1. 企業情報
企業概要
極東貿易株式会社（Kyokuto Boeki Kaisha, Ltd.）は、1947年設立の中堅機械商社です。主に産業設備、産業素材、機械部品の輸出入・卸売・販売を手掛けており、防衛関連分野にも強みを持っています。国内外の産業機械や高機能材料、精密部品の取り扱いに加え、M&Aを通じた事業拡大も積極的です。近年は海外販路の強化や周辺事業の拡大にも注力しています。
主な事業内容
- 産業設備関連：鉄鋼、非鉄、自動車、化学、造船、プラントエンジニアリング関連機械装置など
- 産業素材関連：複合材料、繊維加工機械、樹脂加工、食品副資材など
- 機械部品関連：精密ファスナー、ばね、船舶補修部品など
- その他：防衛・航空機関連、ITシステム、保険、リース、建設、派遣など
2. 業界のポジションと市場シェア
競争優位性
- 産業向け機械・設備・高機能材料の専門性と国内外の幅広い販路
- 防衛関連や航空機分野での実績
- M&Aによる新規事業分野への進出
課題
- 大手総合商社と比べた場合の規模感・資本力
- 為替や原材料価格など外部環境の影響を受けやすい
- 米国の関税政策等、グローバルリスク
3. 経営戦略と重点分野
経営ビジョン・戦略
- 中期経営計画「KBKプラスワン2025」推進中
- 事業ポートフォリオの最適化と新規事業分野への投資加速
- M&Aによるシナジー創出と収益基盤拡大
重点分野
- 産業設備・素材・機械部品の高付加価値化
- 海外市場（特に北米・アジア）の開拓
- 防衛・航空機分野の強化
- IT・システム関連サービスの拡充
4. 事業モデルの持続可能性
- 産業設備・素材・部品の安定した需要基盤
- 市場ニーズ変化への柔軟な対応力（M&A・新規分野参入）
- 防衛・航空機関連の公共性・安定性
- ただし、外部環境（為替・地政学リスク等）への依存度も一定あり
5. 技術革新と主力製品
- 地震・振動計測機器、画像処理装置、航空機搭載電子機器など、独自性ある製品を展開
- 高機能樹脂・複合材料、精密ファスナー等、収益性の高い分野に強み
- IT・システム関連（計装制御システム等）の拡大も進行中
6. 株価の評価
- 株価：1,503円（2025/5/29終値）
- EPS（会社予想）：130.91円
- PER（会社予想）：11.48倍（業界平均12.1倍と同程度）
- BPS（実績）：2,401.99円
- PBR（実績）：0.63倍（業界平均1.0倍を下回る）
株価水準の比較
- PER・PBRともに業界平均よりやや割安な水準
- BPSに対し現在株価は大きく下回っている
7. テクニカル分析
- 直近10日間の株価は1,470～1,515円のレンジで推移
- 50日移動平均：1,544円、200日移動平均：1,557円
- 現在株価は移動平均線を下回り、年初来高値（1,740円）からは調整局面
- 年初来安値（1,315円）よりは上昇しているが、高値圏ではない
8. 財務諸表分析
売上・利益推移（年度別）
- 売上高：2021年57,405百万円 → 2025年52,982百万円（2024年比+21.4%）
- 営業利益：2021年364百万円 → 2025年2,038百万円（2024年比+83.3%）
- 純利益：2021年278百万円 → 2025年3,717百万円（2024年比+221.4%）※特別利益含む
収益性・効率性
- ROE：13.51%（高水準）
- ROA：2.37%
- 営業利益率：3.8%（商社としては標準的）
財務健全性
- 自己資本比率：50.6%（安定）
- 総資産に対する有利子負債比率：26.04%
- 現金・現金同等物：88.3億円、流動比率1.76（流動性十分）
キャッシュフロー
- 営業CF：-7.98億円（マイナス）
- フリーCF：-41億円（マイナス、M&A等投資活動の影響）
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（予想）：4.66%（高水準）
- 1株配当（予想）：70円
- 配当性向：76.9%（特別利益除き54.6%）
- 累進配当方針（減配せず、配当維持または増配を目指す）
- 自己株式取得・消却も実施
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価はやや調整局面（50日・200日線下回る）
- 信用買残増加（投資家の押し目買い意欲）
- 流動性はやや低め（出来高2～4万株/日）
- 配当利回りやPBRの割安感から一定の投資家関心
- 米国関税政策や外部環境リスクへの注目度高い
11. 総評
極東貿易は産業設備・素材・部品の専門商社として、国内外に幅広い販路と高付加価値分野への強みを持ちます。近年はM&Aや新規事業投資も積極的で、中期経営計画のもと収益性・財務健全性ともに改善傾向です。2025年3月期は特別利益の影響もあり大幅な増益となりましたが、2026年3月期は一時的な反動減が見込まれています。
株価指標ではPER・PBRともに業界平均より割安、配当利回りも高水準です。一方、フリーキャッシュフローのマイナスや外部環境リスクには注意が必要です。株主還元策も積極的で、累進配当方針を掲げています。
今後はグローバルリスクや為替動向、M&Aの成果などが注目されます。
企業情報
| 銘柄コード | 8093 |
| 企業名 | 極東貿易 |
| URL | http://www.kbk.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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