日機装(証券コード: 6376)の企業分析レポートを、個人投資家向けにわかりやすく整理しました。

1. 企業情報

日機装は、1950年に設立された総合機械メーカーです。「精密機器」に分類され、主に「工業部門」と「医療部門」の2つの事業を展開しています。工業部門では、化学用精密ポンプや極低温ポンプ、水処理システムなどの産業用機器、航空機の部品などを製造・販売しています。医療部門では、血液透析装置や血液回路といった人工腎臓関連製品を提供しています。特に、化学用精密ポンプと人工腎臓は国内で首位級のシェアを誇り、海外でも高い競争力を持っています。近年では、水処理や空気浄化など幅広い用途に活用できる深紫外線LEDの開発・展開も行っています。

2. 業界のポジションと市場シェア

日機装は、特定のニッチ市場で高い競争優位性を確立しています。
* 工業部門: 産業用特殊ポンプ、特に化学用精密ポンプや極低温ポンプの分野で強みを持っています。液化ガス・産業ガス関連機器は、LNG市場の需要拡大を背景に成長機会があります。航空機部材においても、大手航空機メーカーのサプライヤーとして地位を築いています。
* 医療部門: 血液透析装置では国内首位、海外でもトップクラスのシェアを誇ります。高齢化の進展や生活習慣病の増加に伴い、国内外で透析治療のニーズは根強く、安定した収益基盤となっています。

業界内での課題:

  • 工業部門: 航空宇宙事業では、部品供給の遅延や人材不足が制約となるほか、エネルギー市場の地政学的要因による不確実性があります。
  • 医療部門: 国内血液透析市場では競争が激化しており、海外市場の開拓が重要となります。
  • 全社的な課題: 米国の関税政策、為替レートの変動(特に円相場の乱高下)、原材料価格の高騰などが業績に影響を与える可能性があります。

3. 経営戦略と重点分野

日機装は、多角的な事業ポートフォリオを活かし、各セグメントで戦略的な取り組みを進めています。
* 全社的なビジョン: 連結業績予想は概ね計画通りに進捗していると判断されており、2025年12月期の通期連結業績予想は据え置かれています。
* 工業部門(インダストリアル事業):
* LNG市場における案件の着実な遂行と、収益性の高い案件の獲得、販売価格の適正化を推進。
* 脱炭素化の流れに合わせた次世代エネルギー市場(水素など)向けの技術・製品開発と体制整備に注力。
* 工業部門(航空宇宙事業):
* 航空機産業の需要回復に対応し、サプライチェーンの再構築と増産体制の整備を進める。
* 増産に伴う固定費増加を抑制し、粗利益率の改善を目指す。
* 医療部門:
* 継続的な成長ドライバーとして海外での販売拡大に注力し、特に米国市場での販売体制確立を進める。
* 高収益案件の獲得と販売効率の改善を図る。
* 技術革新: 深紫外線LEDといった先進技術の事業化を推進し、新たな収益源を育成。

4. 事業モデルの持続可能性

日機装の事業モデルは、多様な市場ニーズに対応する多角化されたポートフォリオによって、比較的持続可能性が高いと考えられます。
* 安定した収益基盤: 基幹事業である血液透析関連製品は、医療ニーズに支えられて安定した収益を上げています。産業用ポンプも、エネルギー安全保障やインフラ維持に不可欠な製品であり、安定需要が見込まれます。
* 成長分野への対応: LNG関連市場の活況、脱炭素化の流れ、航空機需要の回復、深紫外線LEDによる衛生管理ニーズなど、成長が期待される分野へ積極的に事業を展開しています。
* 市場ニーズへの適応力: 特定の産業や医療分野に特化した技術力と製品開発力により、市場の変化に対応する能力を持っています。
* 収益性の改善: 直近の決算では、インダストリアル事業における好採算案件の遂行や販売価格適正化、医療事業における海外販売の牽引により、営業利益が大幅に増加しており、収益構造の改善が進んでいると評価できます。

5. 技術革新と主力製品

日機装は、長年にわたる精密機械技術と医療機器開発の知見を活かし、独自の技術を保有しています。
* 主力製品:
* 工業部門: キャンドモータポンプ、極低温ポンプ、精密機器(水質調整システム、セラミック基板製造システムなど)。これらは産業の基盤を支え、特にエネルギー関連分野で重要性を増しています。航空機用部品も、同社の精密加工技術と品質管理能力を示す製品です。
* 医療部門: 血液透析システム、血液回路、ダイアライザー。これらは国内で高いシェアを誇り、患者の生命維持に不可欠な製品です。
* 技術革新:
* 深紫外線LED: 同社の注力分野であり、水・空気浄化、分析、医療応用など幅広い分野での利用が期待されています。環境・衛生意識の高まりと共に、今後の成長が注目される技術です。

これらの製品と技術は、それぞれの市場で競争力を維持し、日機装の収益を牽引しています。

6. 株価の評価

各種指標から日機装の株価を評価します。
* PER(会社予想): 7.57倍
* 業界平均PER: 21.1倍
* PBR(実績): 0.63倍
* 業界平均PBR: 1.8倍
* EPS(会社予想): 170.57円
* BPS(実績): 2,061.58円
* 現在の株価1,291.0円に対して、会社予想EPSに基づくPERは7.57倍と、精密機器業界の平均PER21.1倍と比較して大幅に低い水準にあります。
* また、実績PBRは0.63倍と、業界平均PBR1.8倍を大きく下回り、解散価値を示す1倍を割れています。これは、純資産と比較して現在の株価が割安である可能性を示唆しています。
* これらの指標から判断すると、現在の株価は業界平均と比較して割安感がある可能性があります。

7. テクニカル分析

  • 株価推移: 直近10日間の株価は1,267円から1,315円の範囲で推移しており、小幅なレンジでの変動が見られます。本日終値1,291円は、直近のレンジの上限に近い水準です。
  • 移動平均線: 現在の株価1,291円は、50日移動平均線(1,222.06円)および200日移動平均線(1,114.41円)を上回っており、短期・中期的に上昇トレンドにあることを示唆しています。
  • 高値・安値圏の判断:

    • 年初来高値:1,458円
    • 年初来安値:917円
    • 52週高値:1,458.00円
    • 52週安値:882.00円

    現在の株価は52週安値から大きく上昇していますが、52週高値にはまだ距離があります。過去1年の株価レンジの中間点よりは上方に位置しますが、安値圏ではなく、高値を試す動きの中にあると言えるでしょう。

    8. 財務諸表分析

    • 売上収益:
    • 2021年:167,759百万円
    • 2022年:177,109百万円
    • 2023年:192,629百万円
    • 2024年(過去12か月):213,379百万円

    売上収益は過去数年にわたり着実に増加しており、成長基盤が安定していることを示しています。直近四半期も微増ながら売上を維持しています。
    * 営業利益:
    * 2021年:3,125百万円
    * 2022年:34,222百万円(※)
    * 2023年:5,885百万円
    * 2024年(過去12か月):6,398百万円

    2022年には連結子会社であったCRRT事業の譲渡益計上により営業利益が大幅に増加する特異な変動がありましたが、その年を除けば、営業利益は緩やかに増加傾向にあります。直近四半期(2025年12月期第1四半期)では、前年同期比127.5%増と大幅な営業利益の改善が見られます。
    * 純利益(親会社の所有者に帰属):
    * 2021年:221百万円
    * 2022年:13,639百万円(※)
    * 2023年:9,071百万円
    * 2024年(過去12か月):7,957百万円

    純利益も2022年の特異な変動を除くと、足元では減少傾向にあります。これは、直近の決算短信によれば、円高による為替差損計上が税引前四半期利益および純利益を下押ししたことが主な要因とされています。
    * ROE(実績): 6.02%(過去12か月:5.30%)
    * ROA(実績): 1.67%(過去12か月)

    ROE、ROAともに業界平均と比較すると低い水準ですが、自己資本比率が43.0%(直近四半期43.9%)と健全な水準を維持しており、財務の安全性は確保されています。
    * キャッシュフロー:
    * 営業活動によるキャッシュフローは、直近四半期で4,210百万円の純収入と、前年同期の純支出から大幅に改善しています。
    * 投資活動によるキャッシュフローも、直近四半期で5,079百万円の純収入となっており、現預金残高は38,786百万円と潤沢です。

(※2022年の大幅な利益増加は、CRRT事業譲渡益という一過性の要因によるものです。)

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 2.79%
  • 1株配当(会社予想): 36.00円
  • 配当性向(実績): 26.91%

日機装は、2024年12月期の年間配当30.00円に対し、2025年12月期は年間36.00円と増配を予想しています。配当性向も26.91%であり、安定的な株主還元を目指しながらも、今後の事業成長に向けた内部留保も考慮した水準であると考えられます。自社株買いに関する明確な情報は今回のデータには含まれていません。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近の変動傾向: 直近の株価は移動平均線を上回って推移しており、上昇の勢いが見られますが、過去10日間の出来高は10万株台と、特に活発な売買がなされているわけではありません。
  • 信用取引状況: 信用買残が140,700株に対し、信用売残が17,800株と、信用倍率は7.90倍です。買残が売残を大きく上回る状況であり、これが株価の上値を抑える要因となる可能性も考えられます。
  • 株価への影響を与える要因:
    • 業績の進捗: 工業部門(LNG関連、脱炭素)と医療部門(海外展開、米国市場)における成長戦略の達成度合い。
    • 為替レートの変動: 海外売上比率が高いため、為替相場の変動は収益に大きな影響を与えます。決算短信では、円高は利益を減少させる要因として挙げられています。
    • 国際情勢・サプライチェーン: 米国の関税政策や地政学的リスク、部品供給の遅延といった外部環境が事業運営に与える影響。
    • 深紫外線LEDの事業化: 新規事業の進捗や市場への浸透状況。

11. 総評

日機装は、精密機器メーカーとして、工業、医療、航空宇宙という多岐にわたる事業をグローバルに展開しています。特に産業用特殊ポンプや血液透析装置の分野では高い市場ポジションと技術力を確立しています。
財務面では、売上収益が着実に増加している一方、営業利益は2022年に一過性の要因で高騰しましたが、直近の四半期では好採算案件の遂行や販売価格適正化により大幅な改善を見せています。自己資本比率も健全であり、安定した財務基盤を有しています。ただし、純利益は為替差損の影響を受け変動が見られます。
株価の評価においては、PERやPBRが業界平均と比較して低い水準にあり、企業価値に対して株価に割安感がある可能性があります。株主還元策として増配を予想しており、株主還元への意識も見て取れます。
今後の成長は、LNG市場や脱炭素化市場への対応、医療部門の海外展開(特に米国市場開拓)、航空宇宙事業の回復、そして深紫外線LEDといった新規技術の商業化にかかっています。一方で、為替変動、サプライチェーンの不確実性、国際情勢といった外部リスクには引き続き注意が必要です。


企業情報

銘柄コード 6376
企業名 日機装
URL http://www.nikkiso.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 精密機器

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.0)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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