以下は、ニッスイ(証券コード:1332)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

ニッスイ(Nissui Corporation)は、1911年に創業し、1943年に設立された日本の大手水産会社です。2022年12月には旧社名である日本水産株式会社からニッスイ株式会社へ商号を変更しました。同社は、日本国内外で多岐にわたる事業を展開しており、主な事業内容は以下の通りです(2025年3月期データに基づく)。
* 水産事業 (41%): 鮭、スケソウダラ、ブリ、エビ、マグロ、カニなどの水産品のほか、魚粉や魚油、魚の餌の提供も行っています。養殖事業も手掛けています。
* 食品事業 (53%): 家庭用および業務用冷凍食品、常温保存食品、魚肉ソーセージや練り製品、冷蔵食品の製造・販売を行っています。家庭用冷凍食品においては大手の一角を占めます。
* ファインケミカル事業 (2%): 医薬品向け高純度EPA(エイコサペンタエン酸)や、機能性食品、健康食品、サプリメントなどの健康関連製品向け素材を製造・供給しています。
* 物流事業 (2%): 総合物流サービスを提供しています。
* その他事業 (2%): 船舶の建造・修理・運航なども行っています。

本社は東京都港区にあり、東京証券取引所プライム市場に上場しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

ニッスイは、日本の水産業界において長い歴史を持つ老舗であり、大手企業の一角を占めています。特に水産物全般の取り扱いから、家庭用冷凍食品、さらには高純度EPAといったファインケミカル分野まで、幅広い事業領域をカバーしている点が特徴です。
* 水産・食品分野: 国内では水産大手、家庭用冷凍食品大手として認識されており、安定した市場プレゼンスを有しています。海外でも養殖事業や食品事業を展開し、グローバルに事業基盤を構築しています。
* ファインケミカル分野: 高純度EPA製品は、健康志向の高まりを背景に成長が期待される分野であり、同社の技術力を活かした競争優位性を持つ可能性があります。

競争優位性としては、長年の経験に裏打ちされたグローバルな調達網、多角的な事業ポートフォリオによるリスク分散、養殖事業による資源の安定供給、そして特定分野における技術力などが挙げられます。一方、課題としては、水産資源の変動リスク、原材料価格の高騰、国内外の競合激化、為替変動リスクなどが考えられます。

3. 経営戦略と重点分野

提供された情報からは、具体的な中期経営計画や経営陣が掲げるビジョン、戦略についての詳細な記述は見当たりません。ただし、「海外で養殖事業、高純度EPA化成品も」という記述から、海外での事業展開と高付加価値製品であるファインケミカル(特にEPA)を重点分野として位置づけている可能性が示唆されます。今後の成長ドライバーとしてこれらの分野への投資を進めることが考えられます。

4. 事業モデルの持続可能性

ニッスイの事業モデルは、水産物の調達から加工、販売、さらにファインケミカルや物流まで多岐にわたるバリューチェーンを持つことで、持続可能性を高めていると考えられます。
* 多様な収益源: 水産、食品、ファインケミカル、物流といった複数の事業セグメントを持つことで、特定市場の変動リスクを分散し、収益基盤の安定化を図っています。
* 市場ニーズへの適応: 健康志向の高まりに応えるファインケミカル事業や、食の安全・安定供給へのニーズに対応する養殖事業は、変化する市場ニーズへの適応力を示しています。また、家庭用冷凍食品は共働き世帯の増加や簡便志向といったトレンドにも対応しています。
* グローバル展開: 国内市場に加えて海外での事業展開により、成長機会を確保し、地域リスクを分散しています。

5. 技術革新と主力製品

ニッスイの技術革新の動向や独自性に関する具体的なデータは提供されていませんが、「高純度EPA化成品」が事業内容として明記されており、これが収益を牽引する主力製品の一つであると考えられます。
* 高純度EPA化成品: 医薬品や機能性食品の素材として活用される高純度EPAは、高度な精製技術を要する製品であり、同社の技術開発力が背景にあると推測されます。健康寿命延伸への関心の高まりとともに、今後も需要拡大が見込まれる分野です。
* 加工技術: 冷凍食品や練り製品など、水産物を加工する長年のノウハウは、同社の製品開発力と品質維持において重要な技術基盤です。

6. 株価の評価

現在の株価 877.8円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 10.91倍。業界平均PERが9.9倍であることを考慮すると、業界平均よりやや高い水準にあります。
* PBR(実績): 0.98倍。業界平均PBRが0.9倍であることを考慮すると、業界平均と同程度の水準にあります。PBRが1倍を下回っていることから、現在の株価は純資産価値に対して割安と評価される可能性があります。
* EPS(会社予想): 80.43円。
* BPS(実績): 891.31円。

これらの指標を見ると、現在の株価は業界平均と比較してPBRが同程度であり、純資産価値から見ると割安感がある一方で、PERは業界平均よりやや高い水準に位置しています。

7. テクニカル分析

直近の株価推移と移動平均線、年初来の値動きを基に分析します。
* 現在の株価: 877.8円
* 年初来高値: 947円、年初来安値: 795円
* 52週高値: 980.60円、52週安値: 740.00円
* 50日移動平均: 855.96円
* 200日移動平均: 879.04円

現在の株価877.8円は、年初来高値(947円)や52週高値(980.60円)と比較すると低い水準にあります。一方、年初来安値(795円)や52週安値(740.00円)からは上昇した位置にあります。
50日移動平均線(855.96円)は上回っていますが、200日移動平均線(879.04円)にほぼ沿っており、短期的な上昇傾向と長期的な安定した動きが混在しています。総合的に見ると、現在の株価は年初来のレンジの中間やや高値寄りに位置していると言えます。

8. 財務諸表分析

損益計算書と企業財務指標の過去数年間の傾向を確認します。
* 売上高 (Total Revenue):
– 2022年3月期: 693,682百万円
– 2023年3月期: 768,181百万円(+10.7%)
– 2024年3月期: 831,375百万円(+8.2%)
– 過去12ヶ月: 886,126百万円(+6.6%対2024年3月期)

売上高は過去数年にわたり着実に増加傾向にあります。直近四半期の売上高成長率も前年比8.20%と堅調です。
  • 営業利益 (Operating Income):

    • 2022年3月期: 27,085百万円
    • 2023年3月期: 24,496百万円(-9.6%)
    • 2024年3月期: 29,670百万円(+21.1%)
    • 過去12ヶ月: 31,783百万円(+7.1%対2024年3月期)

    2023年3月期に一時的な減少が見られましたが、2024年3月期および過去12ヶ月では回復・増加傾向にあります。
    * 純利益 (Net Income Common Stockholders):
    – 2022年3月期: 17,275百万円
    – 2023年3月期: 21,233百万円(+22.9%)
    – 2024年3月期: 23,850百万円(+12.3%)
    – 過去12ヶ月: 25,381百万円(+6.4%対2024年3月期)

    純利益は過去数年間で継続的に増加しており、直近四半期の純利益成長率も前年比63.10%と高い伸びを示しています。
    * 収益性指標:
    – 売上総利益率(過去12ヶ月): 15.7% (139,250M / 886,126M) となっています。
    – 営業利益率(過去12ヶ月): 3.12%
    – 純利益率(過去12ヶ月): 2.86%
    * 効率性指標:
    – ROE(Return on Equity): 過去12ヶ月で10.02%(実績9.65%)。自己資本を効率的に活用して利益を上げていることを示す水準です。
    – ROA(Return on Assets): 過去12ヶ月で3.20%。
    * 財務安全性:
    – 自己資本比率(実績): 43.6%。
    – 流動比率 (Current Ratio): 1.47倍。短期的な支払い能力に問題はない水準です。
    – 有利子負債倍率 (Total Debt/Equity): 75.29%。
    * キャッシュフロー:
    – 営業活動によるキャッシュフロー(過去12ヶ月): 40.38B円のプラス。本業でしっかり現金を生み出しています。
    – フリーキャッシュフロー(過去12ヶ月): -774.12M円とややマイナス。投資活動が活発であった可能性があります。

総じて、ニッスイは堅調な売上成長を継続し、利益も順調に増加傾向にあります。収益性・効率性指標も良好な水準を維持しており、財務安全性も一定の水準を保っていると評価できます。

9. 株主還元と配当方針

ニッスイは株主還元に積極的な姿勢を示しています。
* 配当利回り(会社予想): 3.19%。現在の株価に対して比較的高い配当利回りであり、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力となり得ます。
* 1株配当(会社予想): 28.00円。
* 配当性向: 34.29%。利益の約3割強を配当に回しており、無理のない範囲で配当を継続する方針と推測されます。
* 5年平均配当利回り: 2.45%。現在の配当利回りが過去5年平均を上回っています。

提供された情報からは、自社株買いに関する具体的な記載はありませんでした。配当は安定的に行われているとみられます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の変動傾向: 直近10日間の株価は862.0円から881.1円の範囲で推移しており、限定的な値動きに留まっています。大きな上昇トレンドや下降トレンドは明確ではありません。
  • 市場との比較: 過去52週間の株価変化率は-2.44%であり、S&P 500の同時期の変化率+13.16%と比較すると、市場全体の上昇からは取り残されている状況です。
  • 投資家関心の動向:
    • 信用買残が378,100株(前週比+38,300株)と増加傾向にある一方、信用売残は75,300株(前週比-9,500株)と減少傾向にあります。
    • 信用倍率は5.02倍であり、買残が売残を大きく上回っています。これは、株価が上昇した場合に売り圧力となる可能性を一方で示唆しているとも言えます。
    • 直近の出来高は平均で85万株前後であり、市場の注目度としては安定していると考えられます。
  • 株価への影響要因: 水産物価格の変動、漁獲量や養殖の状況、世界的な経済景気、為替レートの変動(特に海外事業)、冷凍食品市場の競争環境、健康食品市場の動向、そして同社の研究開発成果などが株価に影響を与える要因として考えられます。

11. 総評

ニッスイ(1332)は、水産、食品、ファインケミカル、物流といった多様な事業を展開する大手企業です。特に水産および家庭用冷凍食品分野において確立された地位を持ち、グローバルな事業展開を進めています。
財務面では、過去数年にわたり売上高と純利益は堅調に増加しており、収益性も良好な水準を維持しています。自己資本比率や流動比率も健全性を保っており、本業で安定してキャッシュフローを生み出しています。ROEも10%台と、資本効率も評価できる水準です。
株価の評価においては、PBRが1倍を下回っており、純資産価値に比して割安感がある一方で、PERは業界平均よりやや高い水準にあります。株価は年初来のレンジの中間やや高値寄りに位置しており、直近では大きな方向感は出ていません。株主還元は、安定した配当と3%を超える予想配当利回りにより、インカムゲインを重視する株主にとって魅力となり得ます。
今後の事業展開としては、海外養殖事業の拡大や高付加価値製品であるファインケミカル事業の成長が注目されます。これらの分野が同社の持続的な成長を支える可能性を秘めていると考えられます。
本レポートは、提供された公開情報に基づき分析されたものであり、特定の有価証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。また、その正確性や完全性を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任とご判断において行ってください。


企業情報

銘柄コード 1332
企業名 ニッスイ
URL https://www.nissui.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 水産・農林業

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

By ジニー

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。