曙ブレーキ工業(証券コード: 7238)の企業分析レポートを以下の通りご報告いたします。
1. 企業情報
曙ブレーキ工業は、1929年創業の独立系ブレーキメーカー大手です。主に自動車、二輪車、鉄道車両、産業機械向けのブレーキ製品および関連部品の開発、製造、販売を手掛けています。ディスクブレーキキャリパー、ディスクブレーキパッド、ドラムブレーキライニングなど多岐にわたる製品を提供し、近年ではセンサー製品の開発・製造にも取り組んでいます。事業展開は日本国内に留まらず、北米、欧州、アジア各国などグローバルに行っており、海外売上比率は64%(2025年3月期予想)を占めています。主要な顧客はトヨタ自動車、日産自動車、いすゞ自動車といった大手完成車メーカーです。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は独立系のブレーキメーカーとして、国内外の自動車メーカーに広く製品を供給し、高い市場シェアを維持しています。特に、トヨタや日産といった大手メーカーとの取引が主要であり、安定した顧客基盤を有しています。
競争優位性としては、長年の実績と幅広い製品ラインナップ、グローバルな事業展開能力が挙げられます。一方で、自動車産業全体の動向(電動化、自動運転技術の進展、環境規制強化)、原材料価格の高騰、為替変動、各国経済の減速リスク、地政学リスク、米国での関税政策など、外部環境の変化への適応と、進行中の構造改革の完遂が課題となっています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は2019年より事業再生ADR手続に基づく事業再生計画に取り組んできました。2024年6月にリファイナンスを完了し、既存借入金を完済したことで、事業再生計画期間は終了しました。
今後は、2026年3月期に向け、「強い経営体質の実現」と「生き残るために進むべき方向の明示」の2つの方針を掲げた中長期経営計画を推進し、企業価値向上を目指しています。具体的な施策としては、特に課題となっていた北米事業の再構築を重点分野と位置付けており、米国2工場のうち1工場を閉鎖し、1工場体制とすることで黒字化を目指す方針です。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、自動車、二輪車、鉄道、産業機械向けのブレーキ製品に特化しており、各産業の生産動向に業績が左右されやすい特性を持っています。市場ニーズの変化としては、自動車産業における電動化の進展や自動運転技術の普及が挙げられます。これらの変化に伴い、ブレーキシステムにも軽量化や電子制御化、回生ブレーキとの連携など、新たな技術要求が高まることが予想されます。同社はセンサー製品の開発なども行っていますが、急速な技術変革に対応し、次世代のブレーキシステム市場で競争力を維持できるかが持続可能性の鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
同社が提供する主力製品には、自動車向けのディスクブレーキキャリパー、ディスクブレーキパッド、ディスクローター、ドラムブレーキ関連製品、二輪車向けブレーキシステム、鉄道車両向けディスクブレーキやライニング、産業機械向けブレーキなどがあります。また、加速度センサーや角速度センサー、センサークラスターといったセンサー製品も手掛けています。技術開発の動向については具体的な記載は少ないものの、グローバル展開する独立系メーカーとして、顧客ニーズに応じた制動力、耐久性、軽量化、静粛性、環境対応といった性能向上に取り組んでいるものと考えられます。
6. 株価の評価
現在の株価は106.0円です。
株価純資産倍率(PBR)は、実績ベースで0.90倍です。これは、1株当たりの純資産(BPS)117.61円に対して株価が約0.9倍であることを示しています。業界平均PBRが0.8倍であることを考慮すると、現在の水準は業界平均と同程度か、やや上回る水準にあります。
1株当たり利益(EPS)の会社予想は-4.79円と赤字予想であるため、株価収益率(PER)は算出できません。今後の業績改善、特に純利益の黒字化が株価評価の重要な要素となります。
7. テクニカル分析
現在の株価106.0円は、年初来高値125円、年初来安値82円のレンジ内で推移しています。
直近10日間の株価は101円から108円の範囲で推移しており、比較的安定している状況が見られます。
50日移動平均線は102.16円、200日移動平均線は109.18円です。現在の株価は50日移動平均線を上回り、200日移動平均線よりは若干下回る水準にあります。このことから、短期的にはやや強含みですが、中長期的なトレンドを示す200日移動平均線を上回るかどうかが注目されます。現状は、高値圏にあるとは言えず、レンジの中央付近に位置していると見ることができます。
8. 財務諸表分析
-
売上高:
- 2022年3月期: 135,498百万円
- 2023年3月期: 153,984百万円
- 2024年3月期: 166,301百万円
- 2025年3月期: 161,672百万円 (前期比2.8%減)
過去数年で増加傾向にありましたが、直近の2025年3月期は微減となりました。2026年3月期も154,600百万円と減収が予想されています。
* 利益:
* 営業利益: 2025年3月期実績は3,124百万円(前期比0.9%減)で、ほぼ横ばいの水準で推移しました。2026年3月期は資材調達・生産性向上などの合理化や固定費削減により、4,000百万円(前期比28.1%増)と増益が予想されています。
* 経常利益: 2025年3月期実績は△2,271百万円と経常損失を計上しました。これは主にリファイナンス資金借入に伴う資金調達費用や為替差損が影響しています。2026年3月期は1,700百万円と大幅な改善が予想されています。
* 親会社株主に帰属する当期純利益: 2025年3月期実績は168百万円(前期比95.1%減)と大幅な減益となりました。2026年3月期は、米国ケンタッキー州工場閉鎖費用や米国事業立て直し費用が発生するため、△1,300百万円と純損失が予想されています。
* キャッシュフロー(CF):
* 営業活動によるCF: 2025年3月期は1,446百万円と前期(7,622百万円)から減少しました。
* 投資活動によるCF: 2025年3月期は5,974百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券の売却収入116億円によるものです。
* 財務活動によるCF: 2025年3月期は△18,536百万円と大幅な減少となりました。長期借入による収入310億円があったものの、既存借入金の返済に498億円を充てたことが影響しています。
* 期末現金及び現金同等物は、前期より8,646百万円減少し、18,303百万円となりました。
* 収益性・財務安全性:
* ROE(実績): 0.33%(過去12ヶ月では1.34%)。低い水準にあります。
* ROA(過去12ヶ月): 1.40%。こちらも低い水準です。
* 自己資本比率(実績): 38.6%。前期の34.8%から改善しており、財務安全性は向上傾向にあります。
* 有利子負債: 総有利子負債は352.7億円(直近四半期)、自己資本に対する有利子負債比率は63.04%。リファイナンスにより構成が変化しています。
全体として、事業構造改革を進める中で、営業利益は維持されているものの、リファイナンス関連費用や特別な費用により経常利益・純利益は変動が大きく、直近は損失を計上しています。ただし、自己資本比率の改善や今後の営業利益・経常利益の改善見込みなど、財務基盤の強化に向けた取り組みが進められています。
9. 株主還元と配当方針
同社は現在、配当を実施していません。配当利回り(会社予想)は0.00%であり、1株配当(会社予想)も0.00円です。配当性向も0.00%となります。
過去のイベントとして、2015年9月28日が配当落ち日として記録されていることから、長期間にわたり無配が続いていることが示唆されます。事業再生計画の終了と今後の収益性改善が、将来的な株主還元策の検討につながる可能性がありますが、現時点では配当による株主還元は期待できない状況です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
現在の株価は106.0円であり、年初来高値125円からは下落していますが、年初来安値82円からは上昇している状況です。直近10日間の株価は比較的狭い範囲で推移しており、明確な強い上昇トレンドや下降トレンドは見られません。
信用取引においては、信用買残が3,159,500株と信用売残188,800株に比べて非常に多く、信用倍率が16.73倍と高い水準にあります。これは、将来の値上がりを期待する買い方が多いことを示唆していますが、信用買残の多さは、将来的な売り圧力となる可能性も含んでいます。
投資家の関心は、事業再生計画の進捗状況、特に北米事業の再構築による収益改善の具体的な成果、そして今後の業績予想の達成可能性に集まると考えられます。米国の関税政策など、外部環境の変化も株価に影響を与える要因となり得ます。
11. 総評
曙ブレーキ工業は、独立系のブレーキ大手としてグローバルに事業を展開しています。過去数年にわたる事業再生計画が完了し、新たな中期経営計画のもと、特に収益性改善に向けた北米事業の再構築を重点的に進めています。
財務面では、2025年3月期は売上高が微減となったものの、営業利益は概ね維持されました。しかし、リファイナンスに伴う資金調達費用や為替差損、特別損失の計上により、経常利益および純利益は損失または大幅な減益となりました。2026年3月期には、営業利益および経常利益の改善を見込む一方で、米国事業の構造改革に伴う費用により、純利益は引き続き損失となる見通しです。自己資本比率は改善傾向にあり、財務の健全化に向けた努力がうかがえます。
株価は年初来高値からは下落しているものの、安値からは上昇し、現在はレンジ内での推移が続いています。PBRは業界平均と同程度の水準です。現状は無配が継続しており、配当による株主還元は期待できません。
今後の株価変動は、中期経営計画の進捗、特に北米事業再構築の具体的な成果と、計画された収益改善が実現できるかどうかに大きく左右されると考えられます。
企業情報
銘柄コード | 7238 |
企業名 | 曙ブレーキ工業 |
URL | http://www.akebono-brake.com |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.1)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。