1. 企業情報
株式会社大水は、1939年設立の歴史ある企業で、大阪に本社を構える水産物の卸売業者です。主な事業は、鮮魚、冷凍魚、塩干加工品などの水産物を、京阪神の中央卸売市場を拠点として、スーパーマーケットやレストランなどに供給することです。全連結事業の100%を水産物販売が占めており、付帯サービスとして冷蔵倉庫の運営も行っています。日本水産(ニッスイ)の持分法適用関連会社であり、同社グループの水産物流通網の一角を担っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
大水は、日水系の大手水産物卸売業者として、近畿地方の主要な中央卸売市場に強固な基盤を持っています。特に冷凍魚や加工品に注力しており、多数の仕入先を持つことで多様な水産物に対応できる点が競争優位性であると推測されます。
一方で、水産業界は、漁獲量の変動(気候変動の影響含む)、人件費や物流費、電気料金といった運営コストの高騰、円安による輸入水産物価格の上昇などの外部環境要因から影響を受けやすい特性があります。また、消費者の節約志向の高まりも、内食需要に影響を与える可能性があります。これらの課題への対応が、今後の事業展開において重要になると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
公開された情報から、具体的な中長期経営計画やビジョンに関する詳細な記載は確認できませんでした。しかし、水産物販売事業では「積極的な集荷・販売」を継続し、冷蔵倉庫事業では荷役作業収入の増加が見られることから、収益確保のための営業活動の強化と効率化を重視していると考えられます。直面するコスト上昇環境下では、原価管理と販管費の最適化が重要な経営課題と認識されていると推測されます。
4. 事業モデルの持続可能性
大水の事業モデルは、水産物の卸売と冷蔵倉庫運営という基盤事業に特化しています。京阪神の中央卸売市場を核とした流通網と多様な顧客層への供給体制は、一定の安定性を持っています。
持続可能性という観点では、インバウンド需要に支えられる外食産業の堅調さと、物価高による節約志向が強まる内食市場の鈍化という二極化する市場ニーズへの適応が重要です。また、漁獲量の変動やコスト上昇といった外部リスクに対する調達戦略と価格転嫁能力が、収益性を維持する上で継続的な課題となります。
5. 技術革新と主力製品
公開情報からは、大水における特定の技術革新や研究開発の具体的な動向は確認できませんでした。
同社の収益を牽引しているのは、連結事業の大部分を占める水産物販売事業です。特に「冷凍魚・加工品」に注力していると明記されており、これらが同社の主要な取扱製品群であると考えられます。
6. 株価の評価
現在の株価(334.0円)に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 7.94倍
* PBR(実績): 0.40倍
業界平均PER10.1倍、業界平均PBR0.7倍と比較すると、大水のPERおよびPBRは業界平均を下回っています。この数値は、現在の株価が業界平均と比較して割安に評価されている可能性を示唆していると解釈できます。
1株当たり純資産(BPS)845.39円に対して、株価はBPSの半分以下にとどまっています。
7. テクニカル分析
現在の株価334.0円は、年初来高値384円、年初来安値288円(52週レンジ265円~384円)のレンジの中央やや高値寄りに位置しています。
直近10日間の株価は332円から340円の範囲で推移しており、比較的安定した値動きです。50日間移動平均線(323.40円)と200日間移動平均線(318.20円)はいずれも現在の株価を下回っており、短期・中期的には底堅い印象も見られますが、明確なトレンドは確認できません。出来高は数千株から1万株程度と比較的少なく、流動性は低い傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間、約980億円から990億円台で安定して推移しており、2025年3月期は993億円とわずかに増加しました。
- 利益:
- 売上総利益は過去数年で微減傾向です。
- 営業利益は2025年3月期に6.8億円(前期比18.0%減)、経常利益は8.2億円(前期比17.4%減)と、人件費や諸物価の高騰を背景に減益となりました。
- 親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等調整額の計上により、2025年3月期に11.9億円と前期比17.8%増益となりました。しかし、2026年3月期の会社予想では5.7億円と大きく減少する見込みです。
- 収益性指標:
- ROE(実績)は11.06%と、資本を効率的に活用し利益を生み出す能力は比較的良好な水準です。
- 売上高営業利益率は0.7%で、薄利多売の卸売業の特性を示しています。
- 財政状態:
- 自己資本比率は2025年3月期で46.1%と、前期(40.6%)から改善しており、財務安全性は向上しています。
- 流動比率は1.86と100%を大きく上回っており、短期的な支払能力は健全と評価できます。
- キャッシュフロー:
- 営業活動によるキャッシュ・フローは2025年3月期に△1,062百万円とマイナスとなりました。前期の売上債権回収のずれなど一時的な要因が示唆されていますが、今後の推移が注目されます。
- 投資活動および財務活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなり、結果として期末の現金及び現金同等物は減少しています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の1株配当は6.00円で、現在の株価に基づく配当利回りは1.80%です。
配当性向は6.82%と低い水準にあります。これは、会社が稼ぎ出す利益に対して配当に回す割合が少ないことを示しており、内部留保を重視しているか、または将来への投資を優先している可能性が考えられます。
2025年3月期については、記念配当1円を終了し、通常配当を1円増額する対応を取りました。これは、安定的な配当維持への意向がうかがえます。自社株買いに関する直近の具体的な計画は、公開データからは確認できませんでした。
10. 株価モメンタムと投資家関心
現在の株価は、直近10日間の株価履歴では比較的安定したレンジ内での動きが続いており、短期的な大きな上昇・下降の勢いは見られません。出来高も比較的小規模で推移しています。
株価への影響を与える主要因としては、水産物市場の価格変動、人件費や物流費などのコスト上昇圧力、消費者の購買動向(特に外食・内食のバランス)、そして円安の進行度合いなどが挙げられます。
特に、2026年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益が大幅な減益予想となっている点は、今後の投資家関心に影響を与える可能性があります。
11. 総評
大水は、関西圏を主な事業地とする老舗の水産物卸売業者で、ニッスイグループの一員としての安定した事業基盤を持っています。財務安全性は自己資本比率の改善によって向上しており、強みと言えます。
一方で、卸売業としての低利益体質と、足元のコスト上昇による営業利益・経常利益の減益傾向は課題です。直近の当期純利益は増加したものの、来期の予想では大幅な減益が見込まれており、この点には注意が必要です。
現在の株価は、PER・PBRともに業界平均と比較して割安水準にあると評価できる可能性があります。配当利回りは特別高い水準ではありませんが、安定配当を継続する姿勢はうかがえます。
株価はレンジ内で推移しており、現在のところ大きなモメンタムは見られませんが、今後の業績回復への道筋や、外部環境の変化への適応力が今後の株価に影響を与える可能性があります。投資判断の際は、これらの要素を総合的に考慮してください。
企業情報
銘柄コード | 7538 |
企業名 | 大水 |
URL | http://www.daisui.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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