以下は、カルビー(証券コード:2229)に関する企業分析レポートです。
1. 企業情報
カルビー株式会社は、1949年に設立された日本の食品製造販売企業です。主な事業はスナック菓子、シリアル食品、その他の食品の製造および販売であり、日本国内だけでなく、北米、中華圏、英国、インドネシアなどグローバルに展開しています。特にポテトチップスやじゃがりこ、フルグラといったブランドがよく知られており、eコマースチャネルの拡大にも注力しています。2024年3月期時点の連結事業構成は、国内スナック菓子が65%、国内シリアル食品が8%、国内他食品が5%、海外食品製造販売が22%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
カルビーは、日本国内のスナック菓子市場において「首位」かつ「最大手」のポジションを確立しています。ポテトチップスやじゃがりこなどの主力製品が市場で高い認知度とシェアを誇り、強力なブランド力と安定した需要基盤を持っています。
競争優位性としては、長年の事業で培われたブランド力、製品開発力、強固な販売チャネルが挙げられます。
一方で課題としては、原材料価格の変動、為替変動リスク、国内市場の成熟、消費者の節約志向の継続、海外特に中華圏事業の不調などが挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
カルビーは「2030ビジョン・成長戦略」を掲げ、次なる成長に向けた事業構造改革を推進しています。中期経営計画「Change 2025」(2024年3月期~2026年3月期)を「構造改革期」と位置付けており、以下の分野に注力しています。
* 国内コア事業: 消費者のニーズに対応した製品展開、ファンマーケティングの強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用したデータドリブンでの収益改善活動の推進。新工場「せとうち広島工場」の操業を開始し、生産効率向上を図っています。
* 海外事業: 地域ごとのポートフォリオ構造を強化し、持続的な成長基盤の構築を目指しています。特に北米や英国、インドネシアでの事業拡大に力を入れています。
* 新規領域: 食と健康事業として「Body Granola」の認知拡大に努めており、冷凍食品事業への本格参入も決定するなど、新たな収益源の確立を目指しています。
中期経営計画における資金支出計画は、成長投資800億円、効率化投資600億円、株主還元250億円(3ヵ年累計)であり、2025年3月期までの2年間で、効率化投資と株主還元は計画に対する進捗が見られますが、成長投資は今後の加速が期待される状況です。
4. 事業モデルの持続可能性
カルビーの収益モデルは、ポテトチップスやじゃがりこに代表されるスナック菓子と、フルグラなどのシリアル食品が中心です。これらは日常消費財であり、比較的安定した需要が見込めます。
市場ニーズの変化に対しては、健康志向の高まりに対応したシリアル製品や「Body Granola」の展開、多様な食シーンに対応する冷凍食品事業への参入など、製品ポートフォリオの拡充で適応を図っています。
また、海外市場への積極的な事業展開により、特定の地域に依存しないリスク分散と成長機会の獲得を目指しています。原材料価格の高騰といった外部環境の変化に対しては、価格・規格改定を通じて対応し、収益性の維持を図っています。Eコマースの拡大も新たな販売チャネルとして、収益基盤の多様化に貢献するものと考えられます。
5. 技術革新と主力製品
カルビーの技術革新に関する具体的な詳細情報は限られていますが、DXを活用したデータドリブンでの収益改善活動や、新工場「せとうち広島工場」の操業開始による生産体制の強化および効率化への取り組みが見られます。主力製品としては、圧倒的な市場認知度を誇る「ポテトチップス」シリーズ、高い稼働率を維持する「じゃがりこ」、さらには健康志向に合わせた「フルグラ」などのシリアル製品、「かっぱえびせん」といった定番商品が収益を牽引しています。海外では北米の「Harvest Snaps」が成長ドライバーの一つとなっています。
6. 株価の評価
現在の株価は2,644.0円です。
* EPS(会社予想 2026年3月期):164.08円
* BPS(実績 2025年3月期):1,642.27円
* PER(会社予想 連結):16.11倍
* PBR(実績 連結):1.61倍
業界平均PERが19.5倍、業界平均PBRが1.3倍であることを踏まえると、以下の評価が可能です。
* 理論PERから見た株価(EPS × 業界平均PER):164.08円 × 19.5倍 = 約3,199円
* 理論PBRから見た株価(BPS × 業界平均PBR):1,642.27円 × 1.3倍 = 約2,135円
現在の株価2,644.0円は、業界平均PERと比較すると割安水準に、業界平均PBRと比較すると割高水準に位置していると判断できます。
7. テクニカル分析
現在の株価2,644.0円は、年初来安値2,615円に近い水準にあり、年初来高値3,152円からは大きく下落しています。
直近10日間の株価推移を見ると、7月1日の2,725円から7月11日の2,644円へと緩やかな下降傾向にあります。
50日移動平均線(2,799.82円)および200日移動平均線(2,982.99円)をいずれも下回っており、短期および中期的な下降トレンドにあることを示唆しています。現在の株価は年初来安値圏、かつ52週安値に近い水準で推移しており、相対的に安値圏にあると評価できます。
8. 財務諸表分析
カルビーの財務諸表は、過去数年にわたり概ね堅調な推移を示しています。
* 売上高: 過去4年間(2022年3月期から2025年3月期)で増加傾向にあり、245,419百万円から322,564百万円へと伸長しています。2026年3月期も345,000百万円の増収予想です。国内事業の価格・規格改定効果や海外事業の拡大が寄与しています。
* 営業利益: 2023年3月期に一時減益となったものの、2025年3月期には29,066百万円に回復し、過去最高水準を更新しました。しかし、2026年3月期は29,800百万円と、増益幅は鈍化する予想です。売上高営業利益率は2024年3月期、2025年3月期ともに9.0%で安定しています。
* 経常利益: 2025年3月期は為替差損の計上により減益となりましたが、2026年3月期は緩やかな回復が予想されています。
* 純利益: 親会社株主に帰属する当期純利益も2023年3月期の一時的な落ち込みから回復し、2025年3月期には20,874百万円となりました。しかし、2026年3月期は20,500百万円と若干の減益が予想されています。
* キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは堅調に推移しており、2025年3月期は39,100百万円の純収入でした。投資活動によるキャッシュフローは、工場建設などの有形固定資産への投資により純支出が続いていますが、事業拡大に必要な投資と見られます。期末の現金及び現金同等物は増加傾向にあります。
* 収益性・効率性: ROEは10.33%(過去12か月実績)、ROAは5.93%(過去12か月実績)であり、一定の収益性を確保しています。
* 財務安全性: 自己資本比率は64.3%(2025年3月期実績)と高く、財務基盤は非常に安定していると評価できます。流動比率も2.40と、短期的な支払い能力にも余裕があります。
全体として、カルビーは売上と利益の成長を継続しつつ、強固な財務体質を維持している企業と言えます。
9. 株主還元と配当方針
カルビーは株主還元に積極的な姿勢を示しており、安定的な増配を目指す方針を掲げています。
* 配当実績: 2024年3月期は56.00円、2025年3月期は58.00円と増配しました。
* 配当予想: 2026年3月期の1株配当は60.00円を予定しており、継続的な増配が見込まれます。
* 配当利回り(会社予想): 2.27%
* 配当性向(会社予想 2026年3月期): 36.6%
* 株主還元方針: 「総還元性向50%以上、DOE(自己資本配当率)4%を目途に安定的な増配を目指す」という目標を掲げています。
* 自社株買い: 中期経営計画における株主還元計画(250億円)に対して、2025年3月期までの2年間で135.09億円の進捗があり、自社株買いも還元策の一部として実施されてきたと考えられます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は下降傾向にあり、50日・200日移動平均線を下回っています。これは短期・中期的な株価の勢いが弱いことを示しています。
出来高は日によって変動がありますが、最近は概ね平均的な水準で推移しており、過度な売買集中は見られません。
信用取引においては、信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率は4.23倍です。これは、株価が下落した際に、買い方の投げ売りによる更なる下落圧力となる可能性を内包していると考えることもできます。
株価への影響を与える主要な要因としては、原材料価格の動向、為替変動(特に円安による経常利益への影響)、国内消費のトレンド、海外事業の成長性(特に中華圏の回復)、そして新規事業の進展などが挙げられます。直近の決算では為替差損が経常利益の減益要因となっており、為替の動向が注目されます。
11. 総評
カルビーは、日本国内のスナック菓子市場で確固たる首位の地位を築き、強固なブランド力と安定した財務基盤を持つ企業です。売上高は継続的に成長しており、特に海外事業の拡大が全体の増収に貢献しています。
収益性も一定水準を保ち、自己資本比率も高く、財務健全性は非常に良好です。株主還元にも積極的で、安定した増配を継続しています。
一方で、原材料価格の高騰や為替変動、中華圏事業の不調といった外部環境リスクが存在します。2026年3月期の業績予想では、営業利益は増益を見込むものの、経常利益や純利益の伸びは鈍化する、あるいは減少を見込んでおり、これらのリスク要因への対応と成長戦略の実現が今後の焦点となります。
現在の株価は年初来の安値圏にあり、移動平均線も下回っていることから、短期・中期的なモメンタムは弱い状況です。 PERは業界平均より割安、PBRは割高という評価であり、投資家にとっては、企業の安定性や株主還元策、今後の成長戦略の進捗が注目されるポイントとなるでしょう。
企業情報
銘柄コード | 2229 |
企業名 | カルビー |
URL | http://www.calbee.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 食品 – 食料品 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。