能美防災(6744)企業分析レポート
東京証券取引所プライム市場に上場する能美防災(6744)について、個人投資家向けに企業分析を行います。
1. 企業情報
能美防災は、警備業界最大手のセコムグループに属する総合防災機器メーカーです。主に火災報知設備や消火設備の開発、製造、販売、設置、そして保守点検までを一貫して手掛けています。事業セグメントは「火災報知設備」、「消火設備」、「保守点検等」が中心で、特に保守点検事業の拡大に注力しています。会社は1944年に設立され、本社は東京都に位置し、従業員数は2,875名、平均年齢は40.0歳です。
2. 業界のポジションと市場シェア
能美防災は、国内の防災機器メーカーにおいて最大手の一角を占めています。セコムの子会社であることは、強固な販売チャネルやブランド力、財務の安定性において競争優位性をもたらすと考えられます。防災設備は建築物における安全に不可欠であり、法令遵守や防災意識の高まりにより安定した需要が見込める市場です。一方で、原材料価格の高騰や建設業界における時間外労働上限規制の適用は、今後の事業運営において注視すべき課題となり得ます。
3. 経営戦略と重点分野
能美防災は「中長期ビジョン2028 ~期待の先をカタチに〜」を掲げ、持続的な成長を目指しています。現在の「ステージII」に続き、2026年3月期から2029年3月期までの4年間を「ステージⅢ」と位置付け、連結売上高170,000百万円以上、営業利益率12%以上、ROE10%以上の達成を目標としています。具体的な重点施策としては、人財強化やデジタルトランスフォーメーション(DX)による既存事業の利益拡大、防災周辺領域や隣接業界へのM&Aによる事業拡大、そして未来共創プロジェクトを通じた新規事業の創出に取り組む方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、防災システムの開発・製造・設置から、長期的な保守点検サービスまでを一貫して提供するものです。特に、保守点検サービスは一度導入された設備に対して継続的に必要となるため、安定的な収益源として持続可能性が高いと考えられます。既存建物の老朽化対策や、自然災害対策としての防災意識向上、法規制の強化なども、同社のサービスに対する市場ニーズを堅調に維持する要因となるでしょう。積極的な営業活動と業務効率化、人員増強の取り組みは、今後の需要増加への適応力を高めると期待されます。
5. 技術革新と主力製品
能美防災は、火災報知設備や消火設備といった防災システムを主力製品としています。これらの製品は、家庭用から商業施設、産業施設、特殊施設まで幅広い用途に対応しています。最新の決算では、火災報知設備、消火設備、保守点検等の各セグメントが堅調に推移し、増収増益に貢献しました。特に消火設備セグメントは売上高18.0%増、営業利益66.4%増と大幅な成長を見せています。また、中期経営計画においてデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく方針が示されており、今後の技術開発を通じて業務効率化や製品・サービスの高度化が進む可能性があります。
6. 株価の評価
現在の株価は3,785.0円です。
– 1株当たり当期純利益(EPS、会社予想):197.10円
– 株価収益率(PER、会社予想):19.20倍
– 1株当たり純資産(BPS、実績):2,189.06円
– 株価純資産倍率(PBR、実績):1.73倍
同社のPER19.20倍は、業界平均PER24.2倍と比較して割安な水準にあります。一方、PBR1.73倍は業界平均PBR1.6倍と比較してやや高い水準です。
EPSと業界平均PERに基づくと、PER基準での理論株価は24.2倍 × 197.10円 = 4,769.82円となり、現在の株価は理論株価を下回っています。
BPSと業界平均PBRに基づくと、PBR基準での理論株価は1.6倍 × 2,189.06円 = 3,502.496円となり、現在の株価は理論株価を上回っています。
これらの情報から、現在の株価はPER基準では割安感があるものの、PBR基準ではやや割高感があるという見方もできます。
7. テクニカル分析
現在の株価(3,785.0円)は、年初来高値(3,880.0円)に近く、52週高値(3,880.00円)の水準にあります。直近の移動平均線を見ると、50日移動平均線(3,669.40円)および200日移動平均線(3,236.92円)を上回っており、株価は上昇トレンドにあると見られます。過去10日間の株価推移を見ると、概ね3,700円から3,800円のレンジで推移しており、現在の株価は短期的には高値圏にあると考えられます。
8. 財務諸表分析
能美防災は、過去数年にわたり堅調な業績推移を示しています。
– 売上高: 2023年3月期から2025年3月期にかけて順調に増加しており、特に2025年3月期は133,696百万円と前年同期比12.8%増を達成しました。
– 利益: 営業利益は15,677百万円(前年同期比34.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,098百万円(前年同期比29.4%増)と、大幅な増益を達成しました。これは、積極的な営業活動に加え、原材料価格高騰下での計画的な価格改定や業務効率化が奏功した結果と説明されています。
– キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは11,547百万円と前年同期に比べて大きく増加し、本業で安定してキャッシュを生み出している状況です。一方で、投資活動や自己株式取得による財務活動でキャッシュ流出も増加しています。
– 収益性: 売上高営業利益率は11.7%(前年同期9.8%)と改善しており、収益性が高まっています。
– 効率性: ROEは8.79%(過去12ヶ月では8.35%)と、中期経営計画の目標である10%以上に向けて改善傾向にあります。ROAも6.04%と堅調です。
– 財務安全性: 自己資本比率は77.2%と非常に高く、総負債が極めて少ない(約1.5億円)ことから、財務体質は極めて健全であり、安定した経営基盤を有していると評価できます。
9. 株主還元と配当方針
能美防災は積極的な株主還元方針を掲げています。
– 配当: 2025年3月期の年間配当は76円(配当利回り2.01%)でしたが、2026年3月期の年間配当予想は100円(配当利回り2.64%)と大幅な増配を見込んでいます。これは、中期経営計画で掲げた「連結配当性向を2025年3月期までに40%とした後、2026年3月期以降は50%とする」という目標に沿ったものです。2025年3月期の配当性向は約40.5%であり、目標を達成しています。
– 自社株買い: 財務活動によるキャッシュフローの項目に自己株式の純増加額が計上されており、自社株買いなどによる株主還元も実施していることが示唆されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
能美防災の株価は過去1年で52.22%上昇しており、S&P 500の同時期間の変動率(10.61%)を大きく上回っています。これは市場平均と比較して強い上昇モメンタムを示しています。直近の出来高は54,200株と変動がありますが、平均出来高は8万株台と、一定の投資家関心があることを示しています。
信用取引においては、信用買残が信用売残を上回る5.38倍となっており、買い方が優勢の状況です。
今後の株価に影響を与える要因としては、堅調な業績推移と増配方針、中期経営計画の進捗がポジティブに作用する可能性があります。一方で、原材料価格や労務費のコスト上昇、建設業界の動向などはリスク要因として注視が必要です。次の決算発表は2025年8月6日から8月12日の間に予定されています。
11. 総評
能美防災は、防災機器メーカー最大手として堅固な事業基盤を持つ企業です。セコムグループの一員であることによる安定性に加え、火災報知・消火設備から保守点検まで一貫したサービス提供が強みであり、特に保守点検事業の強化は持続的な収益基盤の構築に貢献しています。
直近の業績は売上高、利益ともに大幅な成長を達成し、高い収益性を維持しています。財務体質も自己資本比率77.2%と極めて健全であり、豊富な現金と少ない負債により、安定性が際立っています。
中期経営計画では、さらなる成長と収益性・ROE目標の達成、そして連結配当性向50%を目指す積極的な株主還元方針を掲げており、今後の増配も期待されます。
株価は年初来高値圏にありますが、予想PERは業界平均と比較して割安感があります。今後の業績進捗や中期経営計画の達成状況、株主還元策の実行が、投資家からの評価を一層高める要因となるでしょう。原材料価格の高騰や建設業界の課題はリスク要因ですが、これまでの業績から、価格転嫁や業務効率化で対応を進めていると見られます。
企業情報
銘柄コード | 6744 |
企業名 | 能美防災 |
URL | http://www.nohmi.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
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証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。
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