成長率(-0.10%)はいずれも基準を満たしておらず、経営効率の改善が求められます。

【収益性】

  • 営業利益率(過去12か月): -1.99%
    • 収益性が低い状態を示しており、本業で利益を出す力が不足しています。
  • ROE(実績、過去12か月): 1.74% (ベンチマーク: 10%以上)
    • 株主資本を効率的に活用して利益を生み出す力が低く、ベンチマークを大きく下回っています。
  • ROA(過去12か月): -0.72% (ベンチマーク: 5%以上)
    • 総資産に対する利益率がマイナスであり、経営資源全体を効率的に活用できていない状況を示しています。

【財務健全性】

  • 自己資本比率(実績): 76.0%
    • 非常に高い水準であり、返済不要な自己資本で事業活動を行っている割合が高く、財務基盤が極めて安定していることを示します。
  • 流動比率(直近四半期): 2.49倍 (249%)
    • 200%以上が良好とされる中で、短期的な支払い能力も十分にあることを示しており、資金繰りに問題がない非常に健全な状態です。

【キャッシュフロー】

  • 営業キャッシュフロー(2025年3月期): 1,206百万円
    • 本業で安定してキャッシュを生み出せており、企業の基本的な収益力が健全であることを示します。
  • フリーキャッシュフロー(2025年3月期): 1,842百万円
    • 営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたもので、企業の自由に使える資金の余裕を示します。安定してプラスであり、財務的な柔軟性が高いと言えます。

【利益の質】

  • 営業CF/純利益比率(2025年3月期): 0.59倍 (1,206百万円 / 2,044百万円)
    • 1.0倍以上が健全とされる中で、この比率が1.0倍を下回っていることは、純利益に現金支出を伴わない会計上の利益や特別利益が多く含まれている可能性を示唆します。2025年3月期に多額の「Net Income Common Stockholders 2,044,245千円」が計上されていますが、これは非経常的な要因によるものの可能性があり、利益の質には注意が必要です。

【四半期進捗】

2026年3月期第3四半期連結累計実績(2025年4月1日~12月31日)と通期予想の比較:

  • 売上高: 9,971百万円(通期予想13,093百万円に対し進捗率76.2%)
    • おおむね順調なペースで推移していると言えます。
  • 親会社株主帰属四半期純利益: 503百万円(通期予想5,544百万円に対し進捗率9.1%)
    • 通期予想純利益5,544百万円に対し、第3四半期時点の進捗率が極めて低い9.1%にとどまっています。これは、通期予想の純利益に多額の固定資産売却益などの特別利益(第3四半期までに401,777千円の固定資産売却益が計上されているものの、通期予想の純利益5,544百万円を達成するにはさらなる特別利益の計上が前提となっているか、またはその他の要因による)が含まれており、それが主に第4四半期に計上されることを見込んでいるためと考えられます。本業の利益進捗については別途確認が必要です。
  • 直近3四半期の売上高・営業利益の推移(2026年3月期):
    • 第1四半期: 売上高・営業利益はデータなし
    • 第2四半期: 売上高・営業利益はデータなし
    • 第3四半期連結累計: 売上高9,971百万円、営業利益△24百万円
    • セグメント別では、曳船事業は売上高7,074百万円(前年同期比+8.9%)、営業利益113百万円と堅調に推移しています。しかし、海事関連事業は売上高1,609百万円(同+119.5%)と大幅増も営業利益△125百万円で赤字、旅客船事業は売上高1,288百万円(同△32.6%)、営業利益△41百万円で苦戦しています。

【バリュエーション】

  • PER(会社予想): 2.32倍
    • 業界平均PER11.8倍と比較して大幅に低い水準にあり、数値上は極めて割安と判断されます。しかし、このPERは2026年3月期の通期予想純利益5,544百万円(特別利益に大きく依存)を基に算出されており、本業の収益力を反映したものではないため、割引いて評価する必要があります。
  • PBR(実績): 0.55倍
    • 業界平均PBR0.5倍と同水準であり、会社の純資産に対して株価が解散価値を下回る比較的割安な水準にあります。堅固な財務基盤を持つ企業としては、PBR1倍割れはバリュー投資家にとって注目ポイントとなります。

【テクニカルシグナル】

指標 状態 数値 解釈
MACD 中立 MACD値: 30.38 / シグナルライン: 38.27 トレンド転換の兆候は限定的
RSI 中立 61.3 買われすぎでも売られすぎでもない
5日線乖離率 +2.13% 直近のモメンタムはやや強い
25日線乖離率 +2.98% 短期トレンドからやや乖離
75日線乖離率 +18.11% 中期トレンドを大きく上回る
200日線乖離率 +28.39% 長期トレンドを大きく上回る

RSIは61.3%と中立圏にあり、相場の過熱感や売られすぎ感は強くありません。MACDは中立を示しており、短期的なトレンドに明確な方向感はありません。

【テクニカル】

  • 52週高値・安値との位置: 現在株価1,295.0円は、52週高値1,359.0円、52週安値624.0円に対し、52週レンジの91.3%の位置にあります。これは株価が高値圏で推移していることを示します。
  • 移動平均線との関係: 現在株価は5日移動平均線(1,268.00円)、25日移動平均線(1,257.48円)、75日移動平均線(1,096.41円)、200日移動平均線(1,008.63円)をすべて上回っており、短期から長期にわたる強い上昇トレンドが示唆されています。各移動平均線も上向きで推移していると考えられます。

【市場比較】

  • 日経平均との相対パフォーマンス:
    • 1ヶ月リターンは日経平均を6.58%ポイント下回っていますが、3ヶ月リターンでは日経平均を14.01%ポイント上回っています。
    • 6ヶ月と1年では日経平均を下回るパフォーマンスとなっています。
  • TOPIXとの相対パフォーマンス:
    • 同様に、1ヶ月ではTOPIXを6.76%ポイント下回るものの、3ヶ月ではTOPIXを上回っています。

短期的に株価が急速に上昇した期間がある一方で、中長期的には市場平均に劣後する傾向が見られます。

【注意事項】

データ上、信用倍率は0.00倍であり、将来の売り圧力を直接示唆する信用取引の過熱感は見られません。また、PBR1倍割れであるものの、直近の純利益は特別利益によるものですが、好調であるため、バリュートラップの可能性は低いと判断されます。

【定量リスク】

  • 年間ボラティリティ: 32.06%
    • 仮に100万円投資した場合、年間で±32万円程度の変動が想定され、比較的高い株価変動リスクを有しています。
  • ベータ値(5Y Monthly): 0.34
    • 市場全体(市場平均)が1%変動した際に、この銘柄の株価が0.34%変動することを示します。ベータ値が1未満であるため、市場変動に対して株価が比較的鈍感であり、市場全体のリスクが低い局面で安定的に推移しやすい傾向があります。
  • 最大ドローダウン: -64.44%
    • 過去の一定期間において記録された最大の下落率です。この程度の大きな下落が今後も起こりうるリスクがあることを示しています。
  • シャープレシオ: -0.95
    • リスク(ボラティリティ)に見合うリターンが得られているかを示す指標で、1.0以上が良好とされます。マイナスの値であるため、リスクに対して十分なリターンが得られていない、またはリターン自体がマイナスである可能性を示唆します。

【事業リスク】

  • 旅客船事業の収益性低迷: 直近の決算で旅客船事業は売上高・営業利益ともに厳しい状況が続いており、全体収益の足を引っ張る可能性があります。観光需要の変動や競合激化などが影響していると考えられます。
  • 燃料価格・為替変動リスク: 海運業であるため、燃料油価格の変動はコストに直結します。また、サービスは国際的な取引も含まれるため、為替レートの変動も収益に影響を与える可能性があります。
  • 特別利益への依存: 2026年3月期の通期純利益予想が多額の特別利益に大きく依存しているため、一時的な売却益などが剥落した場合、本業の収益力が弱いと株式市場から評価されるリスクがあります。

7. 市場センチメント

  • 信用取引状況: 信用買残は82,000株、信用売残は0株であり、信用倍率は0.00倍です。これは、信用取引による売り圧力がほとんどなく、一方で買いポジションも限定的であることを示します。信用取引が過熱している状況ではないため、需給面からの大きな圧力は小さいと考えられます。
  • 主要株主構成: 代表者の齊藤宏之氏が17.31%を保有する筆頭株主であり、商船三井(11.11%)や共栄火災海上保険(5.00%)、京浜急行電鉄(5.00%)といった事業会社や機関投資家が上位に名を連ねています。これら安定株主の存在は、企業経営の安定性に寄与していると言えます。

8. 株主還元

  • 配当利回り(会社予想): 3.86%
    • 1株配当50.00円(普通配当20円、特別配当30円を含む)に基づくと、魅力的な水準の配当利回りです。
  • 配当性向(通期予想): 約9.0% (500.5百万円 / 5,544百万円)
    • 通期予想純利益5,544百万円から算出すると、配当性向は非常に低い水準となります。これは、前述の通り予想純利益に多額の特別利益が含まれているため、本業の利益水準から見た実質的な配当性向とは異なる可能性が高いです。実績ベースの配当性向(24.3%:2025年3月期)は一般的な水準に収まっており、安定配当を重視する経営姿勢が見られます。
  • 自社株買いの状況: データなし。

SWOT分析

強み

  • 堅牢な財務基盤(自己資本比率76.0%、流動比率2.49倍)と安定したキャッシュフロー
  • 東京湾における曳船事業の確固たる地位と安定した事業収益

弱み

  • 本業の収益性(営業利益率-1.99%、ROE 1.74%)が低い
  • 旅客船事業の継続的な不振と全体収益への悪影響

機会

  • 洋上風力発電関連などの新技術・新事業分野への参入による成長期待
  • PBR1倍割れの水準に対する市場からの見直し・再評価

脅威

  • 燃料価格や為替レートの変動によるコスト増加リスク
  • 国内外の景気動向や貿易量の変動による事業環境の変化

この銘柄が向いている投資家

  • 財務健全性を最重視する安定志向の投資家: 高い自己資本比率と流動比率により、企業の倒産リスクが極めて低いため、安心して長期保有したい投資家。
  • バリュー株投資家: PBRが1倍を下回っており、純資産価値に比べて株価が割安であると考える投資家。ただし、特別利益を除く本業の収益性には注意が必要です。
  • 配当利回り重視の投資家: 3.86%という魅力的な配当利回りがあり、安定的なインカムゲインを求める投資家。

この銘柄を検討する際の注意点

  • 本業の収益力を注意深く評価すること: 会社予想PERが極めて低いのは、多額の特別利益によるものであり、本業の営業利益は横ばい、あるいは赤字の状況です。特別利益を除いた実質的な収益力を分析し、その継続性を見極める必要があります。
  • 旅客船事業の動向を注視すること: 旅客船事業の不振は連結業績の足を引っ張っています。今後の事業改善策や収益回復の具体的な進捗が確認できるまで、リスク要因として考慮すべきです。

今後ウォッチすべき指標

  • 営業利益率の改善: 過去12ヶ月で依然マイナスである営業利益率が、持続的にプラスに転換し、その水準が向上するか。明確な目標値としては5%以上を目指せるか。
  • 旅客船事業の業績回復: 四半期ごとのセグメント別業績において、旅客船事業の売上高減少に歯止めがかかり、営業利益が黒字化するか。
  • 洋上風力発電アクセス船事業の進捗: 新規事業として立ち上げられる洋上風力発電アクセス船事業が、具体的にどの程度の規模で収益貢献していくか、情報開示に注目する。

10. 企業スコア

  • 成長性: D (低迷)
    • 過去12ヶ月の四半期売上高成長率は-0.10%と横ばいから微減傾向にあります。2026年3月期の通期予想売上高は前年比+8.7%と増収を見込むものの、持続的な高成長は期待しにくい状況です。
  • 収益性: D (低水準)
    • 過去12ヶ月のROEは1.74%、営業利益率は-1.99%と、いずれも一般的なベンチマーク(ROE 10%以上、営業利益率10%以上)を大幅に下回っています。本業の収益力が低い状態が継続しています。
  • 財務健全性: S (極めて良好)
    • 自己資本比率は76.0%と非常に高く、流動比率も2.49倍と極めて健全な水準です。F-Scoreは4/9点(普通)ですが、これは収益性と効率性の低さが要因であり、財務基盤の安定性は極めて優良と評価できます。
  • バリュエーション: A (やや割安)
    • PERは2.32倍と業界平均11.8倍を大幅に下回り、PBRも0.55倍と業界平均0.5倍と同水準の低さです。PERは特別利益による影響が大きいものの、PBRが1倍を下回る水準で推移しており、財務体質の良さから見て依然として割安感があるため、A評価としました。

企業情報

銘柄コード 9193
企業名 東京汽船
URL http://www.tokyokisen.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 運輸・物流 – 倉庫・運輸関連業

バリュー投資分析(5年予測・3シナリオ参考情報)

将来のEPS成長と配当を3つのシナリオ(楽観・標準・悲観)で予測し、現在の株価が割安かどうかを試算した参考情報です。

現在の指標

株価 1,295円
EPS(1株利益) 557.06円
年間配当 3.86円

シナリオ別5年後予測

各シナリオの成長率・PER前提と、それに基づく5年後の予測株価・期待リターンです。

シナリオ 成長率 将来PER 5年後株価 期待CAGR
楽観 18.6% 2.7倍 3,486円 22.1%
標準 14.3% 2.3倍 2,521円 14.5%
悲観 8.6% 2.0倍 1,658円 5.4%

目標年率別の理論株価(標準シナリオ)

標準シナリオに基づく参考値です。「理論株価」は、この価格以下で購入すれば目標年率リターンを達成できる可能性がある株価上限です。

現在株価: 1,295円

目標年率 理論株価 判定
15% 1,268円 △ 2%割高
10% 1,584円 ○ 18%割安
5% 1,998円 ○ 35%割安

【判定基準】○X%割安:現在株価が理論株価よりX%低い / △X%割高:現在株価が理論株価よりX%高い

競合他社

企業名 コード 現在値(円) 時価総額(億円) PER(倍) PBR(倍) ROE(%) 配当利回り(%)
東海汽船 9173 3,115 68 42.84 1.29 3.0 0.00

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.28)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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